今年もカノン5Dさん主催の自作オーディオイベント『アニソンオーディオフェス 2022』に参加してきました!
自分のスピーカー含め午前中発表の3作品 会場は例年通り東京都小金井市マロンホールです。 |
このイベントは試聴曲がアニメ楽曲縛りという以外はレギュレーションがほぼ無い自作オーディオイベント。今年で5回目の参加になります。(著作権処理については主催者様より一括してJASRACへ利用申請いただいています。)
以前のイベントの様子は下記の記事をご覧ください♪
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午後発表の作品の一部 大きさもユニットも多種多様なのが本イベントの特徴 |
目次(リンク付き)
- 前日からのセッティング。遠方からの来訪も!
- 健々さん「ホワイティコ」
洗練されたラウンド型のコンテスト受賞作 - Χ't(カイト)さん 「繭」
ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)によるクリアな音質 - kato19 「Built-in ASW 3001 Mk-II」
フルレンジ+ケルトン式ウーハー+ツイーターの3way - タニヒロさん 「ドルフィンジャンプ 2022」
バランス良い独自設計の振動分散型後面開放スピーカー - 幻魚白蝦蛍烏賊さん 「Soft Shell Speaker System」
内部まで精巧な軟質素材の3Dプリンター作品 - zukinkunさん 「Small Desktop」
超小型2wayで驚きのバランス! - カノン5D 「一夜城16」
バックロード用ユニットを手軽に楽しむ提案 - スワンチャンさん 「トランスドライブ50シングルアンプ」
迫力の爆音にも耐える4W真空管アンプと一夜城の組み合わせ - カノン5D 「SOLA Mk2」
細部まで熟成させ音の一体感を実現 - 最後に
前日からのセッティング。遠方からの来訪も!
今年は9作品(8名)の発表。
昨年まで郵送参加だった方2名も遠方から来訪されました。日頃Twitterで拝見していますがお会いするのは初めて!オフ会あるあるですがどんな人だろう〜?ちょっと緊張しますね。
例年は当日の朝に調整に入っているのですが、今回の出品作は大型なので前日の準備日からの参加。おかげで参加者の方ともゆっくり話ができました。主催のカノン5Dさんには感謝です!
今回は自作真空管アンプの出品も! 後方は主催者様準備のアンプ・プレイヤー機器 |
ちなみに準備で多少時間をいただけたので、セッティングがてら試聴してもらい、その感想をもとにツイーターのフィルター設定を変更しました。前日準備だとこういう余裕もあっていいですね〜。
交換用のコンデンサなどの部材も持っていきました。 |
当日のスケジュールは午前中の3作品が同じユニット(オンキヨー OM-OF101)を使った競作。自分は3番手なので前二人の作品が気になります!
当日のタイムテーブル 詳細はオーディフィル公式ページを |
試聴のみのお客さんにも来ていただけて感謝です!
それでは次章より作品紹介と試聴しての感想です。会場はカノン5Dさんが即席の音響対策をしてくれていますが、広い上に反響の多いライブ気味な環境です。感想はその点を踏まえてお読みください。私の着座位置は前2〜3列右端での試聴です。
健々さん「ホワイティコ」
・洗練されたラウンド型のコンテスト受賞作
独自の合板の曲げ加工技術 細部までとても丁寧な作りです。 |
トップバッターは健々さん。郵送参加のためカノン5Dさんの解説です。
本作は健々さん得意のラウンド型のスピーカー。今回は天板部分もゆるやかに曲げが入っており精巧な加工技術には驚かされます。
内部構造も精密ですが単に剛性を高めるだけでなく響きを調整するための工夫があるようです。また表面は白一色ですが特殊な塗料によりざらっとした鋳物のような風合いに仕上げられています。
シンプルな白一色だが 凹凸のある鋳物のような風合いで高級感がある。 |
この作品はなんと言っても2021年のStereo誌スピーカーコンテスト3位に入賞した作品。しかも審査員の生形氏から音質の良さを絶賛されていました。自分も同じユニットを使っての出品なので戦々恐々といったところですが楽しみです。
作品資料pdf(Audifillより)
ALASTA DIY STUDIO(健々さん YouTubeチャンネル)
【試聴してみて♪】
まず低音の質感に感心しました。バスレフらしいゴリッと押し出しの感のある低音!しかし緩さや濁りがないですね。ベースの音程も聴きやすくクリアです。
適切に調整されたと思われるバスレフ バランスの良いユニットを活かした設計 |
女性ボーカルは伸びやかで刺さるところがなく気持よく聞けます。若干声に歪みを感じましたがライブ気味な部屋の影響かな?通常の環境なら問題にならない気がします。
このユニットは比較的フラットな特性なのですが、響きを上手に調整してフルレンジの良さを活かしている気がしました。全体のバランスが整い気持ち良く聴けます。上から下まで全く不足感がありませんね。
堅実な設計で洗練されたスピーカーと感じました。コンテストでの評価が高いのも納得です!
Χ't(カイト)さん 「繭」
・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)によるクリアな音質
Χ't(カイト)さん(@kaitoooooon1115)は昨年に引き続き参加の若い学生製作者です。
今回はなんとガラス繊維強化プラスチック(GFRP)で成形した球形スピーカー!FRPといえば小型ボートの船体などに使われるとても強靭な素材。ただ、叩くとコンコン音のするイメージもあってスピーカーBOXの素材としては『まさか?』という驚きがありました。
まさに繭状の生物的な外観。 金属製のインシュレーターを使います。 |
自分はFRPの成形なんて考えたこともありませんが、工学系の学生という環境をフルに活かし原型から型を作って成形するという工法。詳しくはぜひ資料PDFをご覧いただきたいのですが・・・まあ普通の人は考えないですよね、コレは。
実際に見るとコーティングもあるので、まるで石膏像のような印象。重量感もあって叩いても軽い音は全くしません。それでいてやはりFRPだけあって強靭。落下事故があった際も表面が欠ける程度で形状に問題はないそうです。
見た目も結構大きくタイトルの『繭』というのがピッタリきますね。
本作はStereo誌の『2021年度 学生対抗スピーカー甲子園』の出品作です。惜しくも受賞は逃してしまったのですが労作という点では他の追随を許さないでしょう。
次回出品予定の試作部品も公開。 なんと鋳物製フレームから完全自作するユニットに挑戦中とのこと 思わず耳を疑いました。これはスゴすぎます! |
作品資料pdf(Audifillより)
Χ'tさんのnote(制作記など)
【試聴してみて♪】
一聴してスッキリと見通しの良い音場感が印象的ですね。奥行きのある繭型の形状のお陰でしょうか、歪みを感じません。
クリアな音場感が第一印象 中低域に適度な厚みを感じて聴きやすい |
同じユニットを使った健々さんの音とはまた違ったイメージ。クリアな印象ながら中域の厚みが感じられボーカルを邪魔しない聴きやすい音。
そして思ったより低音の量感を感じます。12リットルという容量も効いているのかな。最初は密閉型かと思ったのですが実は背面ポートがあるのでバスレフ型のようですね。
背面に小さめの開口部 強調感はない自然な低音に感じます |
長さは不明ですが背面ポートで比較的小さい開口部。モリモリとした低音ではないですが、付帯音は感じず緩みのない低音という印象でした。密閉型に近い印象です。
最後はボカロ曲だったのですが、クリアな音場感と非常に合っていましたね!Χ'tさんらしい音質の方向性とチャレンジングな製作方法が印象的でした。
kato19 「Built-in ASW 3001 Mk-II」
・フルレンジ+ケルトン式ウーハー+ツイーターの3way
3作目は私、kato19(@id_kato_19)の作品です。
この作品は健々さんと同じく昨年度のStereoスピーカーコンテストへの出品作。書類審査は通過したものの試聴審査の結果、残念ながら入賞はできませんでした。今回はツイーターを追加してMk-IIとして出品です。
メインユニットは密閉型 内部にもう一つのユニットを内蔵。 背面ポートは2つの空気室で設定を変えています。 |
詳しい内容は資料にありますが、一番の特徴は内蔵されているケルトンウーハーです。内部に10cmフルレンジが内蔵されおり上下の空気室に別調整したバスレフダクトを設けています。一般的には片方は密閉にする事が多いのですが今回は量感重視で両ダクト(PPW)方式にしています。
ツイーターはドーム式とプリントリボン式を曲によって使い分けるという趣向にしました。後乗せ式ですが、天面は曲面なので設置方法は可変式アームとして工夫。ただ3wayはもちろんツイーター自体もまだまだ使い慣れないのでネットワーク設定にはかなり迷いました。
フラットを目指すとどうしても退屈な音に感じてしまって・・・最終設定は前日準備の際に聴いていただいて決定しました(汗)
作品資料pdf(Audifillより)
【試聴してみて♪】
前の二作品がフルレンジ1本で良い音鳴らしているのでプレッシャーが半端ないです(笑)正直言うとまだまだ調整不足なところも多く反省点が多かったかな。
特にケルトンウーハーについては、コンテストのレギュレーションもあって同一のフルレンジユニットを使ってるんですよね。今回はあえてそのままの状態で出品しましたが、本来なら無理させず片方を密閉にしてシンプルに使うか、ユニット自体をウーハー専用ユニットに交換するべきであったかなぁと思います。
ツイーターはWG付きバッフルの交換式 こちらはソフトドーム |
最後の吹奏楽曲のみ 金属音が好みのフラットリボン型に交換。 |
最後に頂いた感想をご紹介いたします!(公開許諾済み)
"低域のレンジが広くて安定感あり、高域もツイーターのおかげか素直。"
"謙遜されてましたが、工作技術が凄いというのがまず第一印象です。3wayなので同じユニットを使った作品より上も下も当然ですが出ていました。 音はバランスのいい透明感のある音だと感じました。個人的にはツイーターはリボンの方が好みでした。"
“大型作でありながら、低音の質感がしっかりとコントロールされていて驚きました。五等分の軌跡は、楽しげな感じが本当に素晴らしかったです!すずめの戸締まり、未見なのに曲聴いて感動しました。見に行きます(`・ω・´)ゞ"
"ソフトドームとリボンツイーターのどちらにも言えることですが、元気のある明るい音だと感じましたフルレンジの広がりのある中低音とツイーターによる鋭さがバランス良く出ていたと感じました
また、ソフトドームツイーター時の音は刺さらずもほしい圧が出ており私個人好みの音でした!特にすずめの音源で残響感の表現がとても良かったと感じています
リボンツイーターになると鉄琴や金管楽器の音の鋭さが増し、選曲の良さもありリボンツイーターの魅力が出ていたと感じます"
タニヒロさん 「ドルフィンジャンプ 2022」
・バランス良い独自設計の振動分散型後面開放スピーカー
初めての人にはかなり異形のスピーカー 裸ユニットのクリアな音を損なわない事を目指している |
タニヒロ(@tanibook6)さんは自身のテーマにしておられる独自形状の後面開放型で参加。昨年は見た目から想像できないバランスの良い音を披露してくれました。今年は別の16cmユニットですが昨年の作品よりかなり小型化しています。
基本的な構造はユニットからの振動を抑え込むのではなく分散・共振させていく方式。一般的には剛性を高めるバッフル板もポリカーボネートであえて振動させています。バッフルの折り曲げの工夫で振動を分散させているようです。
もう一つのポイントはユニット前面をあえて絞っている構造。個人的には前後の音量バランスを調整して低音を出しているのでは?という予想をしたのですが、実際に実験してみたところタニヒロさんの作品のように高音をうまく出すことができないんですよね〜。
やはりポリカバッフルの振動など、より複雑な動作によってバランスが保たれているようです。本作の技術については特許出願しているとお話もされていました。
評判の良かった昨年に比べて小型化した本作。さてどんな音になっているでしょうか。
作品資料pdf(Audifillより)
特許資料(IP Force 特許公報掲載プロジェクト)
【試聴してみて♪】
やはりクリアでバランスの良い音に驚きますね。もちろんフラット志向のスピーカーとは方向性が違うのですが外観との印象の違いには驚かされます。
特に男性ボーカルは濁りなくスッキリ。聴いていて気持ちがいいですね。低音も低いところまで出ているわけではないと思いますが不足感はありません。これでドラムの圧も感じられるのはホントに不思議な感じがしますね。
広がりのある独特の音場感が魅力 前回の作品に比べて定位感は自然 |
女性ボーカルには若干歪みを感じましたが、これはライブな会場のせいもあると思いますが、ポリカバッフルが小さいので女性ボーカル帯域と共振しやすいのかも?と想像しました。
今回のように広い会場で大音量で流すスピーカーではないので、その辺はハンデがあるかと思います。普通の部屋で使う分には目立たない気がしますね。今回ピアノ曲がありましたが弦楽器も得意としそうな気がしますね。
総じてバランス良く高能率スピーカーのクリアな響きを楽しめる作品でした。来年は新素材でのチャレンジしたいとのことでどんな音になるのか楽しみです。
幻魚白蝦蛍烏賊さん 「Soft Shell Speaker System」
・内部まで精巧な軟質素材の3Dプリンター作品
一番大きいメイン作品で8cmクラス。 ユニットの封入継ぎ目は全くわからない精巧さ。 超小型の作品も同時に展示。 |
幻魚白蝦蛍烏賊(@GengeShiroebiHo)さんは3Dプリンター作品をTwitterで多数公開されている異色の参加者。
特に軟質素材を使った熱溶解積層方式(FDM)を得意としておられます。徹底した調整と微細ノズルを活用した非常に精巧な作品には驚かされます。
昨年は見た目のインパクトがすごい渦巻き型の作品でしたが今回は小さな卵型。一見シンプルな外観ですが内部は非常に良く考えられた構造です。
狭い内部にバスレフポートを内蔵している他、ユニットを錘と共に抱え込みエンクロージャーと一体にしています。この辺も3Dプリンターならではの構造ですね。
卵型をいうのも決して外観ありきではなく、3Dプリンター&軟質素材では強度や作りやすさの観点から必然的に帰着する形であるという説明は「なるほど!』と納得でした。 軟質素材ならではの動作も解説があり非常に興味深い作品の一つです。
ただ元々はデスクトップ利用を想定したスピーカー。広い会場ですのでこの小ささが不利にならないか・・・ちょっと心配なところでもあります。
作品資料pdf(Audifillより)
【試聴してみて♪】
これは驚きました!これほどバランスの良い音とは予想外です。 小さいのに詰まった感じのないクリアな音質。広い会場に負けない音量で朗々と鳴らします。
この小ささでしっかり会場を音で満たすのはスゴい。 サブウーハーは使わず試聴します。 |
大音量でも変な付帯音を感じませんね。構造的に共振を抑えたエンクロージャーと重量感のある金属のウエイトの効果でしょうか。わずか800ccの超小型スピーカーとは思えませんね。
スタイリッシュなスタンドは硬質素材でプリント |
そして、なんと言っても素晴らしいのが定位と音場感!ボーカルがフワッと浮き上がるように定位します。
使用ユニットのセレクトも見事にハマってるんですよね。HiViのB3Nというユニットですがメタルコーンの明るい音で華やかにまとめています。ドラムはキレの良さが魅力。小口径ですがロングストロークのエッジのせいか低音の迫力も不足感を感じません。
フルレンジではありますが軟性エンクロージャーとの相性が良く小型ユニットの魅力を引き出しています。サブウーハーなしでの出品は無謀ではないか?との心配は杞憂でした(笑)
超ミニスピーカーも最初に試聴。 流石に音量不足だが素性の良さを感じる。 デスクトップ用としてはかなり魅力的ですね。 |
3Dプリンターの可能性を説得力ある形で実現した作品でした。もちろん出品者の技術力ありきの作品ですので、3Dプリンターがあれば誰でもカンタンとはいかないと思いますが大変興味深い体験でした。
zukinkunさん 「Small Desktop」
・超小型2wayで驚きのバランス!
実際に見るとその小ささに驚きました。 |
zukinkunさん(@Chaosfracta)は例年市販スピーカーのエンクロージャー(箱)を流用した自作品を出品。シミュレーションを活用したネットワーク設計でその音質には驚かされました。Twitterでも高品質な空気録音に定評があります。
今回はエンクロージャーからオリジナル設計の作品。自身での木工を最小限にするためカット業者さんへの発注するなど木工が苦手な人にも参考になるのではないでしょうか。
作品は7cmウーハーの小型2way。実際に見るとその小型さにちょっとビックリしますね。ユニット取り付け部分はワッシャーを利用してフローティング構造にしているとのこと。
背面にはパッシブラジエーター(重量可変のコーン型)を搭載。ご本人によるとあまり動作していないとのことでしたがどうでしょうか。
元々はデスクトップ用を想定しているとのことですが、前半は単体での試聴。後半はカノン5Dさん製作のサブウーハーを併用しての試聴となります。
作品資料pdf(Audifillより)
zukin’s blog( zukinkunさんのブログ)
【試聴してみて♪】
いやぁ〜これはヤラれました!スゴイね・・・見事なレンジ感です。
小さな外観で完全にナメてましたが単体でも低域まで予想以上に再現しています。しかもこの小ささで詰まった感じもなくクリアな音質。まさにサイズを超えた音でした。
この小ささでこの音は立派すぎて おもわず笑っちゃいました |
ご本人はデスクトップ用としてあえてハイ上がりに調整したとのことでしたが、フロアで聴く分には芯がしっかりしてエッジのハッキリした音。個人的にかなり好みの音質でした。
後半はサブウーハーを接続しての試聴。総じて自然なつながりに感心するものの、曲によってはやや強調感を感じるところもあり、短時間での調整の難しさもあったかもしれません。
後半はサブウーハー併用。 中央のウーハー1本で調整。 |
とはいえ単体でもこれほどの音だったのは驚きでした。正直、大きなスピーカーを出品した自分としては『ミニスピーカーにこんな音だされちゃ立つ瀬がないよ〜』と言いたくなるほどでしたね(笑)
小型スピーカーは能率も低めなので、ある程度大きな音を出した方が性能を発揮しやすいイメージなのですが、大音量だと設計・製作のアラも目立ちます。
その辺はしっかり詰めている作品。さすがだなぁ〜と思いました。
カノン5D 「一夜城16」
・バックロード用ユニットを手軽に楽しむ提案
次は主催者のカノン5Dさん(@audifill)の1作目。こちらは完全新作の作品です。
バックロードホーン向きの16cmフルレンジをもっと簡単なエンクロージャーで活かすというコンセプト。3×6合板1枚で2本作れるコスパの良さも魅力です。
タイトルの『一夜城16』は1日で完成できるほど簡単という意味でしょうか。ある意味で自作スピーカーの原点に立ち戻ったようなシンプルさです。
一見シンプルな16cmバスレフ これなら作れる!と感じる人も多いのでは |
形式的にはバスレフに共鳴菅の動作も期待するという構造。測定では共鳴菅動作は期待したほどしていないとのことですが、結果的に目指す音質は得られたようですね。
PDF資料の方には板取図から製作工程、さらに調整まで丁寧に解説。まさにユニットを持て余しているユーザーへの提案という感じです。特に測定解説は普通にタメになるので読んでいて面白いですね!
ユニットのハイ上がり傾向を補正するフィルターも併用 |
今回使用するユニットはFE168EΣ。見るからにイカついですがスカッとする音が魅力。バックロードホーン向けの強力ユニットですので、そのままだとハイ上がり(高音が強くて相対的に低音が出ない)でキツい音になりますが・・・どう調整しているか楽しみです!
作品資料pdf(Audifillより)
【試聴してみて♪】
単体試聴と中央サブウーハー接続を切り替えながらの試聴 |
カノン5Dさんの独自研究により補強された オリジナル振動板のサブウーハー |
「一夜城16」のときに、サブウーハーのクロス設定をミスしてしまい、不思議な低音になってしまったのが悔やまれる _:(´ཀ`」 ∠):_
— カノン5D @オーディフィル (@audifill) December 20, 2022
発表のプレゼンでも、低音の違和感についてウニョウニョ言ってますが、クロス設定違いと気付いたのは発表後 ꜀(.௰. ꜆)꜄
来年リベンジだな…:(っ`ω´c): pic.twitter.com/VvT4CLtiWu
スワンチャンさん 「トランスドライブ50シングルアンプ」
・ 迫力の爆音にも耐える4W真空管アンプと一夜城の組み合わせ
スワンチャンさん(@amptube6L6)は過去にスピーカーや自作ケーブルなどでも出品していましたが、今回は自作真空管アンプの出品です。
シャーシは鈴蘭堂 SL-770を使用。4Wシングルアンプ。 |
今回製作したアンプは一般的に低出力ですが高音質と言われるシングルタイプ。スワンチャンさんというと爆音好みというイメージもあるのですが4Wしかないアンプでどんな音が出てくるのか楽しみです。
使用スピーカーは前出『一夜城16+サブウーハー』ですが、ホーンツイーターと独自ネットワークである意味別物となっています!
ホーンツイーター搭載の一夜城16 ツイーターベースは山越工房製 |
ネットワークも独自設定 |
作品資料pdf(Audifillより)
【試聴してみて♪】
これが真空管アンプ?という爆音!4Wとは思えない塊を押し出してくるような圧を感じます。高能率スピーカーとの相性は抜群ですね。
一夜城との組み合わせも抜群 バックロード顔負けの迫力サウンド。 |
もちろん真空管アンプだから緩い音とは思っていませんが、それでもこの爆音を聴くと驚きますね。ホーンツイーターの鮮やかな高域とサブウーハーのつながりもよく、いい意味でスワンチャンさんカラーに染め上げています。
楽曲もあえて音数の多い楽曲にチャレンジしているのですが潰れた感じなどは全然しなかったですね。特にエレキギターの音が伸びやかで印象的でした。
ラストは爆音が似合うアキバ冥土戦争のOPと演歌調のEDで締めたのもお見事!楽しい試聴となりました。
カノン5D 「SOLA Mk2」
・細部まで熟成させ音の一体感を実現
最後はカノン5Dさん(@audifill)のSOLA Mk2です。こちらは昨年も出品したものですが、内部を大幅に改めての再登場!
オリジナル振動板のウーハーと小さなポートが特徴。 材木を切り出したような外観が印象的です。 |
また資料ではネットワークや内部資材も改めてさらに調整している様子をわかりやすく解説。こちらも非常に参考になります!
作品資料pdf(Audifillより)
【試聴してみて♪】
直前がスワンチャンさんの爆音だったので、最初は毛色の違いに耳がついていかない感じですが(汗)低音の質感・量感は共に印象的ですね。サブウーハーなしでコレはやっぱりスゴイなぁ。サブウーハー無しの単体試聴 最初はインシュレーターを忘れて図らずもその比較も兼ねた。 |
最後に
発表の後は参加者の皆さんからの持ち込みリクエスト曲をSOLA Mk2で試聴。
ラストは先日ご逝去された水木一郎さんの『われらの旅立ち』(キャプテンハーロックより)で締めるという素晴らしい選曲!リクエストくださった方には感謝です。
今回は各作品の面白さもさることながら、製作者の来場も多く非常に充実したイベントとなりました。
毎回思いますが自分自身の音を客観的に聴ける機会は貴重ですね。決して優劣を競うイベントではないものの、いい意味で自己満足を破壊してくれます(笑)
この厚い鉄扉の向こうで鳴り響くアニソン。 一見さんにはちょっと入りにくいですが(笑) |
また自分もアニメファンとはいえ、すべての曲をチェックできてるわけじゃないのであまり触れていない作品の楽曲を発表者の思いも含めて紹介してもらえるのは面白いです。
特に今年は試聴曲をSpotifyプレイリストで事前に発表していただけたのですがコレは良いですね〜楽曲の予習ができると当日試聴のポイントが抑えられます。
最後に来年の開催も発表され閉幕となりました。興味のある方は是非ご参加ください。試聴だけでも大歓迎ですヨ!
以前のイベントの様子はこちら♪
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