2020年2月9日日曜日

琴線触れまくりの劇場版アニメヒロイン5選

 自分の琴線に触れたアニメヒロイン選です!

 なぜ突然?というとTwitterでぎけん(@c_xさんが企画した『アニメヒロイン選』があったからです。以前からこういうの書きたいな・・・と思っていたのでいい機会だと思い便乗させていただきました。

 あまり捻りもなく単純に『好きなヒロイン』を挙げていくだけですが、一応自分らしく『劇場版アニメ』の縛りで選出しました。本当は10選にするつもりだったのですが時間が足りずに5選で発表します!(あとで追加するかもしれません)

羽川 翼 『傷物語 3部作』


裸眼Verも良いけどやっぱりね・・・劇場版は超絶クオリティ。
予告編より画像引用(当ブログの画像引用について
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 好きなアニメキャラといえば真っ先に思い浮かぶのは羽川 翼ですね。自分にとって『萌え』とはまさに彼女に象徴されるもので、この感覚はどんなキレイな人であっても3次元では体感できない感覚堀江由衣さんの魅力的な演技と相俟って素晴らしい体験でした。

 これほどまでに魅力的な彼女の裏にある過酷な身の上、そして阿良々木くんとの行く末。どうにもならない切なさが苦しい。でもそれこそが魅力的な作品なんだと思う。続・終物語に至るまでずっと彼女の幸せを願って見てしまうんだよなぁ。

 数あるシリーズの中でも、このメガネバージョンは最高で羽川さんの幸せを一番感じることのできる作品ですね。
関連記事  傷物語 Ⅱ 熱血篇の感想:羽川さんの魅力をこれでもか!てくらい詰め込んだ映画で感謝しかない - アニメとスピーカーと


巴マミ 『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』

マミさんの変身シーンは本当に好きだった。
予告編より画像引用
©Magica Quartet / Aniplex

 自分が深夜アニメにハマるキッカケになったのはこの『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』でした。数ある見所の中でも特に印象的だったのはマミさんの変身シーン。あの美しさには本当に魅了されて、この時間がずっと続いて欲しい・・・となんども映画館に通った事が思い出されます。

 そして頼り甲斐のある先輩魔法少女としての『強さ』の裏側に『弱さ』もかいま見える所が彼女の魅力ですね。もちろんこの作品は4人のキャラクターすべてが強烈な魅力を持っていて甲乙付け難いのですが、萌えという点ではやっぱりマミさんだよなぁ・・・って理由で選出しました。

澄田 花苗 『秒速5センチメートル』


予告編だと顔が見えないくらいだけど本編の印象は強い。
予告編より画像引用
(C) Makoto Shinkai/ CoMix Wave Films

 3編に分かれた作品の2編目『コスモナウト』より、東京から来た主人公に恋する種子島の女の子。彼女のモノローグは切なさの塊のようでした。悲しいくらいの一人相撲なんだけど、燃え上がるような青春の心を見事に描いていた。フィクションとわかっていつつも彼女の幸せを願わずにはいられなかったな。

 本当にこの作品は大好きで、映画館を出てすぐにもう一度チケットを買って次の回を見た作品。予告編で号泣したのもこの作品が初めてだったかも。自分の予告編好きは新海監督の影響が大ですね。

 他の人物も魅力的なんだけど、彼女は特に心の描写が深くて印象に残る人物でした。


久石 奏 『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』


外見の可愛さと毒気のギャップが最高。
予告編より画像引用
Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 新作劇場版からの新一年生キャラの中心的人物。初見ではなかなかイラっとさせられましたが、この『毒気』が癖になるんですよね・・・回数重ねるたびに心地よくなってくるという。サンフェスの時の『ハァ?』って顔なんて最高です。

 嫌な子が改心して変わるとかじゃなく、嫌なままでどんどん魅力的に感じてくる不思議。彼女の複雑な人間性が垣間見れるからこそ、久美子の屈指の名シーンである『雨の長セリフ』が一層輝くんだと思うんですよね。

 初見時の印象からここまで魅了されるとは思わなかった。意外な人物でした。


相生 あかね 『空の青さを知る人よ』


優しいだけじゃないってこういうこと。
予告編より画像引用
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 主人公は妹の『あおい』だけど、この物語は『あかね』の物語だというのが自分の解釈。メガネが本当に似合ってて高校時代の可愛さは特筆もの。30歳になっても『しんの』の言う「かわいいババア」の通り魅力的な女性。(自分から見たらずっと若いんだけどね)

 この一見『よくできたお姉さん』だったり『一途に待つ女』に見える女性だけど、そんな単純じゃない。彼女の内面を外側にいる人たちを通じて見ることで彼女の複雑な心が浮き上がってくる。

 大人になっても可愛らしくて優しい彼女だけど、それだけじゃない人としての深みが感じられて魅了されてしまうんですよね。
関連記事  映画『空の青さを知る人よ』感想:震えるほど泣いた2019年屈指の傑作! - アニメとスピーカーと

 以上『琴線触れまくりの劇場版アニメヒロイン5選』でした!こうやってみると基本的にせつないキャラが好きですね。あとメガネキャラも好きですね!良い機会をいただいたぎけん(@c_x)さんにも感謝です。

スポンサーリンク


2019年12月26日木曜日

『アニソンオーディオフェス 2019 冬』に参加しました!各作品の感想レポートも。

 カノン5Dさん主催の『アニソンオーディオフェス2019冬』に参加してきました!前回の『アニソン試聴会2019夏』から名前も会場もグレードアップ!一般出品者も大幅に増えました。
大幅に増えた出品者
一般出品者はスピーカー7人、アクセサリ1名でした。

 『アニソンオーディオフェス』は自作オーディオ(アンプ・スピーカー・アクセサリ)の発表のイベント(入場無料)です。普通は使用機材にレギュレーション(縛り)があるのですが、このイベントは試聴曲に縛りがあるというのが特徴。自由に製作できるのが嬉しいですね。

 一般のオーディオイベントはジャズやクラッシック、洋楽曲などに偏りがあり、年齢層も高くなりがち。アニソン好きなオーディオファンが気兼ねなく試聴できるように、自身も経験豊富なスピーカービルダーであるカノン5Dさんが主催しているイベントです。
準備中の会場。前回の3倍近い広さ!
お客がいないと響きがキツすぎて焦ります。
20人も入るとかなり緩和されます。

 今回は会場を東京都『東小金井マロンホール』に移して開催。年末で天候が良くなかったせいもあり満席とはなりませんでしたが、最終的に多くの方の来場がありました。

 カノン5Dさんのページに各作品のPDF資料があります。そちらも合わせてご覧ください。ちなみに次回は2020年5月17日(日)の開催を予定しているとのことです。

 各作品の印象を簡単にまとめました。大変僭越とは思いますがご容赦ください。修正点あればコメント欄やTwitterでご指摘ください。感想も大歓迎です!

 ちなみに前回イベントの感想記事はこちら。
関連記事  『アニソン試聴会2019夏』レポート:自作ホーンスピーカーの初発表!:アニメとスピーカーと‥

「しろまる(S-071)」 カノン5D(オープニング)


 最初はオープニングとしてカノン5Dさんの作品。FOSTEXの新型FEシリーズのFE103NVを使った「しろまる(S-071)」です。

 自分はFE-103Eしか使ったことなくて、新作は初めての試聴。もともとFEシリーズの音はすごく好きです。当時はボーカルなら8cmの方が評価高かったですが、トータルバランスで10cmの方が好きだったんですよね。
「しろまる(S-071)」
シンプルながらFE-NVシリーズの魅力を伝える作品

 試聴してみると紙コーンらしいらしいクリアな声。FEシリーズに期待する音質はこれですね。この会場の広さだとバランス的に10cm がちょうどいいですね。

 かなり小さいバッフルですが、奥行きもあり5リットルの容量があるそうです。小さなバスレフポートでクセのない低音な印象。内部に金属補強を入れながらも、側板のみ薄めの9ミリ檜材で響きを残す設計のようです。

 小型ですが息苦しさが全然ないですね。FEシリーズの良さを活かした設計なんだと思います。

 ここでnao.hさん出品のバッフルステップ補正のPST回路が登場。一言で言うと中高音を抑えて低域とバランスさせる補正回路です。
nao.hさんのバッフルステップ補正用のPST回路
簡単にスルー接続できる工夫がある。
あとで私(kato19)のスピーカーでも試聴させていただいた。

 中高音をなだらかに減衰させることでバランス良くなった感じがしますね。このスピーカーについては中高音の劣化はあまり感じなかったです。

「ラウンドスピーカーHORSESHOES」健々さん (解説 カノン5Dさん)


 一般出品最初は健々さん。得意のラウンドスピーカーで出品。Stereo誌のコンテストでも複数回の本戦出場経験のある健々さんですが、何台も経験されているので流石に美しいです。画像で見たときより実際に見ると木目がキレイに見えますね。
コンパクトで普段使いにも良いサイズ感。
健々さんのラウンドスピーカー

 今作はユニットに私の作品と全く同じマークオーディオのOM-MF5(Stereo付録2018年版)を使用。エンクロージャーサイズも近くて、ある意味ライバル・・・いうか比較対象として最適ですね。

 試聴するとフロント大型ポートらしいしっかりとした低音。でもすごくバランスがいい。付帯音をほとんど感じないのは内部構造までしっかり作り込んでいるせいか、ラウンド構造によるものか。このユニットらしい澄んだ中高音を邪魔せずリッチな低音を響かせていました。

 いきなりこの音聞かされちゃうとな・・・やばいぞ(笑)やっぱりよくできたバスレフはいいですね。パッシブラジエーターより高能率だよなぁと実感。小型ですが広いフロアでも朗々と鳴っているのが印象的でした。

「トーキー」  赤さん


 植木鉢を利用したスピーカーを製作した赤さん。写真ではプラ製の植木鉢かと思ってたのですが、信楽焼きの陶器製を利用。だから名前が『トーキー』なんですね!沢山の植木鉢を叩いて響きの近いものをセレクションしたそうです。
バッフルは竹棒で補強したコルクシート
内部も対策をしている。専用スタンドも自作品。
ユニットはSTEREO付録2019年版 OM-MF519

 陶器製ということでキンキンするかと思いきや、意外にも穏やかな聴きやすい音サックスのキツめの音も穏やかに聴かせてくれます。この聴きやすさはコルク&竹のバッフルの効果も大きいんじゃないかなと感じました。


 低音が見た目以上によく出ていてベースの動きがハッキリわかりやすいです。ボーカルも変な音がつかず密閉型のような聞きやすさもありました。
底穴をバスレフポートとして利用
ターミナル兼カバーで下向きに放出している

 赤さんは多分私と年代も近い感じですが、飾らない雰囲気の気さくな方でした!

「四達(したつ)」 Atsuyaさん


 今回ある意味で一番話題だったのがAtsuyaさんの作品かもしれませんね。レーザーカッター3Dプリンタで出来るだけ手加工を排して製作した作品。無指向性スピーカーです。
箱はレーザーカッター。ディフェーザーとポートが3Dプリンタでの製作
ユニットは秋月で販売していた8cmと思われる

 レーザーカッター、3Dプリンタ共に大学の設備を利用したということですが、3Dプリンタは実売3万円以下で購入できる市販品と同じとのことで大変注目されていました。ディフェーザー部は10%位?の密度設定とのことで1日くらいで出力できるようです。部品などを作るにはすごく魅力的ですね。自分も色々質問しちゃいました。

 レーザーカッターは流石にこの厚さを切れるものは個人所有が難しいので大学ならではですね。焼き目を活かしたデザインも美しい作品です。
無指向性ではあるがステレオで定位感もよかった。
底部に数cmコンクリを充填している。

 試聴すると非常に伸びやかな音に驚きました。ボーカルも破綻せず響かせます。そして音場感が抜群に良いです。スピーカーの左右まで広く外側に音が広がります。

 また、コンパクトなサイズから意外なほど低音が良く出ます。自分もこのユニット持ってるので低音が出るのはわかるのですが、それでもびっくりしました。

 一見すると高音が減衰してそうですが思いの外バランスがよかったです。このユニットは特に高音が出るタイプって訳じゃないと思うので不思議なのですが、もしかして高音が減衰することでバッフルステップ効果が緩和されるからなんでしょうか?

 聴きやすいながらも、決して甘い音というわけではなく楽器もパリッとした音で良かったです。これまでの無指向性のイメージを覆す体験でした。
実際に見るとコンパクトで可愛いデザイン。

 Atsuyaさんは質問にわかりやすく的確に説明してくれるのが印象的でした。プレゼンも落ち着いた説明で良かったです!

「ツイン・パッシブ」 kato19


 休憩挟んで後半は私(kato19)のスピーカーです。自分の作品は解説に必死でちゃんと聴けないのが残念ですよね。どうだったんだろう・・・わたし、気になります!

嬉しいコメントありがとうございます(笑)モットイッテ

 ちなみに作品の詳しい解説こちらに記事を書きましたのででご覧ください。
関連記事  『フルレンジ+パッシブラジエーターによる自作バーチカルツイン スピーカーの作例』- アニメとスピーカーと‥ 

 準備で鳴らした時は高音の響きが強くて焦りましたが、人が入って多少バランスは取れてきた気がしますね。

 自宅で試聴していた時は低音もほどほどの量感があったんですけどね。あの広いフロアだとかなり心細く感じましたが、そこそこイメージ通りの音になったかな。

パッシブラジエーターを上下に配置した仮想同軸
OM-MF5からの共振で低音を出す仕組み

 ただ、発表は台本書いて準備したのですが・・・ムチャクチャ緊張してグダグダでしたね(泣)試聴曲は今冬にハマった『冴えない彼女(ヒロイン)の育て方』から2曲、今年一番泣いたTVアニメ『ケムリクサ』から1曲。そして京アニ作品から『ひるね』と『エイミー』の2曲というセットリストを作ってきたのですが・・・。

 まさかの『ひるね』の紹介で泣いて話ができなくなるという・・・若い人を前に恥ずかしい限りなのですが。アニメに明るくないArataniさんとか意味わからなかったでしょうね。だから、あの時言えなかった選曲の理由をこの場で書かせてください!

 自分が深夜アニメに覚醒したキッカケは『劇場版まどか☆マギカ』でしたが、その後、深夜アニメを見はじめて『いまのTVアニメってここまで進化してるのか!』って衝撃を受けたのが『たまこまーけっと』でした。後にこれは『京都アニメーション』が特別なだけだって事をすぐに知るのですが(笑)

たまこまーけっと サウンドトラックアルバム(Amazon)

 このエンディングは映像も破格にすごいレベルですが、楽曲もTVじゃ絶対出ない低音を容赦なく入れてくるし、音質も良いし、いろんな意味で自分の見方を変えてくれた思い出の作品でした。だから前回のイベントでも本当は流したかったのですが、自分のスピーカーとの相性が悪くて断念。今回はこの曲ありきで製作を進めました。

 そして最後の試聴曲『エイミー』は今年公開された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』のテーマ曲です。この作品と背景についてはこちらの感想記事に譲りますが、この曲が流れるとさすがに泣いてしまう気がしたので最後に設定したんですよね。
関連記事  『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』感想:こんなに京アニの新作にふさわしい作品があるだろうか。 - アニメとスピーカーと‥

 でも『たまこ』の『』の字が出る前に言葉がでなくなるとは予想外で(泣)緊張してたせいもあったんですが、京アニへの思いを全く言えなかったのは色んな意味で申し訳なかったです。


 あと、次の休憩時間にnao.hさんのバッフルステップ補正のPST回路を付けて試聴させてもらいました。一聴してわかる効果で中高音のバランスの変化が明瞭ですね。

 TV視聴などには良いバランスとおっしゃってましたが、その通りでこのユニットの中高音はキレイですが近接試聴するにはちょっと疲れる所もあるんですよね。だからテレビ用に使うにはこのくらい中高音を丸めた方が良いし、大音量を出さないのでバランスもいいかもしれないと思いました。

 あの会場では高音のきらびやかさがあったほうが派手に聞こえるのでスルーでも良いですが面白い体験をさせていただきました。


「白うさぎ」  FE203さん(解説 カノン5Dさん)


 FE203さんの小型共鳴管スピーカーです。3角形の管を折り畳んだ1.2m級の共鳴管。さらに不要共鳴を減衰するためのサイドブランチ管まで内蔵してるそうで、個人的にすごく興味のあった作品です。
共鳴管としては非常にコンパクトな外観
高さは40cmくらいかな。
おそらく3つ折り+サイドブランチ管群と推察。
ユニットはSTEREO付録2019年版 OM-MF519

 自分も共鳴管スピーカーの音が大好きで、1.4mから1.8m級のものを何組か作ったことがあるのですが、超高能率な豊かな低音と独特の抜けの良い音が魅力なものの、不要共鳴の処理には悩まされました。

 ピアノや器楽曲などにはすごく良いのですが、ボーカルでは気になるため色々な対策が必要になります。でも対策が共鳴管の良さを減じることもあって悩ましいところなんですよね。
サイドに大きな開口部のある3角柱の音道。
これは末端開口部ではなく不要共鳴減衰のためと思われる。

 試聴するとさすがに共鳴管らしいたっぷり余裕ある低音。1.2m級+8cmユニットとは思えない余裕ですね。中高音も伸びやかさが素晴らしくてユニットの特徴を活かしています。特にピアノの音はすごくいいですね。ここも共鳴管の得意とするところです。

 最後に指定した試聴曲は意外にもサザエさんのED曲!日曜に流すかぁ・・・ってネタ感もありますが(笑)個人的にはスゴイ選曲に度肝をかれました。

 なにしろセリフがたっぷり入ったこの曲。共鳴管が苦手とするジャンルをあえて指定してくるFE203さんの『自信』ですよね。狙い通り余計な響きをほとんど感じない音でした。
底部にある末端開口部を見せていただいた。
インシュレーターで浮かせて設置。材質は集成材。

 共鳴管としては若干マイルドな音ではありますが十分魅力を残した音。なにより共鳴管でこのコンパクトさボーカルのクセのなさは魅力。テレビ用にも利用できそうです。共鳴管の可能性を広げる作品でした。

「響-ひびき-」  真空管のスワンチャンさん


 真空管のスワンチャンさんの後面解放スピーカー。平面バッフル後面解放というと分厚いバッフルでしっかり補強するイメージでしたが、本作「響-ひびき-」はあえて美しく響かせるため工夫されたスピーカーとなっています。
バッフルはシナ合板木地
カラーニス塗装の枠とのツートンカラーが美しい

 バッフル板は4mmのシナ合板という異例の薄さ。それを枠に接着するのではなく四隅のネジのみで固定。バッフルと枠の間に緩衝材を挟むことで宙に浮かせるようになっています。枠との接触による異音を避けるためわずかに隙間を開けています。

 さらにユニットもネジに緩衝材を挟んで固定。各ネジの微妙な圧の調整で共振周波数の調整を行うとのこと。ユニット位置も鳴りの良いポジションを選んで選定。シンプルながら非常に繊細な作品で楽しみな作品です。
シンプルに見えるが非常に繊細な調整が可能な構造。
ユニットは紙コーン・紙エッジ。12-13cmくらい?
小さな磁石の軽量ユニットを活かした設計。

 試聴すると、狙い通りの響きの良さが印象的。ビリ付きなど嫌な音は感じませんでした。音量が大きくなると飽和感を感じる時もありましたが、総じて音場感がよくバランスが取れた印象。

 低音は紙エッジということでどうなのかな?と思ったのですが、バッフル調整のおかげかセッティングのおかげか、かなり量感を感じます。特にピアノの音はバランスよくキレイに聞こえました。最低音はそれほどでもないはずなので音場感が自然なのが良いのかもしれません。

 意外だったのが『鬼滅の刃』での序盤。きれいに上方定位しているように感じました。自分はセンター右寄りの席だったのですが不思議な感じですね。また男性ボーカルもとても聴きやすく好印象。見た目からボーカル向けじゃない気がしましたが面白いですね。
試聴はこのセッティングで行なった。

 途中、左しか出力してないことがわかるというトラブルがありましたが、自分はセンター外した席だったので気がつかなかったです(汗)片付けの時に倒れるというアクシデントもありましたが、前後を支える脚をつけたくなりますね。ちょっとレトロ感がでて良い感じになりそうです。

 真空管のスワンチャンさんは前回ケーブル出品でも参加されていましたがオタク知識も豊富そうな印象ですね。若いのにサクラ大戦の曲を流しててびっくりしましたが、今年は新作ゲームの発表があったんですね。全然知りませんでした。

「DEC22」  Arataniさん


 Arataniさんといえばスピーカークラフトアドバイザーとして活躍されている荒谷さん!Twitterなどでよく拝見していたものの実際にお話を伺うのは初めて。アニメとは縁遠い方だと思ってたので意外でした。

今回はFOSTEX限定ユニットのFE103Aを使った2wayダブルバスレフ作品。フォスター電機70周年のユニットで今は珍しいアルニコマグネットのユニットです。ペア7万円と高額なのでおいそれと買うこともできません(笑)
軽やかで美しい配色のデザインは部屋においても違和感なし。
第1キャビ6.4L、第2キャビ24Lのダブルバスレフ。
内部ポートもツインポートとのこと。

 試聴すると、大型ダブルバスレフらしいすごく伸ばした低音32hzまでフラットと言われていましたが確かにすごい。ウーハー2本じゃないの?っていうくらいの量感。音色はウーハーとはちょっと違いますが広いフロアを朗々と響かせます

 今回はアニソン専用に調整したという2wayネットワークですが、明らかにフルレンジとは違う音というわかりやすさがありました。ワイドレンジを強く感じる華やかさがありますね。響きやすいフロアのためちょっと中高音が強調される気もしましたが、変な音はせず安心して聴いていられます。
ネットワークは外出し。
FE103Aの特性とアニソンの相性に特化した設定とのこと。
フルレンジのみのスルー接続も披露。

 最後にネットワークをスルーしてFE103Aの素の音を聞かせてもらうと音質は一変。これぞフルレンジといった音ですね。比べちゃうと華やかさは減りますが、これはこれで良いバランスですよね。短時間ですが良い経験させて頂きました。

 それにしてもArataniさんは物腰も柔らかで好印象の方!自分とは対照的なセンスの良い雰囲気の方でした。アニメ詳しくないけど『ジョジョ』は好きっていうのもリア充感出てますね。

ひのきスピーカーでアニソンを聴く
「TOYONE(S-070)」


 休憩挟んで最後はカノン5Dさんの『ひのきスピーカーでアニソンを聴く』コーナー、最初は『TOYONE(S-070)』です。

 オープニングの『しろまる』よりさらにバッフルをギリギリまで小さくしたデザイン。奥行きで4Lは確保しているので無理な設計ではありませんが、パッと見のコンパクトさは印象的です。

 PST 回路内蔵(高域をなだらかに減衰させて低域とのバランスを取る回路)による低音増強効果も注目点の一つです。
木目の美しいデザイン
無垢檜板ならではの存在感
ユニットはFostex FF105WK

 試聴してみるとことさら低音が増強といったイメージではなくバランスが良いという感じですね。それはPST回路の仕組みからも当然なんですが。

 むしろ高音をかなり強めに減衰させているという割には劣化が少ない感じがしました。突き刺さるような感じはないですが、抜けが悪くなった印象もありません。このスピーカーはフロアで大きく鳴らすよりも普通の部屋で近接視聴したくなるスピーカーですね。

 PST回路付きとはいえ金属音のキレイさはしっかり残ってます。鋳物風鈴の音を例に出してましたが、FF105WK金属センターキャップの良さはしっかり残ってる感じです。

 自分もFF125Kというユニットを使っていますが、金属センターキャップはクセはあるけど独特の魅力がありますね。

「Concept-SOLA EX(S-072)」


 そして最後は、今回最も見た目のインパクトが強い「Concept-SOLA EX(S-072)」です。独自ユニット2wayのConcept-SOLAにサブウーハーを追加した試作モデルです。このウーハーが文字通りの『魔改造』を受けてるんですよね。
Concept-SOLA(右)と外付けネットワーク
奥に見えるのが試作サブウーハー

 解説によるとコーンの横からの歪みに対応するための補強を試みたとのこと。強度を取るのに重たく硬いコーンにするのではなく、軽量な柱で対応するというのは確かに合理的な気もします。とはいえこの外観ですよね。250Hzクロスなので声などには影響は少ないとは思いますが、さてどんな音になるのか興味津々です!

FE166Enの魔改造Ver.
竹串を利用した補強柱で複雑な構造をしている

 試聴してすぐわかるのは素晴らしい音場感。この広い空間に全く負けてない余裕のある音ですね。これぞフロア型スピーカーって感じです。

 力強い低音ですが中高音は素晴らしくクリアConcept-SOLAの魅力を格段に上げています。ネットワークなどはまだ研究中とのことですが、中低音のモヤ付きは僅かに感じる程度でかなりの完成度じゃないでしょうか。自分ならもう満足なレベルですね。
サブウーハーの上に乗せるセッティングで試聴

 最後にConcept-SOLA単体との比較を聴きましたが、Concept-SOLAのイメージを持ったまま増強した感じですね。カノン5Dさんの音作りの傾向というのが良くわかる気がしました。

 ある意味、今回一番このフロアにあっていた作品かも。逆にいうと小さな部屋だと持て余すかもしれませんが。しかし魔改造Ver.のウーハーでしたが出てくる音はすごく真っ当な音でしたね。決して奇をてらった改造でないことがよくわかりました。


最後に


 その後も一般参加者さんの持ち込み試聴曲を流したり、予定時刻以上にたっぷり時間を取って楽しむことができました。今回も緊張しましたが得るものも非常に大きかったです。

 最後に次回『アニソン試聴会2020夏』が2020年5月17日(日)に開催予定と発表されました。出品してみたい方、聴いてみたい方、興味のある方はカノン5Dさんの情報をチェックしましょう!

スポンサーリンク


2019年12月16日月曜日

フルレンジ+パッシブラジエーターによる自作バーチカルツイン スピーカーの作例

カノンDさん主催の『アニソンオーディオ フェス 2019冬』に自作スピーカーを出品します。

作品タイトルは『ツイン・パッシブ』フルレンジ+パッシブラジエーター2個による仮想同軸(バーチカルツイン)スピーカーです。

今回の自作スピーカー
ツイン・パッシブ

開催は12月22日(日)13:00より 会場:東小金井マロンホール
http://www.audifill.com/event/011_020/event_014_3time.html

(当ページは現在作成中です。随時更新中です。)
当日の資料に書ききれない内容や、追加の情報などを随時追記していきます。



スピーカー概要:アニソン前提のボーカルを邪魔しない音


 今回は構想段階からアニソンを想定し、華やかでボーカルを邪魔しない音を目指しました。
前作のフロントホーン+同軸ツイーター
後面にツインポート。
なんか『同軸』って萌えるんですよね(笑)

  あこがれていたバーチカルツイン(とにかくカッコいい!)を、以前から関心のあったパッシブラジエーターで製作したかった・・・といいうのが本音。

バーチカルツイン(仮想同軸)スピーカー
ツイーターの上下を同じウーハー2つで挟んだ形式のスピーカー。ウーハーの音がツイーターのある中心部分で音像定位することから仮想的な大口径スピーカーにみえます。大口径ウーハーのデメリットも解消するねらいもあります。

 強そうな見た目(笑)とは裏腹にさっぱりとした音です。やっぱりウーハー2つとは音の出方が違いますよね。あくまで8cmフルレンジ。低音は無理して伸ばさず60Hzくらいまでで調整。メインの8cmとのバランスをとりました。

パッシブラジエーター部分

 パッシブラジエーターというと小型BTスピーカーに使われるような音を連想しますが、安価なパルプコーン・フルレンジを改造したオリジナルパッシブラジエーターの音色は密閉型のようなクセの少ない音になった気がします。

最初に作った実験機
フルレンジ+パッシブラジエーター1個

主な特徴


・安価なフルレンジユニット(220円)をパッシブラジエーターに改造。
・パッシブラジエーター2個とフルレンジを組み合わせた仮想同軸(バーチカルツイン)方式。
・パッシブラジエーターは可変抵抗(ボリューム)に接続して電磁制動の調整が可能。

諸元

容積・サイズ
約 5L・H354/W144/D150 mm(突起部除く)
形式
フルレンジ・パッシブラジエーターによる仮想同軸
ユニット (フルレンジ)
OM-MF5(ステレオ誌 ONTOMO MOOK 付録 2018版)
ユニット
(パッシブラジエーター)
NFJ フルレンジ 3.6インチ(83mm) パルプコーン 4Ω/MAX6W ×2
センターキャップに18gのウエイト加重(台座2g+8gワッシャー2枚)
材質
MDF材 12mm/9mm/4mmの組み合わせ。水性ペイント仕上げ。
参考資料/Webページ
オーディオ日曜大工/続・オーディオ日曜大工 (長岡鉄男 著)
Y杉さんのLEGOスピーカーの製作記 第50報

パッシブラジエーター(ドロンコーン)について


 パッシブラジエーター(ドロンコーンとも言う)は、磁気回路のない(もしくは信号を入力しない)ユニットです。

 小型スピーカーに使われるようなゴムエッジと金属プレートのみのユニットや、ウーハーから磁気回路を除いた専用ユニット、そのほか通常のユニットを流用することもできます。

実験機ではセンターキャップに直接ナットを貼り付けて共振を確認していました。

 メインユニットからの共振で動作させるという点でバスレフ方式と全く同じ原理です。バスレフと比較して次のようなメリット・デメリットがあります。

パッシブラジエーターのメリット(自作ユニットの場合)



  • バスレフポートの設計上の制約から自由になれる。

     ポートが長くなる小型スピーカーでは特に有利。
  • 調整がとてもカジュアルにできる。

     何種類ものポートを用意することなく、簡単なウエイト変更のみで調整ができる。
  • 開口部からの音漏れが少ない。
     開口部から低音を放出するタイプで悩まされる『中高音の漏れ』が少ない。また菅共鳴のクセも考えなくて良い。
  • 電磁制動による調整の可能性。
     通常ユニット流用の場合、理屈上は抵抗やコンデンサで短絡させることで制動の調整ができる。

パッシブラジエーターのデメリットと対策



  • 能率においてバスレフに劣る。
     同面積ならバスレフポートの方が音量が得られる。振動板が重いとさらに能率が落ちる。最低でもメインユニットと同程度の面積がないと効果が薄い。本作では2つのユニットによる面積拡大、前面配置で能率を高めました。
  • バスレフポートよりコストが高い。
     今回は安価なフルレンジユニットを流用してコストダウンをした。
  • 中高音の不要振動 
    
  中高音の共振がどう影響するかは不明。実際に前面に配置することによってどの程度の影響があるかも知りたかった。
  • ユニット固有のクセがあるのでは?

    ユニットのf0に引っ張られるほか、材質による音色の違いもありそうだが不明



ユニット選定理由


・メインユニット(OM-MF5(ステレオ誌 ONTOMO MOOK 付録 2018版))

 2個のパッシブラジエーターを駆動するために強力な磁気回路と強い振動版が必要。かつ、アニソン向けに声を重視してきらめきのある音色のユニット。

・パッシブラジエーター(NFJ フルレンジ 3.6インチ(83mm) 4Ω/MAX6W(220円))

 ラジカセ用の安価なフルレンジユニット。実測f0は180Hz程度と高め。軽量なのでそのまま流用するのは難しいが、ウレタンエッジのストロークがあり、センターキャップも強靭で重量負荷に耐えられるように見えた。なにより安いしキレイなのが魅力。



製作工程(エンクロージャー)


MDF材を使用。12mm(側板9mm,ユニット抑え板4mm)内部はH型の補強柱が二組と上底面に補強。吸音材はニードルフェルトの一部貼り付け。
内部構造

パッシブラジエーターユニットは取り付け穴がないので落とし込み加工をしてEVAシートを挟み込んみ抑え板で圧縮ねじ止め固定。

ダイソーのスポンジEVAシートを細切りにして円形パッキンに利用

 表面は水性ペイント。紅葉をイメージした配色。仕上げにハケで木目風の汚しムラを施し変化を付けました。もうすこし意匠を施したかったのですが時間がなくて断念・・・。

あえて刷毛跡をつけて木目っぽくしてみました。

パッシブラジエーター改造


樹脂のセンターキャップが意外と強靭なので、そこに台座を接着して錘を貼り付ける形式にしました。

手前が台座、奥がやすり治具と丸砥石です。

 台座はホールソーの抜き板を丸砥石で荒削り。仕上げは大きな抜き板の円周に紙やすりを貼った治具で削りました。

着色した台座とセンターキャップを接着剤で固定


簡易測定と調整


使用機材:Dayton Audio iMM-6 コンデンサーマイク + iPod Touch4 + Etani RTA 校正済み)
使用音源:https://kato19.blogspot.com/2015/08/speaker-test-low.html

  パッシブラジエーターの原理はバスレフと同じとはいえ、計算式やシミュレーションの仕方は自分にはお手上げでした。実測しながら加重すると簡単に変化するので調整は楽です。容量との関係もあるが重くすれば低域が伸びるけどレベルが下がるという感じです。
仕上げ前の調整段階での簡易測定。いろいろ試しましたが2例の比較をご紹介します。

(図1)ワッシャー1個(8g+台座2g)の場合は80Hzより急降下でかなり物足りない。聴感上は70Hzまでなんとか。60Hz以下はほとんど響かなかった。

図1:各10g(ワッシャー1個×4)/試聴位置1m ピンクノイズ

(図2)はワッシャー2個(16g+台座2g)に増やしたところです。

図2:各18g(ワッシャー2個×4)/試聴位置1m ピンクノイズ
80Hzのレベルは下がったものの60Hzまでなだらかなダラ下がり傾向になった。聴感上は60Hzまで十分な量感を感じる。50Hzはわずかに響く程度。このウエイト設定で仕上げました。

 ちなみに3つにすると50Hzまで伸びるものの低音全体の量感不足を感じました。あと重すぎて耐久性に不安も・・・。


反省点・感想


基本的に狙い通りの音で満足していますが・・・。

  • パッシブラジエーターはもう一回り大きい9cmクラスにしても良かったかな。
  • 小音量だとパッシブラジエーターの能率の低さを感じる。
  • ワッシャーは便利だが貼り付け位置が高くなって不安定。ウエイト位置に工夫が必要。
  • 可変抵抗をもっと使いやすい値のものにするべきだった。
  • 全体に時間がなくて十分な測定、検討ができなかったのが残念。今後追記していきます!


スポンサーリンク


2019年10月27日日曜日

映画『空の青さを知る人よ』感想:震えるほど泣いた2019年屈指の傑作!

 映画『空の青さを知る人よ』を映画館で見てきました。すごいね・・・初見でここまで号泣した作品って久しぶりかも。決して悲しいとかじゃなくて、ものすごい心が震えて胸がいっぱいになる作品。いま見ることができて本当に良かった!
『空の青さを知る人よ』予告編&MVより画像引用
当ブログの画像引用について
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 見る人ごとに色んな見え方がする作品だと思うんですよね。その人の持つ何かに共鳴させる力がある。だから、30代どころか40代の自分にも『自分に向けた映画だ』って思えるんだろうな。

 もう自分には響きまくりで・・・でも、決して『おっさんを癒す作品』だと思って欲しくない!『言葉にならない想い』を伝えてくれる作品だと思うんです。

 一滴のファンタジーを触媒として見えなかったものが鮮やかに浮かび上がってくる・・・これこそアニメーション映画の可能性だと思うんですよ。それを見事に成し遂げたと思う。

 こんなに大人がまっすぐに感動できるアニメ映画が見られる事に幸せを感じずにはいられない。2019年のアニメ映画屈指の名作。秋の空気がよく似合う、本当に素晴らしい作品でした。

映画『空の青さを知る人よ』予告1
素晴らしい編集の予告編。映画館で見た時泣いてしまった。
ディレクターさんGJ!予告2も好き。


 この作品は感動しすぎてしまって、どこから感想を書いていいのかわからなかったんですよね。だから、大きく3つの段階に分けて書きます。

 第一に、やっぱりダイレクトに共感した慎之介のことを書きます。なんでこんなに感動してしまったのか。

 第二に、この作品で一番深く描かれていると思う姉のあかねのこと。あかねは決して都合のよい癒しの存在じゃないってこと。

 最後にラストシーンの考察。あのセリフに込められたあおいの想いが、見事にこの作品のテーマになっているという素晴らしさ。『空の青さ』に込められた意味について書きます。


※次項より若干ネタバレありのレビュー・考察となります。
※あくまで自分の解釈なのでご了承ください。セリフの記載は不正確なので、正しく覚えている方がいればご指摘いただけると嬉しいです!

心がざわつく慎之介の登場シーン


 前半、慎之介のなんとも気まずい登場シーンから、もう、ビンビンに共感してしまうんですよ。自分はべつにバンドとかやってなかったですよ。同じ埼玉だけど秩父じゃないしね。そもそも東京に行ってないから境遇は全然違うんだけど。

 でもやっぱり共感しちゃうんだよね。慎之介の気持ちに。自分だって昔の友達、まして昔の自分に、胸張って『成功したぞ』って・・・言えないから。安定して立派な役職についている友達見るとやっぱりちょっと眩しいもん。
慎之介の帰郷シーンの気まずい晒し者感
境遇は違うけどものすごい共感がある
しかし二役の吉沢亮さんの演技が上手い!
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 でも自分の人生を『全否定』するほどでもない。そのくらいの思いはある。そんな感じの自分にとって、序盤の流れはもうなんか・・・心ががざわついて仕方なくなりました。

 高校生の『しんの』に言い返す慎之介の気持ち・・・すごいわかる!お前に何がわかるって・・・そうなんだよ。実際にやってみないと分からないことばかり。成功・普通・失敗とか、頑張った・頑張らないって単純に割り切れるものじゃない。

 そんなもの若いお前にはわからないだろうって思う。でも、それでも・・・やっぱり自分は高校生の『しんの』の気持ちもよくわかってしまう。

 彼の姿を見てハッと気づく。自分でも忘れてたものを。ダセェ、ダセェ、ダセェって・・・・その通りなんだから。

だからあそこは飛ぶべきなんだ


 だからクライマックスでしんのが飛んだ時、震えるほど泣いたんだ。本当に号泣してしまった。理由なんてわからない。とにかく涙が出て仕方なかった。

 確かになぜ飛ぶのかよくわからないよ。ついていけないって人の意見もわかる。でも理屈じゃない勢いを表現するためには、あそこはやっぱり飛ぶべきなんだ

 それが違和感なくできるのがアニメなんだって・・・それをやってくれたこと、それら全てに感動したんだと思う。
理屈じゃない若さの表現
比喩じゃなくて肩を震わせて泣いてしまった
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 これはオッサンの感傷と思われても仕方ないけど、でも本当に震えたんだから仕方がない。言葉にならない色んな感覚が溢れてくる・・・完全にやられました。

 もちろんあいみょんの歌のタイミングも最高だったよね。長井龍雪 監督はうまいね。歌詞とセリフも綿密なタイミングで重ねる素晴らしさ。本当に自分好みです。

 正直言うとあいみょんの曲、見る前はそれほど響かないかな・・・って思ってたんですよね。でも劇中でサビが流れた瞬間ブァッ・・・って息ができなくなるくらい泣き崩れてしまった。

あいみょん –空の青さを知る人よ【movie ver.】
(公式フルバージョン)

 楽曲だけ、台詞だけ、ストーリーだけじゃない。この組み合わせだからこそ言葉にならない感動が生まれるんだと思う。

 

あかねは『待つ女』ではない


 ここまで慎之介の事を書いていて何だけど、この作品で最も重要な人物っていうのは『あかね』だと思うんですよね。『空の青さを知る人よ』ってタイトルも、この作品が『あかね』が重要なキーになっていることを示唆していると思う。

 様々な登場人物によって間接的に『あかね』という人物の複雑な心境を知っていく物語。自分はそう解釈しました。それはつまり『空の青さ』って何か?に繋がるんだと思うんです。
2019年ベストメガネにノミネートしたくなる秀逸なキャラデ
でも可愛いだけの単純な人物ではない!
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 『井の中の蛙 大海を知らず されど空の青さを知る』言葉は有名だけど、この作品では『空の青さ』って単に地元LOVEって事にとどまらない。大海の広さと同じくらい、空は深く複雑な表情を見せる。そこにいるからこそ、その選択をしたからこそわかる事ってある。

 あかねという人物だって、決して単純ではない。立派なお姉さんという評判も本当だけど彼女の一面でしかない。地元に縛り付けられ、昔の恋に囚われている・・・ってのも、それはある一面ではそう見えるかもしれないけど、それだけで彼女を語ることはできない

 あかね自身ですらうまく伝えられない・・・そんな言葉にできない想いを抱えて生きる。

あかねの表情が語るもの


 あかねってこの作品で最も表情が豊かに描かれた人物だと思うんですよね。言葉以上に表情で多くを語らせている

 酔っ払った慎之介にかける「がっかりさせないで」の表情。役所の渡り廊下でみちんこに不快を伝える時の表情。あおいに進学を勧めて拒絶された時の表情・・・。
優しいだけじゃない色んな表情
吉岡里帆さんの演技も素晴らしい。
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 そして圧巻なのは、あおいに「あか姉のようになりなくない!」と言われた時の表情・・・あの時あかねはキレて怒り出すでもなく、悲しんで泣き崩れるでもなかった。代わりに見せたあの表情。なんて言えばいいのか分からない、すべての感情が混ざったようなあの微妙な表情!

 彼女は「私だって辛かったんだよ!自分も自由に生きたかったのに!』という怒りを我慢してたの?違うよね。そうじゃない。ただ自分の気持ちが伝わらない無力感。

 確かに辛いこと悲しいこともあった。でもそれは自分で選んだつもりだし、やりがいもあるもの。縛り付けられてる囚われてる、我慢してる・・ってそう思われるのは違う。

 いろんな人があかねの一面を知っている。でも一面しか知らない。でもそれは一面では正しいのかもしれないけど、彼女の全てじゃない

 そうやっていろんな人の関わりによって見えてくるあかねの人物像。大変なこともあったけど、責任感だけでで頑張ってきたわけじゃない。あおいとの生活を大切にしたかったし、地元で生きる意味も知っていた。

彼女は自分の人生を生きている


 だから、あかねが『挫折した男性を待つ理想の女性像』なはずがないんだよね。自分はそうは思わなかった。

 恋愛も「いろいろあったよ」言われてあおいが驚いたように。彼女は自分の人生を生きている。慎之介のことだって「待ってた・・・のかなぁ』って・・・自分でもよくわからない。

 でもさ、そんなもんだよね。10年以上前の恋にすがってるわけじゃない。でも忘れてるわけでもない。最も多感な時代の二人の約束。囚われているわけじゃないけど、でも心の片隅には残っている大切な記憶

 それが、再会して、再び音楽を奏でて、笑いあって、そして自分のことを好きでいてくれる・・・片隅にしまってあった記憶が一気に溢れてくる。

 だからこそ、慎之介には負けたような気持ちで求婚してほしくない。こんな形で受け入れることは互いの想いを裏切る気がする。それがあの回答なんだと思う。
あかねの涙は拒絶した辛さだけじゃない
仕舞っていた色んな想いが溢れた涙だと思う
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 あかねは、みちんこに余計な気づかいされて怒ってたけど、でもそれが無かったら二人は再び交わることはなかったかもしれない。そういう意味ではみちんこキューピット役。

 ただ、それって本当はみちんこ自身が納得したかったからなんだよね。

 そう言う意味では囚われているのは『みちんこ』自身ともいえるわけで・・・その息子であるツグしんのに仁義を通すのを見ると、もしかしてみちんこも高校時代に本当はあかねに憧れていたのかも・・・って想像しちゃいますね。

ラストシーンの意味


 そしてあのラストシーン。最後のライブが見たかった・・・っていう意見もわかる。自分も初見では、えっココで終わるの?って驚きがあった。

 でもそれは不足感よりもスゴイ!っていう驚きが勝りました。まるで小説の最終ページのような余白のある終わり方
一見すると唐突なラストシーンに見えるが・・・
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 あおいの『泣いて・・・ないし!』のセリフ。なぜこのシーンをラストシーンに持ってきたのか。もちろんしんのとの別れなんだけど・・・もう一つの意味が込められていると思うんです。

あおいが知った空の青さ・・・


 それはあおいが、本当の意味であか姉の気持ちを経験できたから。13年前のあかねがした選択。誤解していたあかねの想いを理解できたから。

 あおいは高校生のしんのに恋をしたからこそ、当時のあか姉の葛藤が自分のものとして理解できた。あか姉という大切な人の幸せと、しんのという好きな人と一緒にいたいという相反する願い。

 それを知ったから、自分のせいであか姉の恋を引き裂いたという罪悪感がは一層強くなったのかもしれない。
最初は葛藤に苦しむあおい
でもその葛藤が姉の気持ちを理解するきっかけになる
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 そして、あおいもまた自分自身の選択でしんのと別れる決断をした。あかねが妹の幸せを願ったのと同じように。でも、それを『かわいそう』と思って欲しいだろうか?姉のために犠牲になったって思われたいだろうか。

 そんなわけないよね!もちろん別れは悲しい・・・悲しいのは本当だけど、あか姉に罪悪感を持って欲しいなんて思わない。それは自分の希望でもあるんだから!だから泣いて・・・ないし!』なんだと思う。

 こう考えた時・・・ラストシーンはこれしかないと思った。あおいにあかねの想いが伝わった。中途半端なんかじゃない。これこそがこの物語の着地点

 『空の青さを知る』に込められたもう一つの意味。それは『あかねの想いを知る』ということ。それが繋がって見えた時、その作劇の巧みさに感動しました。



エンディングの後日談は蛇足か?


 それだけに、エンディングの後日談は賛否両論あって、自分も初見ではエ〜ッ!って感じでしたね。せっかく残した余白を全て埋めるようなエンディング。

 だから『蛇足』と言われる気持ちもわかる。でもね、自分はそう斬って捨てるのには抵抗があるんだな。

 やっぱり一般向けの作品としてはあそこまで書ききる必要があったんだと思う。

 あのラストシーンは最高だけど少し文芸的すぎるんですよね。自分だって2回見て2週間以上考えてたどり着いたから(笑)
美しい自然描写も本作の魅力
あと若山詩音さんの絶叫はすっごく好き。
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 わかる人には素晴らしいんだけど、多くの人にとって『単に物足りなく感じる』のかもしれない。それはしょうがないと思う。

 それは、前作の『心が叫びたがってるんだ』のラストシーンもそんな感じで、あれも素晴らしい終わり方だと思うんだけど、やっぱり批判というか『なんであそこで終わるの?』っていう素朴な疑問が聞かれました。

 そこを『それがいいんだよ!』って自分みたいな観客がいうのは良いんだけど、映画としては幅広い人に見てもらいたいわけで・・・だからED内に後日談としてもう一つの着地点を提供するというのはいい選択だと思う。その代わり本編は妥協しない

 色んなやり方があると思うんですよね。エンディング後のエピローグで差し込むとか、小説版で補足するとかね。でも映画の中で完結させるという意味ではエンディング内での補足がベストだったと思う。

 実際に、本編でもあの結末は意外というわけじゃないから、本編をぶち壊しって感じじゃないしね。

 ただ懸念するのは、結果として『ハッピーエンド』ばかりが印象に残らないか心配。あかねが『都合のいい女性』のような薄っぺらい印象にすり替わってしまう心配があるんだよね。

最後に:


 色々書いてしまったけど、初見で号泣してしまってから2週間近くずっと考えさせられる作品でした。自分がおっさんなのは確かだけど『おっさん向け作品』と括られるのはすごく悔しい!って思ったんですよね。

 感動しすぎる作品って強さのあまり、精神的にハレーションを起こしてしまって作品全体が見えなくなりますね。でもだんだんと作品全体が見えてきた時あらためて素晴らしさに感動しました。

 ああ、やっぱりこの作品はすごい!って、自分の予感は正しかった。この感動をみんなに知ってもらいたい。

千佳とツグ。この二人もすごくいい役だった。
あとベースで警察官のアボを吉野裕行さんにしたのはさすが。
顔が違っても声を聞いてすぐわかる(笑)
Ⓒ2019 SORAAO PROJECT

 岡田麿里さんの脚本の魅力って言葉にし難いんだけど、登場人物の思いが交錯していく感じとか、うまくいかない人に対する眼差しとか、この作品もすごくその魅力が出ていたと思いますね。

 秩父三部作っていわれるけど、自分は前作の『心が叫びたがってるんだ。』を大絶賛していました。どちらが上とかいえないけど『空の青さを知る人よ』はまさに三部作の締めとするにふさわしい作品でしたね。

 今この時に、出会えることができて本当に幸せでした!

監督長井龍雪/脚本岡田麿里
キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀/色彩設計:中島和子
製作清水博之・川村元気・斎藤俊輔
制作:CloverWorks

『空の青さを知る人よ』公式サイト:https://soraaoproject.jp

関連 映画 心が叫びたがってるんだ。 感想 :あの花にイマイチ感動できなかった人に勧めたい恋愛の名作 - アニメとスピーカーと‥
関連 映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』感想:この時代に『愛』を語る意味 - アニメとスピーカーと‥

スポンサーリンク