『映画 バブル』を映画館で鑑賞しました。(結局3回見ました😊)
ヒロインの表情がすっごい可愛らしくて、ダイナミックな動きの爽快感が気持ちのい作品でしたね。
人魚姫をSF的に再解釈したストーリーですが難解な設定を理解せずとも楽しめます。自分は恋するヒロインの可愛くも切ないラブストーリーと受け止めました。
映画『バブル』予告編より画像引用 (当ブログの画像引用について) ©2022「バブル」製作委員会 |
この作品は音響と映像の迫力がものすごく重要なので、家で見る場合もできるだけ良い環境にすることをお勧めしたいですね。パルクールと呼ばれる一種の重力競技の浮遊感・爽快感をどれだけ楽しめるかが重要です。
画面はもちろん大きい方がいいのですが、小さくても部屋は暗めにして集中できるように。それ以上に影響が大きいのが音響ですね。
劇伴とのシンクロがとても気持ちいい作品なので、できれば低音が体に響くオーディオを、無理ならせめてヘッドホンで楽しみたいです。
本当にこの作品は視聴環境によって作品自体の印象がかなり変わりそうですね。『物語』が刺さるか刺さらないかは好みによるとしても、本作の魅力の半分はこの『体感』によるところが大きいんじゃないでしょうか。
※後半よりネタバレありのレビューになりますので未見の方はご注意ください。
ドルビーシネマとの相性がスゴイ
最初に見たのはドルビーシネマだったのですが相性は抜群でした!というかちょっと衝撃でしたね。初ドルビーシネマでしたが割増料金の価値はありました。
ドルビーシネマは単に黒が締まるっていう程度のイメージだったのですが、実際に見ると濃厚でシャープな映像とクリアで迫力ある音響がスゴイ。
言葉にするのが難しいのですが、オープニングからバッチリ決まってて、いきなりちょっと涙出てしまいました。
冒頭のこの黒がすごかった・・・ドルビーシネマ! ©2022「バブル」製作委員会 |
本作のドルビーシネマ版はバブル制作スタッフがかなり力を入れて調整したとのことで、なるほど・・・って感じのハマり具合。最初に見たのがドルシネ版だったので、良くも悪くもこの印象が強いですね。「
この作品はNetflixで先行配信されたのですが、それを見た人たちの反応が結構微妙だったんですよね。
どうもNetflix版とオープニング映像が違うというのもあるらしいのですが、それ以上にTVアニメ感覚で見てしまうと体感の魅力が感じられないからかなぁと思います。
それだと『物語』部分が刺さらない人には微妙だし、そもそもこの物語自体が体感を感じた上だからこそ楽しめる気がするんですよね。
物語や設定の位置付け
人魚姫やSF要素って書きましたが、この作品って意外とそういう設定や物語の背景を理解しなくても大丈夫・・・というか映画だけを見ても全部を理解することは多分できないんじゃないかな。自分も3回見ましたが結局解明できませんでした。
重力異常を起こした東京という設定 昨年の劇スタァライト以来1年ぶりの東京タワー崩壊(笑) ©2022「バブル」製作委員会 |
あくまでSF要素はこの物語に厚みを持たせる背景なので、ボーイミーツガール的なストーリーを素直に楽しんでる分には、わからないこと自体は案外ノイズになりませんでした。
とはいえ、見てると疑問があるのは確か。重力異常の原因はなんだろう?とか、お姉さま達とは結局なんなのか?とかね。
初見の時はそれを理解しないといけないような気がしたのですが、そこはあまり考えずに素直に見るほうが良いみたいです。
重力異常を利用した競技パルクール 字幕版を見るとアワを踏むと出る音は『泡の声』とのこと。 ©2022「バブル」製作委員会 |
ただそれが良く言えばシンプル、悪く言えば薄味な印象になってるんですよね。SF設定に惹かれて読み解こうとすると食い足りなさを感じました。
詳しい設定については武田綾乃先生のノベライズ版が素晴らしい描写だと評判ですね。
ただ、映画にSF要素までガッツリ入れちゃうと、話の軸がぶれるというか散漫になる可能性があるので、本作はこれで良いのかもな〜という思いもあります。
躍動感のある作画。爽快感がすばらしい!
ただ初見の時は物足りなく感じたものの、見終わった後に爽快感が残るんですよね。あれをもう一度体験したいなぁ・・・て。
廃墟の中の浮遊感は進撃の巨人以上の爽快感。 ©2022「バブル」製作委員会 |
特にクライマックスの東京タワーのシーン。あれは劇伴とあいまって盛り上げ方が素晴らしかったですね。
最後ににウタの声が聞こえるシーンは劇伴とのシンクロがバッチリ決まって震えました。正直あのシーンはもっと見ていたい・・・って思いましたね。
ウタとヒビキが揃うシーンはさらに気持ちがいい。 ©2022「バブル」製作委員会 |
あと、ウタとヒビキが二人でパルクールをするシーンも良かったです。フィギュアスケートのペア演技を見るような気持ち良さがありましたね。
とにかくキャラクターの動き、大胆なカメラワークが素晴らしくって、3Dキャラとは違う2D作品ならではの躍動感を楽しめました。
予想外なウタの可愛さにビビる
もう一つ、すごく印象的だったのは、なんといってもウタの可愛さなんですよね。これには驚きました。
予告の印象よりずっとカワイイ感じ 表情の変化が素晴らしいです。 ©2022「バブル」製作委員会 |
事前イメージや予告などでは正直パッとしないというか、微妙な感じのキャラクターだったんですよね。少なくともカワイイって感じじゃなかったです。
だから全く期待してなかったんですが、実際に動いているところを見ると、その表情の素晴らしさは衝撃的!ホントにカワイイんですよね。これは正直ビビりました。
時折挟まれる精緻イラスト風の描写。 萌えキャラ風の描写とのコントラストが鮮やか。 ©2022「バブル」製作委員会 |
さらにその動きも非常に柔らかい感じで魅力的。作画ならではの違和感のない動きで見ているだけで楽しいです。
柔らかいといえば、女性研究員のマコトさんも本当に魅力的ですね。バストが・・・というのはよく言われますが、それだけじゃなくて全身から柔らかな重量感を感じるんですよね。
あの作画は素晴らしいなぁと思いました。パルクールもだけど、とにかくこの作品って重力の表現の仕方がすごいですよね。
※次章から若干ネタバレありの考察となります。未見の方はご注意ください。
ウタとヒビキの共通点
SFという点ではウタの正体は何か?って話ですよね。泡から突然生まれてものすごい勢いで知識を吸収していく。
映画内では詳細は語られませんが、宇宙生命体だっていうのは公式サイトのプロダクションノートに明記されています。
泡は人類には生命体とは認識されていないようだった。 ©2022「バブル」製作委員会 |
ある種の群体的な生命体なのかなと想像しますが、人間とはあまりに違うので互いに交流が持てないんですよね。
でも1つだけ個性を持った泡がヒビキと交流できることに気づく。そういうヒビキもまた人間の中では特殊な『聞こえすぎる障害』を持つ存在なんですよね。
互いに心を通わせられる二人が奇跡的に接触を果たす・・・これは理解した時結構感動しました。
ただ、これはもしかしたら宇宙生命体にとっては有ってはいけない、想定外の事態だったのかもしれないですね。
ウタはヒビキと交わって生まれた
序盤の出現シーンで受精卵が細胞分裂していくような描写がありますよね。
2度目に見たとき気付いたのですが、ウタの元になる泡が、ヒビキの出す呼吸の泡と交わった時、まるで受精した卵細胞のように分裂して人型のウタを形作るんですよね。
ヒビキの呼吸と交わり出現したウタ ©2022「バブル」製作委員会 |
つまりウタはヒビキによって生み出された存在とも言えるんですよね。もちろんウタの願いがあってのことですが。
ヒビキの命を救うためとっさにヒビキの呼吸と交わって実体化してしまったのがウタなんですね。
余談ですが、たまたま近くにあった過去の電車の吊り広告にあったアイドルの姿を模して成長したの可愛くてラッキーでしたね。
なぜウタはヒビキに触れたときだけ泡に戻るのか?
初見の時はいまいちわからなかったんですよね。ヒビキ以外の人には触れても泡に戻らない理由が。
でもヒビキの泡と交わって生まれた体だから、ヒビキと触れると戻ってしまうということだったんですね。
それがある意味ヒビキの命を救った『代償』なんだなぁ。この辺も人魚姫との合わせ方がうまいですよね。
恋するウタにとってヒビキに触れることができないのが切ない ©2022「バブル」製作委員会 |
ただ、最後にウタはヒビキと抱き合い、泡になってしまうわけですが、消えてなくなってしまったわけではないんですよね。分裂し普遍的な存在となったように見えます。
以前の個体としての泡とはちょっと違うようだけど、他の泡と記憶を共有することで、いつもヒビキのそばにいる事を示唆するようなラストでしたね。
これが分裂と集合と繰り返す・・・という意味なのかな。全く違う生物である泡と人間が宇宙スケールの偶然で出会い交わる。そう考えると壮大なラブストーリーですね。
ウタが時折口ずさむ人魚姫の一節 彼女はこの状況を人魚姫になぞらえて解釈している ©2022「バブル」製作委員会 |
ウタだったかもしれない泡と人間が地球で共存する世界。それは風の精になって愛する王子の世界に生きる人魚姫の結末とも共通する。
でもそれよりはちょっと暖かいラストシーンだなと追います。
最後に:評価は不遇でしたが良作!
不幸にもNetflixの先行配信では微妙な評価となってしまったこの作品。低評価が過剰に拡散したせいもあってかなりの苦戦を強いられた印象です。
正直、酷評をネタとして消費している感じになっていましたね。見ていない人が大半だと思いますがタイトルだけは話題になったかもしれません。
まあ無視されるよりは悪評の方がマシという考えもありますが、こういう評価を真に受けて『駄作なんだ』と即断してしまう人がいるのも事実。
マコトさんの存在も魅力の一つでした ©2022「バブル」製作委員会 |
でも映画館で見た人はそこまで低評価に感じた人は少なかったのではないでしょうか。実際かなりハマって深い考察をされている方も多いですよね。
とはいえ、初見では自分も絶賛とはいかなかったのも事実。背景や設定を気にしなくても楽しめる反面、SF設定などは情報不足でもう少し行間を読むヒントをくれれば・・・というのはありましたね。
それでも不思議な魅力があって結局3度も映画館(DolbyCinema→字幕付き→通常)に行ってしまいました。それだけ『体感』したくなる作品。
素晴らしい爽快感を楽しむことができたのは事実です!
監督:荒木哲郎
脚本:虚淵玄・大樹連司・佐藤直子
キャラクターデザイン原案:小畑健
キャラクターデザイン/総作画監督:門脇聡
メインアニメーター:浅野恭司・千葉崇明
色彩設計:橋本賢/音楽:澤野弘之
制作: WIT STUDIO
映画『バブル』公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp
【参考リンク】
外部リンク 制作の裏話ですが世界観の理解に役立ちます/プロダクションノート(スタッフ鼎談):『バブル』公式サイト
外部リンク 赤裸々なインタビュー 姉様のデザインに言及/映画『バブル』荒木哲郎監督にインタビュー:GIZMOD
外部リンク 姉様の表現と人魚姫の関係について参考になりました/“マイノリティー”と“世界の肯定”の物語だった:シネマズプラス・ヒタナカ 氏の記事
外部リンク 作品理解のためのヒントになる事が多かったです/なきハジメの( @niwakahitori) さんの バブルに関する一連の感想ツイート:Twitter・映画バブルへの言及ツイートより
0 件のコメント:
コメントを投稿
お気軽にコメントどうぞ!長文も一言でもOK。古い記事でも頂けると嬉しいです。(Safariで公開できない場合は設定/プライバシー/サイト越えトラッキングを防ぐをOFFにしてください)