映画『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』を映画館で観てきました!
TV版の『オッドタクシー』は2021年のオリジナルアニメ。すごく話題になったし個人的にも年間トップレベルの傑作だったと思います。
今回の劇場版は『単なる総集編では?』という評価もあって心配してたのですが、実際見てみると総集編というよりはやっぱり『後日談』ですよね。
TVシリーズの事件を調査するという形式で新たに撮り直したような構成。それが大部分なので総集編のように見えますけどね。
映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ 予告編より画像引用 (当ブログの画像引用について) © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
TV版のファンからするとキャラクターの目線で当時を振り返りつつ『オッドタクシーの世界』に引き戻してくれる感じで、後日談とともにTVシリーズの空白を埋めてくれるような構成。
だから下手にTV版を復習するより、適当に忘れてるくらいで見るのがちょうどいいかもしれませんね。
逆に言えば『TVシリーズの鮮やかな展開』っていうのはあえて抑えているように感じましたね。初見でも楽しめなくはないけど、あくまでTV版を完走した人向けの作品ですよね。そういう意味では2時間以上たっぷりかけた贅沢なエピローグと言えるかも。
確かに全13話後の特別編として30分の特別番組でも伝わったかもしれないけど、この贅沢さがいいじゃないですか!
TV版が好きだった人はもちろん必見。TVシリーズの『あの後がわかる』って言えば絶対見たくなりますよね。
【追記】公式YouTubeのオーディオドラマ(無料)は絶対聞いてから映画版を見た方がいいです。聞いた後の方がラストの解釈がスッと入ってくるので。自分は聞かずに行ってしまったのでちょっと理解が大変でした(泣)13話ありますが1話は数分です。必ずラストまで聞きましょう!
※次章から若干のTV版ネタバレ、後半から映画版ネタバレありとなりますのでご注意ください。個人的なレビュー・考察ですのでご了承ください。
TV版の素晴らしさと、劇場版への不安
そもそもこの映画が発表された時『えっ、どんな作品になるの?』という思いはありましたよね。
TV版は構成のうまさが光る群像劇。13話のオリジナルアニメとしては出色の面白さでしたね。TVアニメの形式をうまく使ったミステリアスな展開に惹きつけられました。
主人公はタクシードライバーの小戸川宏 41歳。 © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
ラストの展開が印象的なのでそこに注目されがちですが、この作品の魅力はラストだけじゃないですよね。
バラバラに発生した群像劇が交わってくる構成の見事さ、劇中のコントに代表される脚本のリズム感、それを13話の中でテンポ良く展開し飽きさせない引きの巧みさ・・・。
いい味を出しながら作品に絡んでくるお笑いコンビ。 コンビ名のホモ・サピエンスもいいフリになってました。 © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
これがアニメ初監督となる木下麦 氏と、脚本の此元和津也 氏のタッグということでビックリでしたね。全くノーマークでしたが、最後までダレることなくキッチリ着地させる作劇に驚嘆したのを覚えています。
今回、2時間余の長尺とは言えTVシリーズの面白さをどうまとめるのか、総集編っぽくなると面白さを出すのは難しいだろうなと思いますよね。あれはTVアニメの形式をフルに使ったからこその面白さなわけで。
総集編というより後日談
結果としては『TVシリーズのファン向けの後日談』と割り切った構成にした印象でしたね。続編とかスピンオフではなく、かと言って単なる総集編にもしなかったという感じ。
初見の人はどう思ったか?ってのは興味があるところですね。物語自体はわかるようになってたので『初見殺し』ってわけじゃ無いけど、多分退屈になっちゃうし本作の面白さはわからないんじゃないかと思います。
ミステリーキッスのステージを映画館で・・・と期待したのですが 安直な演出はしないぞ!という意志を感じました(笑) © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
自分みたいにほぼほぼ忘れて見に行ったくらいでちょうどいい気がします。逆に律儀にTV版を復習した人はちょっと退屈に感じたかもしれないですよね。
※次章より映画版のネタバレが若干ありますのでご注意ください。
新規絵はたくさんありそうだけど・・・
前半は『あの時はああいう事だった・・・』という振り返りが軸になるんだけど、正直『どこまでが新規絵でどこからが再構成なのか』よく分からないくらいでした。そういう意味でも復習しないでぼんやり覚えているくらいの方が楽しめそうです。
ただ、終始淡々とインタビューが続くと、ちょっと退屈に感じるのも仕方ないかな。当然ですが、TV版のような『引きの強さ』はないんですよね。こういうのも絵のあるラジオドラマみたいな感じで悪くはないんだけど。
小雪舞い散る印象的なダイブシーン。 これは大スクリーンで映える映像でした。 © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
ただ、それだけにクライマックスの『ダイブのシーン』はTV版以上に良かったかも。スクリーンに映えるし、しっかりタメてくれるんで、映画館で見てよかったなぁと思えるシーンでした。
『後日談のとけた謎』と『新たな疑問』の解釈
こうやって細かい空白を埋めていくような感じで振り返っていくんだけど、肝心の後日談である『あのシーンのその後』は結構短いんですよね。
最後に主人公の小戸川のタクシーに三矢ユキを乗せるシーン。三矢ユキの思わせぶりなセリフで終わったTVシリーズの『その後』をやってくれたわけですけど・・・あれは『えっ〜!』って驚きませんでした?
TVシリーズラストの『あのシーン』に何があったのか ある意味ここが一番の楽しみなわけですが・・・ © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
『なんか助かったっぽいけど・・・つまりどういうこと?』って。劇場版を2時間見たのに結局また謎として残るとかそりゃないよ〜って、かなり焦りました(笑)
実はエンディングに種明かしがあるんですよね。でもあれ、スタッフクレジットに集中してたら気づかないかもしれないですね。あれをうっかり見逃したらヤバイですよね(汗)
自分も短時間だったのでちゃんと読み取れてない感じで・・・まあ、あの動揺も含めてエンターテイメントなのかもしれませんが(笑)
TVニュースのシーンで『助けた男性は負傷』と表示されてたけど、つまりタエ子ママが男性だったという事なんですかね。これはTV版で示唆されてましたっけ?自分は全然気づいてなかったんだけど。
入院しているシーンがあるので、タエ子ママが助けたってことで間違いないとは思うんですけど・・・。
ほかにもママは、前半の調査についても何か裏事情を知っているという雰囲気でしたが・・・これも一瞬でしたからね〜。わからないですね。知ってる人いたらコメント欄で教えてください。
【追記】※コメントにて助けたのは飲み屋のタエ子ママではなく友人の『柿花』(清掃員/シロテテナガザル)と情報いただきました!EDのTV表示で出ていたとの事です。タエ子ママの入院シーンはオーディオドラマで示唆されていたんですね(汗)
タエ子ママの裏事情もオーディオドラマを聴くとちょっとヒントがわかりますね。もともと探りを入れていたというか。でも柿花がなぜあの場で助けることができたのか・・・なんか理由がありそうだけど、まだ読み取れないです。
最初は白川さんがケイシャーダで助けたのかと思った(笑) 飯田里穂さんいい演技してましたね。 © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
ラストの実写シーンの謎をどう解釈するか
ところで、本作品の本当のラスト・・・エンディング後の一瞬のエピローグ。あの実写シーンはどういう意図なのか?これもまた新たな謎ですよね。
個人的には動物キャラの世界観が人間キャラの世界観に戻って、最後にリアルな人間のドラマに切り替わるというメタ的な演出だと解釈しました。
動物キャラにせよ、ママの性別にせよ・・・見えているものが全てではないというような感じでしょうか。
そもそも前半のインタビュー調査自体が、何を目的にしているのかっていうのもあるのですが・・・スッキリ終わりすぎないのは、むしろオッドタクシーっぽいなぁって感じますね。
__________________#映画オッドタクシー イン・ザ・ウッズ
— アニメ「オッドタクシー」OFFICIAL (@oddtaxi_) April 28, 2022
🎬🚖大ヒット上映中🚖🎬
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新規カットを公開📸#oddtaxi pic.twitter.com/wuTlSG2yQD
【追記】 個人的には上のツイートの3人組が調査員かなぁ・・・って解釈してるのですが。女子二人は柴垣のバイト先の花音と玲奈ですよね、なら右のモグラみたいな坊主キャラは誰なんでしょう?そして調査する目的は?考え始めると謎が深まるなぁ。あとキリンの長嶋がキーになりそうなのに映画ではあまり出てこなかったような気が・・・オーディオドラマ聴くと長嶋が調査してるのかなぁって気がしたんですけどね。う〜んもう一度見て確認したくなってきました(笑)
最後に:無理ゲーな映画化に攻めた演出
わりと淡々とした進行の作品ではありましたが、それでもエンディングに流れたTV版OP曲『ODDTAXI』ではじんわり感動しちゃいましたね。やっぱりオッドタクシーといえばこの曲ですよね。
市川しほ役の小泉萌香さんのシーンが多かったのは嬉しい。 すごくいい演技だったと思います。 © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ |
今回は総集編という噂を聞いて、上映館も少ないし忙しかったこともありちょっと鑑賞を迷ってたんですよね。でも見に行って良かったです。
確かに配信とかでも楽しめると思うけど、淡々とした前半は集中して見られたし、何と言ってもあのダイブシーンは大スクリーンで印象的でした。とはいえラストの謎解きを見直したいので、配信でももちろん見ますけどね。
それにしても改めて今回初監督となる木下麦監督と脚本の此元和津也さんの凄さですよね。無理ゲー感のある映画化企画でも、変に迎合することなく攻めた演出になっていたと思います。
その結果どうなの?って言われると賛否両論あると思いますが、自分はTV版を見た人向けの後日談として十分面白かったと思います。30分の特別番組ではできない贅沢な企画ですよね。つまり、それが許されるほどTVシリーズが傑作だったということかもしれませんが・・・。
原作:P.I.C.S.
監督:木下麦/脚本:此元和津也
キャラクターデザイン:木下麦、中山裕美
アニメーション制作 P.I.C.S./OLM Team Yoshioka
公式サイト:https://oddtaxi.jp/movie/
「小戸川を助けた男性」は垣花ですよ。松葉杖ついた状態で表彰されてる絵もEDに有りました。女将が怪我している経緯はyoutubeで公開されているオーディオドラマで分かります。
返信削除コメントありがとうございます!
削除そうでしたか!垣花だったんですね。割と一瞬しか見られなかったので認識できてませんでした(汗)
オーディオドラマも知ってはいたのですが、やっぱり聴いてから行けば良かったです。情報教えていただきありがとうございました!