アニメ映画『ブルーサーマル』を映画館で鑑賞してきました!
とっても気持ちの良い作品でした。なんと言っても主人公の『つるたま』の人柄が気持ちいい!そしてグライダーが風をつかんで飛行する気持ち良さとあいまって、いい後味の作品でした。
予告編より画像引用(当ブログの画像引用について) © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
事前の評判では『足早な展開が残念』という声もあって心配してたんですけど、自分としては確かにそういう面もありつつも『しっかり軸を絞った構成』が成功していたと感じましたね。余白をイメージさせながらも散漫にならず1本の作品として完成されていたと思います。
たしかにTVシリーズでじっくり見たくなる気持ちはわかりますが、つるたまを軸にしたドラマとグライダー競技の魅力は伝わったし、スカッとした盛り上がりや目頭が熱くなる感動があって満足感高かったです。
それでは以下、原作未見での感想になります!
※核心部分のネタバレは避けたレビューになりますが、未見の方はご注意ください。
舞台の地、熊谷の映画館で。
今回は映画の舞台にもなっている埼玉県熊谷市のシネティアラ21で鑑賞。
よそでは公開終了したあとも上映してくれてたので埼玉県民としては行かなきゃね〜と、ちょっと足を伸ばしてみました。
館内ではブルーサーマルの展示をしていました。 |
熊谷には妻沼滑空場というグライダーの施設があり名前だけは知っていたのですが、こんな風に大学の部活で使われるものなんですね。
自分もたまにグライダーが飛んでいるのを見ることがあるのですがここから飛んできたのかな?
予告で見たときは微妙・・・
鑑賞が遅れたのは、都合がつかかなかったこともあるのですが、予告編でいまいちピンとこなかったっていうのもあるんですよね。
体育会系の話でありがちな『努力・挫折・成長』みたいなのが苦手というのもありますが、主人公の都留たまき(通称つるたま)もなんだかパッとしない感じで・・・。
予告ではパッとしない印象の主人公だったが・・・ © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
実際に見たらとても気持ちいい作品
それが、実際に見ると、予告ではパッとしない印象だった『つるたま』がすっごく良いんですよ!
彼女の人柄の良さが長崎弁のテンポ感と相まって伝わってくるし、見てるとすっごく可愛く感じてくる不思議(笑)彼女の存在が作品全体を通して好印象にしてますね。
グライダー独特の風を切るような浮遊感 グライダー競技の内容も初めて知りました。 © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
そしてグライダーの風に乗っていく感じも気持ちよかったですね。動力を持たないグライダーの静かだけどダイナミックな動き。
上昇気流を捕まえて上昇し、長く滑空して飛んでいく。シンプルでプリミティブな魅力。乗ったことはないですが空気に乗っているような独特の気持ち良さが伝わりました。
※次項より若干ストーリーに触れた内容となりますのでご注意ください。
『努力』でなく『天才肌』の主人公
あと、つるたまを天才肌に描いたものすごくよかったですね。体育会系の厳しさみたいのもちゃんと描かれるんですが、つるたま自体は本人が全く自覚していなかった抜群の感覚を持っている。
つるたまの才能を見出した倉持先輩 © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
こういう設定は一歩間違うと興ざめしてしまうのですが、本作では良い方に出たと思います。作品のテンポ感をグッとあげてるんですよね。
特にライバルの羽鳥との競技で一気に上昇するシーン。あそこはスカっとしました。かなりのカタルシス感ありましたね。
羽鳥がカネにモノを言わせて充実装備でチートするなら、こちらは才能でチートするっていうのが楽しいんですよね。カネはなくても努力で乗り越えるってのも良いのですが、自分はむしろ非現実的に感じてしまって。
いかにもな嫌味キャラの羽鳥 でも心底悪い人は出てこないので安心 © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
特にこの短時間で魅せるには努力展開より才能展開の方が違和感なくぴったりに感じました。
それにしても、つるたまもグライダーにのらなければ一生気付かない才能だったかもしれないけど、こういうのって世間でも色々ありそうですね。せっかく才能があっても見出されないまま埋もれていく才能って沢山あるんだろうなと。
足早ながらも軸を絞った構成
事前の評判にあった通り、確かに足早なところはあって、例えば『倉持先輩の秘密』とか『空知の悩み』とか、なんかありそうだけど深く追求されずに流れますね。空知のつるたまへの想いとかもそれほど詳しくかかれないしね。
でも色々あるんだろうな・・・と感じさせるフックは用意されているので、自分としてはそれほど不満に感じませんでした。
やたらつるたまの頭を叩くのがちょっと抵抗あったかな。 漫画だと多分違和感ないのかもしれないけど。 © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
作品自体は、群像劇的に多くの物語を内包しながら余白をイメージさせるに留め、つるたまとの関係性を軸に構成したのは見事でした。
お姉さんの矢野ちづるはしっかり描いていたしね。倉持先輩も彼の背景は深く描かれないものの、つるたまが倉持先輩に思いを強くする感覚は十分伝わってきたけどな。
つるたまの成長したパイロット姿はカッコいい。 © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
最後の大会でつるたまがタカ?と一緒に飛ぶところは、倉持先輩との心の共鳴を感じさせる素晴らしいシーンでしたね。あそこは目頭が熱くなりました。
確かにそれまでの過程はあまり描かれていないんだけど、つるたまにとっての倉持先輩への想いみたいなのを一瞬で納得させるものがありました。
最後に:予想外に楽しめました!
大学グライダー部って聞いたことはあるけど、文字通り『雲の上の存在』的なイメージでしたね。
金持ちの趣味といっては失礼ですが、お金の問題は大変そうですね。劇中では直接触れてはいなかったけど個人負担もかなりあるんだろうなぁ・・・って心配になりました。
部の運営自体も寄付やスポンサーがなければ継続も難しいだろうし。そういう現実的な話も織り込みつつ、それでも空の魅力にとりつかれた人たちの思いが伝わる作品でしたね。
どのキャラにも物語を感じる作品。 群像劇的な深みを感じますね。 © 2022「ブルーサーマル」製作委員会 |
原作:小沢かな『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-』
監督:橘正紀
脚本:橘正紀、高橋ナツコ
キャラクターデザイン/総作画監督:谷野美穂
美術監督:山子泰弘
色彩設計:橋本賢
公式サイト:https://blue-thermal.jp
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