映画 五等分の花嫁 感想:5人姉妹だから成立できた見事な着地点!

2022/06/08

アニメ

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 『映画 五等分の花嫁』を映画館で見てきました!

 泣きました・・・正直この作品でいいトシしたオッさんが感動とかって『倫理的にどうなの?』って思いは見ている間ずっとあったんですけどね。

『映画 五等分の花嫁』本予告/MVより画像引用
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©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 前半だけでもうたっぷり堪能したなぁと思ったら『まだ半分も残ってる!』という嬉しさ。これからさらにメインディッシュを堪能できるって喜び。後半はさらに一杯の切なさとトキメキで満たされた136分でした。

 若い女性のファンも多くて、実は隣が女性グループだったので、どうしたって自分の年齢を自覚せずにはいられないんですが、それでもエンディング曲が流れるともう涙が止まらなくって・・・乾く間もないもんですからね、逃げるようにスクリーンを後にしました。

 でも女性人気が高いのも納得の作品ですね。普通のハーレムアニメでは不可能な『5人姉妹』だからこそ成立できる見事な着地点。大胆な構成で完成された恋愛エンターテイメントでした。

映画「五等分の花嫁」本予告動画


最初は『とんでもないハーレムアニメだなぁ』と

 まあ、この作品。TV版1期を見始めた頃は『とんでもないハーレムアニメだなぁ』と呆れたわけですよ(笑)いや褒めてるんじゃなくて、本気で心配というか・・・ハーレムアニメも来る所まで来たなぁって。

 ご都合主義にもほどがあるでしょ・・・っていうか『おそ松さんのパクリ企画なのかな?』って。まあ誤解もいいところだったんですが(汗)

 しかも1期は作画とか色々悪い意味でも話題になってたわけですが、それでもな〜んか見続けてしまう魅力があったんですよね。

 それで2期が始まったわけですが、制作会社が変わってキャラデザが変わったじゃないですか。あれがね・・・特に風太郎の違和感についていけずに1話くらいで放置してしまっていました。

 劇場版が公開されるっていうので改めて2期を見始めたのですが、いやぁ・・・いいですね!

 1期は五月を軸に一花三玖の魅力が印象的だったのですが、2期は二乃の掘り下げ方が良かったですね。当初はあんまり応援できないキャラでしたが、2期を見ることでかなり幸せになって欲しい感が湧いてきました。

 そしてあのラストですよね・・・え?これって?五月ってコト?と驚いたのですが・・・。


※次章よりネタバレ全開となりますので未見の方はお帰りください。観たらまた来てね(笑)



結婚式から始まるOPが上手い!

 冒頭のオープニング曲『五等分の奇跡』良かったですよね〜事前に聴いてなかったので、イントロで『TV版の曲かな?』って一瞬思わせてからの・・・『おぉっ!』って感じ(笑)

 あのイントロの共通感がいいですよね。5つ子のセリフから入るイントロ。1期の時はむちゃくちゃこっぱずかしいと思ったのですが、今となってはこれぞ五等分の花嫁!っていう感じで、思わず笑みがこぼれてしまいました。

「五等分の軌跡」Μusic Video(歌:中野家の五つ子)

 そして結婚式から始まる展開がうまいんですよね。こちとら2期ラストのイメージで来てますからね。

 もちろん冒頭でいきなり明かされることはないだろ〜とは思ってますけど、それでもネタバレしないかヒヤヒヤするんですよね。

 でもこれで、本当に最後は結婚式で着地するんだ・・・って、なんとも言えない高揚感がありました。

前半だけでもたっぷり楽しめたけど・・・

 そしで、本編の前半のエピソードも劇場版!という感じで充実してましたね。プールのシーンライブシーンなんか、作画含めいろんな意味で良かったし。とはいえ、ここまでは拡大TV枠といった感じでもありました。

OPのプールのシーンはいきなり過激で苦笑いでした
ちょっとヒヤヒヤしちゃいますね。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 そしていよいよクライマックス!風太郎の選択のエピソードへ・・・というところで時計とチラリとみたら、まだ50分近く残ってるじゃないですか!

 この時のなんとも言えない嬉しさ(笑)やった〜まだまだここからたっぷり楽しめるぞ!ってほんとワクワクする感じでしたね。

まさかのマルチエンディング的構成!

 そうしたら・・・まさか、まさかのマルチエンディング的な構成とは・・・この展開は驚きました。

【追記】2回目を見ましたがマルチエンディングというわけじゃないのかな?だとしたら風太郎は学園祭で他の姉妹ともキスをしてたってこと?この辺まだ自分の中ではっきり解釈できないんだけど・・・!

【追記2】コメント欄で時系列で整理したコメントをいただきました!これを読むと同じ時間軸で姉妹の視点を変えたエピソードみたいですね。ということは・・・・結局全員とキスしたってことかな?(下記の追記3で解決しました)

 もちろんゲームとかでこういうやり方があるのは知ってるんだけど、これを映画でやっちゃうか?って驚き。ある意味で映画っていう枠から逸脱してますよね。

 曖昧にせず風太郎にちゃんと決断させる結末だが。
その前にマルチエンディング的シーンを挟み込む構成
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 タイムリープみたいなSF設定でもなく、登場人物の妄想シーンというわけでもなく、完全に観客のために『IF』を見せてくれる。(だよね?自分の勘違いだったらゴメンなさい)これって映画としてどうなの?って感じもします。

 でも自分は上手いと思うし、この作品の場合はこの手法をとるべき意味があると思いました。

 なぜならこの作品は、観客が自分を主人公の風太郎に投影するだけでなく、各ヒロインたちにも自己を投影できる作品だと思うんですよね。各ヒロインたちの想いを深掘りすることで、それぞれを応援したくなる

 だからこそ女性人気もすごく高い作品なんだと思う。そこで求められる鑑賞体験っていうものはなんなのか?ってことなんです。

追記3:3回目の鑑賞でわかった『4人とキスをした理由』

 3回目でようやく理解できました!(わかりにくくてごめんなさい!)鍵は文化祭で唯一キスをしなかった五月のシーン

※あくまで自分の解釈なので違ってたらごめんなさい!

 初見の時は五月の唇に近づいた風太郎が動揺していたのは、2期ラストのキスの相手が五月だとと気づいたから?と誤解してました。でもこれは逆なんですね。

 あれって風太郎が五月の唇を見た事で『あの時のキスは五月じゃない』と気づいたっていう事なんじゃないかな?

 つまり、風太郎が(自覚的に)キスをした一花二乃三久は違った・・・そして五月も違うとなれば、残るは・・・・四葉か!と風太郎が気づいた瞬間だったって事。

最初は『五月がキスの相手だったとわかった』からと誤解してました。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 だから本当のファーストキスは四葉だった・・・それを理解するためのあの構成だったんだなぁ。正直、これが理解できるまでは、四葉を選ぶのはいいけど、その前に姉妹とキスしちゃうってどうなの?って思いもあったんですよね。

 いやぁ・・・ホント自分のカンの悪さが恥ずかしいです。でもわかった瞬間、ちゃんとつながった感じでスッキリしました。

 ただ『最後の祭りが〜だった場合』というサブタイトルの意味が、まだちょっとすっきりしないんですよね。なにかに意味がかかってるんだろうか。

※あくまで現時点の自分の解釈です。コメント欄で別の解釈も教えていただいたのでご覧ください。

『一人を選ぶ』ことのリスク

 そもそも『一人を選ぶ』っていうのは、このカテゴリの作品にとってものすごいリスクのある展開だと思うんですよ。

 それまでのヒロインたちへの思い入れを強くすればするほど、その感情が逆流してしまう。それは作品体験自体を台無しにしてしまう可能性があるわけで。だから曖昧にした終わり方にすることだって全然アリなわけです。

 だって、それを正面切ってちゃんと描こうとするならシリアスなドラマ展開は免れない。端的に言って『悲劇』ですよ。たとえば『俺妹』みたいな強烈なシリアスエンドですよね。

 もちろんあれはあれで素晴らしい作品なんですが、この作品はそれをやらない。かといって曖昧なエンディングにはしない。

この作品をシリアスな涙だけで終わらせていいのか・・・
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 だからこのマルチエンディング構成をクッションとして間に入れることで、観客みんなの心に『救い』を与えてくれるのがあのキスシーンなわけですよね。

 これはズルいといえばズルいかもしれないけど、日本ならではの恋愛エンターテイメントの形としてアリかもしれないなぁ・・・と思いましたね。

 あのシーンがあることで、確かに失恋なんだけど観客としては救いがあるんですよ。結末は違うかもしれないけど、それでもあのシーンを見られただけで姉妹への思い入れ、投影している自分自身への想いといったものが昇華していくような気分になれる。

 だからこの構成はシリアスでも曖昧でもないもう一つの方法だと思いました。

でも最後に選んだのは・・・

 そして風太郎が本当に選んだのは・・・四葉でしたね。

 はぁ・・・良かった。別に自慢ではないですけど、自分は1期の時点で四葉になって欲しいな・・・って思いはあったんですよね。というか単に四葉推しってだけなのですが(笑)

実は四葉推しです。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 四葉ってすっごい良い子なのにメインヒロインになれない雰囲気あるじゃないですか。

 メインヒロインといえば五月のような華やかさがないと。だから1期の時には見た目から五月以外なくない?と思いつつも、自分なら四葉だけどなぁ(笑)って思ってました。

いかにもヒロインっぽかった五月。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 でも2期ラストのシーンを見て五月の可能性はかなり下がったか・・・って思いましたね。もちろん一周回ってやっぱり五月っていう可能性も残ってはいましたが、劇場版の展開を見てるとさらに『五月はないな』という確信を強くしてきました。

他の姉妹の予想は・・・

 映画を観る前の予想としては三玖が一番の候補かな?と感じてましたね。ただ映画のなかでだんだん独り立ちしていく雰囲気が『おや?』って感じだったし、三玖が目立てば目立つほど残らない予感が強まりました。

なんだかんだドラマの中心にいた気がする三玖
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 そして二乃は劇場版では、ほ〜んとに魅力的でしたよね。、TVシリーズでは正直良いイメージ持てませんでしたが、劇場版ではどんどん推し度が上がっていきましたね

まさかのライブシーンでしたが素晴らしい可愛さと動き。
何もかも最高なシーンでした。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 でも風太郎と付き合ってもうまくいかなそう・・・という不安もありますが、物語的にも二乃は絶対ないかなぁって感じでしたね。

 だから、二乃が魅力的になればなるほど、当て馬感というか悲劇のヒロインになる予感で切なかったなぁ。この辺の作りも上手いよね!

一花の魅力と・・・

 一花は正直いって可能性低いなぁと思っていました。

 劇中の手段を選ばない猛烈攻勢が絶対アダになる予感でしたよね。でも一花も個人的に好きなんだよなぁ。特にあのとにかく風太郎を手に入れたいという熱烈な感じお姉さんキャラを演じながら必死になる感じがすごく良かった。

罪悪感を感じながらも出し抜いていこうとする必死さが魅力。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 実は花澤香菜さんが一花の声をやってるの、最初はかなり違和感だったんですよね。お姉さんキャラが似合わない感じがして。でも見てるうちにだんだん良くなってきて・・・今はあの違和感が逆に癖になってます(笑)

 ひるがえって四葉は、個人的に選ばれて欲しいという思いもあったけど、劇場版では他の姉妹の可能性が低くなっていくなか四葉だけが下がらない、ある意味消去法的な感じで浮き上がってきました。

 とはいえ、最後の最後まで確信は持てなかったんだけど、それでも心の準備はできてましたね(笑)

5つ子の姉妹だから成立できる結末

 だから逆に四葉が選ばれてから、あれだけ長いエピソードが用意されていたのはちょっとびっくりでしたね。

 あれだけ付き合うのを先延ばしにしたのも意外だったけど、他の姉妹に話をして回るエピソードは、まさに『四葉じゃなきゃダメだったな』という納得感を強くさせました。

明かされる彼女の過去はこの作品の核心。
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 さらに深掘りした彼女の過去、つまり四葉の姉妹からの独立心や、むしろ今の四葉とは真逆にみえる彼女の過去の経緯。ホントこの作品の核心に触れるようなエピソード。

 シンプルな恋愛の物語から5人姉妹の再生の物語に着地させたのは見事でした。

 風太郎の存在が、一度はバラバラになりかけた姉妹の心もう一度つなぎ直すきっかけとなるという見事すぎる展開

 単なる5人の女子のハーレム作品じゃなくて、5つ子の姉妹だから成立できる結末だと思うんですよ。おそ松さんのパクリだなんて思ってほんとゴメンなさい!

5人姉妹の再生の物語にまとめあげた結末
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 それにしても、四葉とのデートシーン良かったですね。『一緒にいるだけで嬉しい』的なセリフ。自分が中高生だった時に言われたら幸せすぎて逃げ出しますね(笑)

これはやられた・・・見事なラストのひねり

 そして5年後のエピローグ

 さすがにすぐには結婚しないよね〜と思いつつ、久しぶりに集結する5人姉妹が全員彼氏なしというのはちょっと驚きました。でもここでリアリティー入れる必要はないよね(笑)ブレがなくて良いです。

ここまで来ての結婚式シーンはまさに感無量
©春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会

 で、たっぷり堪能した結婚式のシーン・・・か〜ら〜の、まさかの夢オチ???ってビックリしましたよね。

 えっ?これ全部夢にしちゃうの?それはちょっと・・・って動揺させてから『回想でした〜』でホッとしてからのエンディングこれ上手いなぁ・・・と思わせた瞬間に涙が!

 それまですでに満水になっていた涙腺。ほんの少し感情を揺らしたことでドッと崩壊するように涙が止まらなくなりました。そのキッカケになる演出の巧みさ。見事です!

 エンディング曲の素晴らしさも相まって、もう涙止まらないじゃない!

 もう完全にやられました・・・涙とまらないんだからエンディング終わるの早すぎだよ〜(泣)ちょっとまって〜って感じでした。

最後に:最高の恋愛エンターテイメントでした!

 まあ、いろいろ語ってしまいましたが・・・原作も読んでないし、TVシリーズもそれほどハマりこんでない自分が色々語るのは、ちょっと不快に思う人がいたらごめんなさい。勘違いの部分があればコメントで教えてくれると嬉しいです。

 それでも感動してしまったのは本当だし、5人にたくさん感情移入させられてしまって、とっても楽しかったです。

 最高にエンターテイメントになっていました。設定はご都合主義のハーレムアニメかもしれないけど、やっぱり力のある作品は心を動かしますね!

原作:春場ねぎ
監督:神保昌登/脚本:大知慶一郎
キャラクターデザイン:勝又聖人/色彩設計:松山愛子
制作:バイブリーアニメーションスタジオ

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/anime/5hanayome/

外部リンク  自分とは逆に批判的な感想を読みたい方はこちらをどうぞ。/<辛口>『映画 五等分の花嫁』ネタバレ感想&評価 ファンに向けられたファン向けアニメ映画:物語る亀 さん


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