映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』感想:見事な展開!ではあるけれど・・・

2022/02/27

アニメ

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 『グッバイ、ドン・グリーズ!』を見てきました。

 時間を超えて繋がる奇跡。小さな物語が大きな世界に繋がる展開。こう来るか!という想像もしていなかった驚き。さすが、いしづかあつこ監督と言った感じですね。

 反面、前作TVアニメの超名作『宇宙よりも遠い場所』と比べてはいけないと思いつつ、どうしても連想してしまうのは仕方のないところ。

 ガツンと感動したいところで、自分の感情とかみ合わずうまくノリ切れなかった自分がいました。いい作品だけど自分には評価が難しい作品でしたね。

映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』本予告ロングver.

※後半よりネタバレありのレビューになります。


『よりもい』と比べちゃダメだと思いつつ・・・

 いしづかあつこ監督『宇宙より遠い場所(よりもい)』メンバー再結集!・・・と宣伝されたら期待しないわけにはいかないですよね(笑)

 でも予告編では男子3人組の冒険譚といった雰囲気で、悪くはないけどそんなにトキめかなかったのも事実。

3人男子の冒険譚はわかるのですが
予告編では正直つかみどころのないイメージでしたね
当ブログの画像引用について
『グッバイ、ドン・グリーズ!』予告編より画像引用
©Goodbye,DonGlees Partners

 事前の評判では高評価の人もチラホラいるものの、なんとも微妙な評価の声も聞こえてくるんですよね。賛否両論というには、酷評の人はごく少数で『悪くないけどイマイチ乗れない』という人と『すごく良かった』という人に分かれる感じ。

 これは『良くできているけど人を選ぶ作品』かもなぁ・・・と思いましたね。ただ、今作はオリジナル作品で、しかも脚本もいしづかあつこ監督が兼ねるとのこと!

 以前の名作では花田十輝さんや吉田玲子さんなど有名脚本家とのタッグでしたからね。これは結構なチャレンジじゃないでしょうか。

 特に前作『よりもい』では脚本と演出が見事にかみ合っていて神がかってたじゃないですか。流石にあのレベルは求めちゃダメですよね。『よりもい』と比べて〜なんていう感想を見て、いやいやそれは比べちゃダメでしょ(笑)って思いつつ見に行きました。

※次項よりネタバレがありますのでご注意ください。最重要なネタバレは伏せていますが、できれば鑑賞後の方がオススメです。



コレ『男子版よりもい』じゃん!

 そしたらもう、コレ『男子版よりもい』じゃん!ってのは言い過ぎかもしれないけど・・・どうしたって連想せずにはいられないじゃないですか。よりもいを一旦忘れてとはさすがにいかない内容で、これは比べちゃうのも仕方ないわなぁ・・・って思いましたね。

 特に前半の山の中で楽曲をかぶせてくるシーン。あれはよりもい2話を連想しちゃいますよね。自分はよりもいで一番好きなのは有名なクライマックスよりも、あの新宿を駆け抜ける2話のシーンなんですよね。

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 あの青春の衝動に体が動かされて何だかわからない高揚感にきらめく演出が本当に神がかっていたんだけど、今作のシーンにはどうしても唐突感を感じてしまって・・・さらっと過ぎてしまった感じ。

 まあ悪くはないんだけど、どうしても『よりもいのシーン』を連想してしまうので厳しくなっちゃうんですよね。

ちょっと気持ちが散漫になった前半

 一部で話題になっていた山の探索での危険度。その辺のリアリティーラインについては、自分は全く気にならなかったですね。普通にアニメだしなぁという感じで。

高1という厨二とも違う微妙な年頃
自分にはちょっと遠くなりすぎた感覚かな・・・
©Goodbye,DonGlees Partners

 ただ、山火事の濡れ衣とか、そういう人間関係の暗部みたいなのが結構ノイズになってしまったかな。あれは割と最初の段階で『物語の主軸じゃない』って予感できたんだけど、それでも悪い意味でドキドキしちゃって、気持ちが逸れちゃった部分はありましたね。

 こういうのって2回目見るときは安心して見られるから印象変わるんだけど、ちょっと難しいところですね。でもそういうのも含めて前半の冒険シーンはちょっと気持ちが散漫になってしまった感じ。

見事な展開なんだけど・・・

 それに比べて後半(というか終盤)のアイスランドでの展開はすごかったですね。まあネタバレは書かないですが、ここでこう繋がるとは!って、全く予想できませんでした。この作劇はほんと見事でしたね。

物語が1点でクロスする作劇はホント見事でした。
全く予想できなかった。
©Goodbye,DonGlees Partners

 そういう点でも『よりもい』のクライマックスシーンを連想しちゃうんだけど、そこがまた難しいところで、ああいう爆発的な感動にはならなかったんですよね。あの一点に全てをかけてきた!って感じは伝わるんだけど。

 じゃあどうすればいいのかってのは・・・もちろんわからないんですけどね。もうすこし『タメ』が欲しかったというか、終盤の壮大な演出自分の感情がうまくかみ合わなかったんだなぁ。

 ただ見た後に、何とも言えない叙情的な気分にはなるんですよね。郷愁を感じるとも違うんだけど、何というか悪くない気分。

 あと、すごく序盤を見直したい気持ちになるのは確かですね。(だから冒頭15分映像を公開してくれたのはすごく嬉しい)

最後に

 自分もいいオッサンなので高校生の物語に共感もないだろう・・・と言われればそれまでなんですが(笑)イマイチ乗り切れなかったのがちょっと寂しさも感じるところ。

 でも全然悪くないんですけどね。お話はよくできているし映像も上質。それだけに評価が難しい感じ。

チボリの掘り下げが少ないのは残念。
でも予想以上に花澤香奈!って感じでしたね
©Goodbye,DonGlees Partners

 1クールのTVシリーズの方が良かったのでは?という意見もわかる気もしますが、それだとさすがに『男子版よりもい』になりすぎますかね(笑)

 ただヒロイン役のチボリの存在感が微妙だったので、その辺を膨らませた群像劇も見たい気がしますね。

 なんとも個人的には歯切れの悪い感想になってしまいましたが・・・映画館ではカップルの鑑賞も結構目立ちました。終了後に女子が男子に展開を説明してたりして。

 この作品はアニメファンというより一般向けなので、それは嬉しかったですね。デートムービーとしてもすごく合ってる作品だと思うのでオススメです!

監督・脚本:いしづかあつこ
キャラクターデザイン:吉松孝博
美術監督:岡本綾乃/色彩設計:大野春恵
アニメーション制作:MADHOUSE

公式サイト:https://donglees.com


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手の届く範囲で楽しんでいます。アニメ・自作スピーカー(長岡系)・オーディオ工作・Mac関係・・・などなど雑多ですがささやかな発表の場です。まどか☆マギカで目覚めて今は京アニ系ファン。40代既婚 自営 埼玉県在住 Hatena id:kato_19 ブクマ大歓迎 Twitter @id_kato_19です。詳細はブログの自己紹介エントリへ

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