作品タイトルは『ツイン・パッシブ』フルレンジ+パッシブラジエーター2個による仮想同軸(バーチカルツイン)スピーカーです。
今回の自作スピーカー ツイン・パッシブ |
開催は12月22日(日)13:00より 会場:東小金井マロンホール
http://www.audifill.com/event/011_020/event_014_3time.html
(当ページは現在作成中です。随時更新中です。)
当日の資料に書ききれない内容や、追加の情報などを随時追記していきます。
スピーカー概要:アニソン前提のボーカルを邪魔しない音
今回は構想段階からアニソンを想定し、華やかでボーカルを邪魔しない音を目指しました。
前作のフロントホーン+同軸ツイーター 後面にツインポート。 なんか『同軸』って萌えるんですよね(笑) |
あこがれていたバーチカルツイン(とにかくカッコいい!)を、以前から関心のあったパッシブラジエーターで製作したかった・・・といいうのが本音。
バーチカルツイン(仮想同軸)スピーカー
ツイーターの上下を同じウーハー2つで挟んだ形式のスピーカー。ウーハーの音がツイーターのある中心部分で音像定位することから仮想的な大口径スピーカーにみえます。大口径ウーハーのデメリットも解消するねらいもあります。
強そうな見た目(笑)とは裏腹にさっぱりとした音です。やっぱりウーハー2つとは音の出方が違いますよね。あくまで8cmフルレンジ。低音は無理して伸ばさず60Hzくらいまでで調整。メインの8cmとのバランスをとりました。
パッシブラジエーター部分 |
パッシブラジエーターというと小型BTスピーカーに使われるような音を連想しますが、安価なパルプコーン・フルレンジを改造したオリジナルパッシブラジエーターの音色は密閉型のようなクセの少ない音になった気がします。
最初に作った実験機 フルレンジ+パッシブラジエーター1個 |
主な特徴
・安価なフルレンジユニット(220円)をパッシブラジエーターに改造。
・パッシブラジエーター2個とフルレンジを組み合わせた仮想同軸(バーチカルツイン)方式。
・パッシブラジエーターは可変抵抗(ボリューム)に接続して電磁制動の調整が可能。
諸元
容積・サイズ
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約 5L・H354/W144/D150 mm(突起部除く)
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形式
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フルレンジ・パッシブラジエーターによる仮想同軸
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ユニット (フルレンジ)
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OM-MF5(ステレオ誌 ONTOMO MOOK 付録 2018版)
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ユニット
(パッシブラジエーター) |
NFJ フルレンジ 3.6インチ(83mm) パルプコーン 4Ω/MAX6W ×2
センターキャップに18gのウエイト加重(台座2g+8gワッシャー2枚) |
材質
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MDF材 12mm/9mm/4mmの組み合わせ。水性ペイント仕上げ。
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参考資料/Webページ
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オーディオ日曜大工/続・オーディオ日曜大工 (長岡鉄男 著)
Y杉さんのLEGOスピーカーの製作記 第50報
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パッシブラジエーター(ドロンコーン)について
パッシブラジエーター(ドロンコーンとも言う)は、磁気回路のない(もしくは信号を入力しない)ユニットです。
小型スピーカーに使われるようなゴムエッジと金属プレートのみのユニットや、ウーハーから磁気回路を除いた専用ユニット、そのほか通常のユニットを流用することもできます。
実験機ではセンターキャップに直接ナットを貼り付けて共振を確認していました。 |
メインユニットからの共振で動作させるという点でバスレフ方式と全く同じ原理です。バスレフと比較して次のようなメリット・デメリットがあります。
パッシブラジエーターのメリット(自作ユニットの場合)
- バスレフポートの設計上の制約から自由になれる。
ポートが長くなる小型スピーカーでは特に有利です。 - 調整がとても楽にできる。(ユニット流用の場合)
何種類ものポートを用意することなく、簡単なウエイト変更のみで調整ができます。ただこれはユニットを改造できる場合ですが。 - 開口部からの音漏れが少ない。
バスレフ・共鳴管など開口部があるタイプで悩まされる『中高音の漏れ』が少ないです。丸型ポートの菅共鳴のクセも考えなくて済みます。 - 電磁制動による調整の可能性。
通常ユニット流用の場合、理屈上は抵抗やコンデンサで短絡させることで制動の調整ができます。ポートに吸音材詰めてダンピングするのに近いかな? - 大容量密閉型に似た低域特性。
バスレフは設定した共振点を外れると音波が打ち消しあい低音がストンと落ちます。パッシブラジエーターは逆相の音は閉じ込められるので、共振点以下の低音も打ち消しあうことなくなだらかな特性(俗にいうダラ下がり)となります。小さい容量でも大型密閉箱に似た特性を得られます。小型Bluetoothスピーカーはこの素直な特性を利用して電気的に補正していると想像します。
パッシブラジエーターのデメリットと対策
- 能率においてバスレフに劣る。
そのままだと単純に音量が小さいです。同面積ならバスレフポートの方が音量が得られます。振動板が重いとさらに能率が落ちます。最低でもメインユニットと同程度の面積がないと効果が薄いですね。本作では2つのユニットによる面積拡大、前面配置で能率を高めました。 - バスレフポートよりコストが高い。
当然ポートの方が安く作れます。平面型なら数百円ですがそのままだと調整が難しいですね。十分にf0の低いウーハーならそのまま使えそうですが高いです。今回は安価なフルレンジユニットを流用してコストダウンを図ってみました。 - 中高音の不要振動の可能性。
中高音の共振がどう影響するかはわからないですね。完全にシャットアウトできるはずもないので。今回は実際に前面に配置することによってどの程度の影響があるかも知りたいってのもあります。 - ユニット固有のクセがあるのでは?
金属プレートと紙コーンじゃ当然違いそうですよね。ユニットのf0に引っ張られるのは当然として、材質による音色の違いもありそうです。
ユニット選定理由
・メインユニット(OM-MF5(ステレオ誌 ONTOMO MOOK 付録 2018版))
2個のパッシブラジエーターを駆動するために強力な磁気回路と強い振動版が必要。かつ、アニソン向けに声を重視してきらめきのある音色のユニット。
・パッシブラジエーター(NFJ フルレンジ 3.6インチ(83mm) 4Ω/MAX6W(220円))
ラジカセ用の安価なフルレンジユニット。実測f0は180Hz程度と高め。軽量なのでそのまま流用するのは難しいが、ウレタンエッジのストロークがあり、センターキャップも強靭で重量負荷に耐えられるように見えた。なにより安いしキレイなのが魅力。
製作工程(エンクロージャー)
MDF材を使用。12mm(側板9mm,ユニット抑え板4mm)内部はH型の補強柱が二組と上底面に補強。吸音材はニードルフェルトの一部貼り付け。
内部構造 |
パッシブラジエーターユニットは取り付け穴がないので落とし込み加工をしてEVAシートを挟み込んみ抑え板で圧縮ねじ止め固定。
ダイソーのスポンジEVAシートを細切りにして円形パッキンに利用 |
表面は水性ペイント。紅葉をイメージした配色。仕上げにハケで木目風の汚しムラを施し変化を付けました。もうすこし意匠を施したかったのですが時間がなくて断念・・・。
あえて刷毛跡をつけて木目っぽくしてみました。 |
パッシブラジエーター改造
樹脂のセンターキャップが意外と強靭なので、そこに台座を接着して錘を貼り付ける形式にしました。
手前が台座、奥がやすり治具と丸砥石です。 |
台座はホールソーの抜き板を丸砥石で荒削り。仕上げは大きな抜き板の円周に紙やすりを貼った治具で削りました。
着色した台座とセンターキャップを接着剤で固定 |
簡易測定と調整
使用機材:Dayton Audio iMM-6 コンデンサーマイク + iPod Touch4 + Etani RTA 校正済み)
使用音源:https://kato19.blogspot.com/2015/08/speaker-test-low.html
パッシブラジエーターの原理はバスレフと同じとはいえ、計算式やシミュレーションの仕方は自分にはお手上げでした。実測しながら加重すると簡単に変化するので調整は楽です。容量との関係もあるが重くすれば低域が伸びるけどレベルが下がるという感じです。
仕上げ前の調整段階での簡易測定。いろいろ試しましたが2例の比較をご紹介します。
(図1)ワッシャー1個(8g+台座2g)の場合は80Hzより急降下でかなり物足りない。聴感上は70Hzまでなんとか。60Hz以下はほとんど響かなかった。
図1:各10g(ワッシャー1個×4)/試聴位置1m ピンクノイズ |
(図2)はワッシャー2個(16g+台座2g)に増やしたところです。
図2:各18g(ワッシャー2個×4)/試聴位置1m ピンクノイズ |
80Hzのレベルは下がったものの60Hzまでなだらかなダラ下がり傾向になった。聴感上は60Hzまで十分な量感を感じる。50Hzはわずかに響く程度。このウエイト設定で仕上げました。
ちなみに3つにすると50Hzまで伸びるものの低音全体の量感不足を感じました。あと重すぎて耐久性に不安も・・・。
反省点・感想
基本的に狙い通りの音で満足していますが・・・。
- パッシブラジエーターはもう一回り大きい9cmクラスにしても良かったかな。
- 小音量だとパッシブラジエーターの能率の低さを感じる。
- ワッシャーは便利だが貼り付け位置が高くなって不安定。ウエイト位置に工夫が必要。
- 可変抵抗をもっと使いやすい値のものにするべきだった。
- 全体に時間がなくて十分な測定、検討ができなかったのが残念。今後追記していきます!
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