『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』感想:こんなに京アニの新作にふさわしい作品があるだろうか。

2019/09/07

アニメ

t f B! P L
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』を初日に観てきました。

 あの事件があってから、京アニ作品を見るのは辛くて、なかなか向き合えなくて・・・だからこの作品が久しぶりの京アニ作品前回の記事に書いたように、作品と事件を分けて見ることができないんじゃないかと不安に感じながら公開を迎えました。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』
予告より画像引用(当ブログの画像引用について
Ⓒ暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 冒頭の『Kyoto Animation』のロゴが出た時はさすがに涙が出てきてしまって、これ大丈夫かな・・・って思いましたが、本編が始まって数分で物語に引き込まれている自分に気づいたんですよね。やっぱりすごいね。さすがですね。作品は作品として感動させてくれる力がある。

 もちろんスタッフの人たちに思いを馳せて涙が出ることもあるんだけど、でも、だからって、事件と作品がごっちゃになるとは思わない。全てを含めてちゃんと作品として鑑賞できた気がします。

 この作品は圧倒的な力量の作品であるだけでなく、郵便配達人をモチーフにしながらあらゆる創作者への思いを込めたような作品だと感じました。

 だから、これほど京アニの新作としてふさわしい作品ってないよね。信じられない巡り合わせに奇跡を見る思いでした。


若干ネタバレのあるレビュー・考察となりますのでご注意ください。
2回目の感想を追記しました(2019/9/15)

まさに劇場版レベルのクオリティー


 予告編の時点で驚いたのですが、この作品は横長のシネスコスクリーン。ハイクオリティーで知られる京アニ劇場版作品でもほとんどがビスタサイズだったので驚きました。もちろん大喜びですよ!

 シネスコならではの余白のある構図。そしてTV版からすでにオーバースペックだった映像。まさに劇場版クオリティー!MOVOXさいたま12番の巨大スクリーンを見事に使い切っていました。
モブキャラのダンスシーンすらスゴイ。
大スクリーンに負けない映像。
Ⓒ暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 またEvan Callさんの音楽が素晴らしいんですよね。派手な盛り上げ方ではないけど弦の音が作品の一部としてホント印象的。音のいい部屋で良かったって思います。

映画館で見たかった夢が現実に


 以前から『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』って映画でこそ映えるだろうな・・・って思ってたんですよね。放映当時から劇場版レベルだった映像美もありますが、それ以上に『集中してみたい作品』なんですよね。

 自分はTVだと気が散ってしまう性格なので、静かで緻密な作品はTVだと十分堪能できなくって。TV版を見ていた時も、これは映画館でみたいなぁ・・・って思うことが何度もありました。もちろんテレビ版は別の良さがあるんですが。
瞳のアップも多いのが本作の特徴。
緻密な描き込みでスクリーンでも全く間延び感を感じない
Ⓒ暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 だからこそ、その夢を叶えてくれたこの外伝。テレビだったら2話分のエピソードを一つにした感じですかね。でも45分とかじゃなくて90分!構成こそOVA的に見えますがTVの枠を完全に超えた作品。これが京アニの全力か・・・と唖然とする完成度。

 来年公開予定の『劇場版の繋ぎ』かな・・・って思いましたよね?まったくすごい作品にしてくれました。こんな作品を公開されたら、次作『劇場版』のプレッシャー半端ないでしょ・・・って、事件がなければこんな軽口で笑ってられたのかなぁって思います。

『届かなくても良い手紙なんてないからな』


 今作はTV版と違って『代筆』だけじゃく『配達』をクローズアップしたエピソード。この作品を通じて『想いを届ける』というというメッセージが、形を変えて繰り返し提示されます。その一つ一つが心に食い込んできました。
髪を編むシーンがメタファーになっていることを知って感動した。
Ⓒ暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
予告でもあったけど、ベネディクトの『届かなくても良い手紙なんてないからな』はグッときてしまうんですよね。京アニはもちろん、表現者、創作をする者たち全てに通じる思いを重ねてしまいました。

 あと、春夏 冬さんのツイートで気がつきましたが、三つ編みが物語のメタファーになってるんですよね。言われてハッとしました。ヴァイオレットの手紙が介在することで二人の関係を繫ぎ止める。

 それを知った上で見ると、茅原実里さんの『エイミー』の歌詞が凄すぎるんですよね。『編み続けた願いが届きますように』って。そのほかの歌詞もすごいシンクロ感

 舞台挨拶によるとこの歌詞は藤田春香監督の思いもすごく反映されているようですね。共同作業に近い感じで作り上げたみたい。映画を見終わった後に読み返すとすごい凝縮感に驚きます。一言一句がビンビン伝わってくる感じ。読んでるだけで涙でてしまいます。

2人の演技の素晴らしさ


 実を言うと予告の時はあまり印象になかったんですが、イザベラ・ヨーク役の寿美菜子さんが良かったですね。ユーフォの田中あすか先輩を連想する演技だったけど、強さと弱さが入り混じったような、影がありながら可愛らしさが垣間見える演技。『』っていい方が合うんですよね。すごいピッタリだと思いました。

 そして予告篇から期待してたテイラー役の悠木碧さん。もういうまでもないですが良かった。とくに幼少期の泣きの演技。セリフじゃなくて泣きだけで表現するのって、他の作品でもあった気がするけど、ほんとうまいよなぁって。まあ自分は悠木碧さん贔屓ではあるんだけど。それを差し引いてもね。
テイラーのキャラデは可愛すぎない絶妙なバランス。
余白の構図もシネスコらしくて美しい。
Ⓒ暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 悠木碧さん。Twitterでも事件については触れないって宣言してたんですよね。たのしい話題だけをツイートしてた。プロなんだよね。ほんと。

 今回作品を見て、彼女のセリフ『郵便配達人が運ぶのは幸せだから』って。だからすごい刺さったんだよね。幸せを、感動を伝えるのが声優の役割だって。それを作品で語っている気がしました。

そして・・・エンディング


 エンディングは黒バックで本編にも被せないシンプルなものでしたね。前回の記事でも書いた通り、ひねったEDを期待してたところもあったんだけど、ラスト近くになって、『ああ、これはシンプルなエンディングが似合うな・・・・』って感じました。

 茅原実里さんの歌う主題歌『エイミー』が単体で力のある曲なんですよね。楽曲も素晴らしいんだけど歌詞もね。作品を凝縮したような歌詞は聴き込むほど感動します。

 茅原実里さんの曲にはよくあるけど特に今回は特にすごい。映像や物語が浮かぶだけでなく、本編自体をさらに深く理解できる。これは痺れました!


茅原実里「エイミー」 MV Full Size (公式)
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』ED主題歌

 今作はスタッフクレジットを覚悟を持って見ようと思ってました。でもダメでしたね。サビの部分で泣き崩れてしまいました。声をなんとか押し殺そうするのに精一杯。体が震えて目を開けていることができなくって、ほとんど読むことができなかった気がします。

 奇跡的にサポートスタッフのクレジットを見ることができたくらいかな。次回見るときは読めると良いんだけど・・・難しいかもしれない。もし予告編に関わるクレジットを見つけた方がいれば教えてください。

最後に:藤田春香 監督への期待


 今回初監督の藤田春香さんといえば、自分が最初に印象に残ったのは『響け!ユーフォニアム』2期のエンディングでした。エンディングとしては破格の贅沢な動きと構成落ち着いた色彩躍動感の組み合わせが印象的でした。

 他に、ユーフォ1期8話の伝説回『おまつりトライアングル』や、『中二病でも恋がしたい戀』の11話も藤田さんの演出だったそうで、どちらも印象的な話数だったので知った時には驚きましたね。

 自分が京アニの好きなところを凝縮して受け継いているような感じで、まさにホープの一人なんだと思います。藤田監督の今の状況は全くわからないのですが、再びその才能を発揮してくれる日が来ることを祈らずにはいられません。

 この作品は決して追悼の作品じゃないし、そうしてはいけない気がします。でも巡り合わせの奇跡が起こったように、京アニの奇跡を信じたくなる作品。

 とてつもなく大きいものを失ってしまったけど、でも京アニの人たちを信じて応援していこうと決意したくなる作品でした。この作品を作ってくれてありがとうと伝えたいです。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』公式サイト
http://www.violet-evergarden.jp/sidestory/


追記:2回目の鑑賞に行ってきました


 2回目を見てきました。ずいぶん客席の空気感が違いましたね。初日は満席にも関わらず静かな緊張感があって、新作への期待と京アニへの追悼が入り混じった、ある意味張り詰めた空気がありました。でも1週間経って空気が和らぎ大入りにふさわしい賑やかで楽しげな雰囲気になりました。やっぱり本当はこうですよね。

 自分も初見では感情が高ぶりすぎている部分がありましたが、今回は純粋に作品を見る余裕ができた気がします。(まあ初日は『HELLO WORLD』と『空の青さを知る人よ』の予告が良すぎて、本編始まる前にウルウルきてしまってたのですが。ちなみに2週目では新版に差し変わってたけど旧版の予告の方が好きだったな・・・話逸れました。)

 2回目で印象的だったのは、まず音楽ですね。Evan Callさんの劇伴。これ予想以上にバリエーションがあったんですね。初見では弦とピアノって印象だったんだけど、実際には、オーボエピアノブラスとそれぞれメイン楽器を変えた曲が順番にかかってた気がします。

 映画館の音響の良さ(MOVIXさいたま12番)もありますがすごく良かったですね。普通にオーケストラの曲って感じですが本編と不思議なシンクロ感があります。TV版もEvan Callさんだったけど意外と印象になかったんですよね。(有名テーマのViolet Snowは別として)

藤田監督らしさって・・・これかな


 もう一つ印象に残ったのは自分の思う『藤田監督らしさ』かな。空の描き方とかそんな気がしました。中間色を生かしたような柔らかい空の感じ。それから時折みせるキャラクターの煌びやかな表現とか。

 この辺はもしかしたら藤田監督らしさなのかな・・・って感じました。まあ勘違いかもしれませんけどね。初見の感想でも書いたけど、『響け!ユーフォニアム』2期のエンディングや1期8話の『おまつりトライアングル』との共通性を感じる部分でした。

2度目で印象の変わった部分


 あと、初見では後半のテイラーの修行シーンが少し冗長に感じたのですが、2回目だと気にならないですね。初見で見た不満って2度目だと解消することが多いので今回もそうかな・・・って思ったんですが。初見での不満って変わることも多いから指摘する気にならないんですよね。

 今回は、うちの奥さんと一緒にみたんですが、TV版のファンのせいか今回の映画はちょっと長く感じたって言ってましたね。後半だけじゃなくて前半のテイラーのエピソードもそう感じたみたい。この辺の好みの感じは面白いですね。

 あと改めてイザベラ(エイミー)の寿美菜子さんの演技がいいなと思いました。ヴァイオレットに心を開いてきた彼女の変化がいいんですよね。あすか先輩っぽい感じになるんだけど、殻の中の可愛らしさがかいま見えるような感じ。逆に予告の時にあすか先輩の声を全く連想しなかったのも、あの変化の前だからなんだなって感心してしまいました。

 あと、動きがすごいって言われるヴァイオレット・エヴァーガーデンですが、よく見ると省略できるところは省略してと、作業量をうまく抑えながらも結果としてすごく動いているように見えるものだなぁ・・・と感心しました。

エンディングをもう一度


 初見では泣き崩れてほとんど見ることのできなかったエンディングスタッフロール。今回も涙がかなり出てしまったのですが、何とか見ることができました。前回思わず顔を手で覆ってしまったサビのあたり・・・改めて名前を見ると辛かったです。さすがに終了後は目を手で覆っている人が結構いましたね。

 この外伝はどういう位置付けなのかは、本当のところはわかりませんが、藤田監督はじめ、これからを担うスタッフの活躍の場の提供というのもあったのかなぁと感じます。

 今回この外伝を見ることでやっぱり『つらさ』もあるんだけど、それ以上に自分は落ち込んだ気分から戻るきっかけを得た気がします。でも京アニの人たちが、笑顔を取り戻せているだろうか・・・と考えると重たい気分になりますね。

 京アニスタッフが笑顔で舞台挨拶に登壇してくれる日・・・今は考えることもできませんが、いつかその日が来ることを願って応援したいと思いました。

自己紹介

自分の写真
手の届く範囲で楽しんでいます。アニメ・自作スピーカー(長岡系)・オーディオ工作・Mac関係・・・などなど雑多ですがささやかな発表の場です。まどか☆マギカで目覚めて今は京アニ系ファン。40代既婚 自営 埼玉県在住 Hatena id:kato_19 ブクマ大歓迎 Twitter @id_kato_19です。詳細はブログの自己紹介エントリへ

このブログを検索

QooQ