再生産総集編『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』感想:キラメキの舞台に巻き込まれる、まさかの大絶賛総集編!

2020/10/25

アニメ

t f B! P L

 この作品ホントに大好きです。楽曲とセリフと映像の見事な融合。煌めきの高揚感に魅せられて何度でも見たくなりますね。結局5回みたけどまだ見足りない。

 そして、これは総集編であって総集編ではない。これは『再演』なんだ!そしてまさしくロンド(輪舞曲)なんだ・・・って気付いた時。すっごい感動してしまった。

 サブタイトルの『ロンド・ロンド・ロンド』のとおり、次々と連なるような楽曲中心の構成。そして何度も何度も・・・延々と見続けてしまう『煌めき』の魅力。

再生産総集編『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』予告編より
総集編なのに全編シネスコサイズに驚いた。
©Project Revue Starlight
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 再生産された舞台は素晴らしくて、難解だけど、ホント意味わからないけど・・・でも、もうとにかく快感の一言。あの煌めきを、もっと!ずっと見ていたい・・・再演を求めて何度も映画館に足を運んでしまう。

 そしていつしか「わかります」と『劇中のキリン』と『自分の心』がシンクロしてきた時、メタ視点で物語を見ていたつもりの自分が、いつの間にかスタァライトの世界に取り込まれていました。

 一瞬の煌めきを抽出するために『舞台』という概念を分解してアニメーションとして再構成したような作品。これぞアニメーションによる究極の舞台!こういうのが見たかったんだ!っと気づかせてくれた。

 万人向けじゃないかもしれない・・・でも、この作品は最高に大絶賛したい。胸が熱くなる。出会えてよかった作品です!


【予告編 第2弾】少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド(公式)


難解だったTV版、そして『再生産総集編』とは・・・


 この作品は聖翔音楽学園に入学した主人公『愛城華恋』たち舞台少女が不思議なオーディション(レヴュー)の世界で競い合うというストーリー。

 TVアニメ版では、一見すると『アイドルアニメの歌劇版かな?』と思わせて・・・1話から度肝を抜くような超絶展開!あれ見たときは感動で涙出ましたね。見事でした。ホント。

 良い意味で芝居掛かった演技やセリフ、ダイナミックなアクション、特異すぎる世界観。高いクオリティの映像と音楽を維持しながら、最後はエヴァンゲリオン並みの難解さで終わるという凄まじいTVシリーズでした。

七五調の前口上に、キメポースの美しさ。
芝居掛かった演出が快感。
©Project Revue Starlight

 監督の古川知宏氏は、ウテナなどで有名な幾原邦彦作品の多くに参加。難解になる覚悟はしていましたが、正直いうとTV版最終回は難解すぎて正直自分もポカーンでした(汗)魅力はあるけどうまく飲み込めない・・・。

 でもこの総集編はすごい!総集編がすごいって意味わからないかもしれないけど本当にそうとしか言いようがない。

 本作は『再生産総集編』と銘打ってTV版12話の総集編+αという位置付けで劇場公開された作品。

 2021年に新作劇場版が上映される『前座の作品』ということで『まあTVシリーズ未見の人向け』のまとめ作品だろうなぁ・・・なんて気軽に考えてたわけですが。

 まさかここまで虜にされる作品になろうとは・・・想像もしてませんでした。


※次章よりネタバレが含まれます。TVシリーズの驚きを未体験の方はご注意ください。

※この作品はメディアミックス作品としてミュージカル舞台を原作としていますが、自分はアニメ版のみの鑑賞です。完全に自分の勝手な解釈・考察なので誤読があったらご指摘ください。


観客である自分が『再演』に巻き込まれていく・・・


 この総集編の魅力であり、本当に驚いたところ。それは『観客である自分たちも劇中に巻き込こんでいく構造』でした。

 上演されるレヴューは大枠ではTV版と同じ。でも明らかに磨き上げられているわけです。

 あれ・・・自分が見ているのは本当にTV版の時間軸なのかな?もしかして大場ななの作り上げた『再演の99期聖翔祭』なのでは・・・って予感。

TVシリーズで印象的だった大場ななの秘密
総集編ではあえて構成を変えてきて驚いた。

©Project Revue Starlight

 そしてそれを何度も、何度も、繰り返し見に行っているうちに・・・あ、これは単なる総集編じゃない・・・自分は今、99期聖翔祭の『再演のループ』に巻き込まれているんだ!って気分になる。

 図らずも観客である自分自身がスタァライトの世界の一部になっている。これまでは俯瞰的なメタ視点で作品を楽しんでいた・・・つもりの自分が、気付けば当事者としてその内側にいるような感覚!

 TV版では画面の外側にいた自分。でも今はスクリーンの『キリン』と同調して、舞台少女の煌めきを求める当事者として客席に座っている!

謎のキリン。上から目線の傍観者の象徴な気がする。
TVでは画面の外の自分に話しかけたが、今はもう逃げられない
だって俺はキリンだから・・・
©Project Revue Starlight

 やられた・・・さすがだわ。まさかこんな壮大な仕掛けになっているとは。TVから映画館へ。スクリーンから溢れる作品世界。すごい経験でした!


『キラメキ』を抽出するレヴューの輝き!


 でもこの作品の魅力は構造の凄さ考察の楽しみだけじゃない!

 もう一つの大きな魅力。それは『煌めき』を抽出する舞台。この作品の土台を支える理屈を超えた魅力。特異な設定で繰り広げられる素晴らしいレヴューの数々。

この作品独特の命がけのレヴューの世界観。
SF的文脈ではなく文字通りの舞台装置として捉える。
©Project Revue Starlight

 単にミュージカルでもない、劇伴としてでもない、ライブシーンでもない。キャラクターが歌う歌詞とセリフが重なって融合する。これが本当に素晴らしい!

 時にはキャラクターが自ら歌い、時にはセリフと歌詞が重なる。どこまでが演技なのか曖昧な演出。でもセリフと歌詞の二つの言葉が入れ替わり、絡み合い、融合することで起こる高揚感!

 これこそがこの作品の魅力の原動力。TVシリーズの内容をレヴューに凝縮することで煌めきを一層輝かせている。総集編であることを逆手にとったような構成。

 ああ、自分はむしろこれがみたかっんだ・・・レヴューを中心にした再生産総集編の構成、舞台少女の『煌めき』に感動する自分、これこそが自分の望むスタァライト !


怒涛の連続レヴューにまさかの感動!


 特に中盤の怒涛の3連続レヴュー。これには圧倒されました。それぞれ1話をかけた物語を一つのレヴューに凝縮。この高揚感が忘れられない・・・。

 まひるちゃんの『恋の魔球(7回裏)』や、双葉と香子の『宵・花咲か唄』のシーン。正直いうとTV版ではコメディー的に感じてピンとこなかったんですよ。でも総集編では本当に涙出るほど感動してしまいました。

Spotify プレイリスト
 まひるちゃんの『嫉妬のレヴュー』では想いが無理なく詰め込まれて、前半はコミカルなシーンだったのが、後半になると不思議なくらい切なさで胸が一杯

恋の魔球(7回裏)』という曲自体はコミカルなのに、後半になると印象が大きく変わるのが本当に驚きです。

コミカルな曲調とまひるちゃんの想いの対比が素晴らしい。
©Project Revue Starlight

 そして間髪入れず始まる、双葉と香子の『約束のレヴュー』は大幅にブラッシュアップされた素晴らしい舞台!正直いうとTV版ではネタ回かな?くらいの印象だったシーン。

 でもTV版より重々しく編曲され、朗々と歌い上げる楽曲『宵・花咲か唄』と、それに重ねる二人の演技・・・信じられないことに本当に涙が出てしまった。

二人の歌う楽曲と演技、そして映像の重なり方が見事。
ここまで感動するとは思ってもみなかった。
©Project Revue Starlight

 香子の京言葉のセリフ回しと双葉の叫びに胸が一杯になってくる。そして鮮やかな舞台の切り替わり・・・ここからがまさに真骨頂!サビの歌詞香子の口上の重ね方。そこへ差し込まれる幼少の映像

 数分のレヴューの中に1話を丸ごと凝縮したような濃密な舞台・・・見事でした。本当に涙出ました。


圧倒の『孤独のレヴュー』そして、大場ななの魅力とは


 そしてTV版でも素晴らしかった神楽まひる大場ななによる『孤独のレヴュー〜 第二章 華、ひらくとき』は、もはや『圧倒』と言う言葉以外ない。

 楽曲『RE:CREATE』の歌詞とセリフの融合はここに極まり、第二章のクレジットからの場面転換の演出は見事。

 観客は物語を見ているのか舞台を見ているのかわからないまま、このダイナミックな演出に飲み込まれる。

第二章からの『セリフと歌詞』のシンクロを超えた融合。
凄まじい立回りの爽快感。何もかもが最高。
©Project Revue Starlight

 これこそがアニメーションでしか実現できない舞台。他のメディアでは再現できない光景。ただ、ただ、圧倒されて涙が止まらない。本当に素晴らしいレヴューでした。

 これは、ひかるちゃん役の三森すずこさんの圧倒的な歌唱力と演技に支えられてるのはもちろんなんですが、大場なな役の小泉萌香さんによる非声優的演技との対比も魅力に感じるんですよね。

 ばななこと大場ななについてはTVシリーズの時に、声の演技にかなりの違和感を感じたんですよね。声優っぽくなくて明らかに他のキャラより浮いている・・・って気がしました。

大場とかいて『だいば』と読ませるのもなんか良い。
この作品のキーキャラクター。
©Project Revue Starlight

 こんな重要キャラなのになんで?て思いもあったのですが、この違和感こそがこの大場ななというキャラクターの重要なポイントなんだろうなぁ。

 あえてこのキャスティングだろうし演技なんだろうなと、今なら理解できます。慣れた今となっては、むしろこの声が逆に快感になってしまったし(笑)一番好きなキャラクターばななちゃんだったりしますね。


最後に:考える前に感じろ・・・そして行き着く先は。


 結局5回鑑賞しましたがそれでもまだ見足りない気分です・・・そんな自分も実を言うと1初見ではそこまで評価は高くありませんでした。

 『難解な展開』や『いかにも考察してくれと言わんばかりのメタファー』に気を取られてしまったんですよね。正直言って今もわけわからないけど(笑)

 でも初見の時のなんとも言えない充実感・・・・あ、これ『考える』前に『感じる』べきなんじゃないか?って。考える前に感じろ。まずはこの『煌めき』をただ楽しもう。

 もう一度だけ、もう一度・・・そうして、どっぷりとスタァライトの世界にハマった時に、単なる快感だけじゃない、この物語のすごさを理解できました。

 そうして今回、キリンに提示された『舞台少女の死』という言葉。

 舞台少女たちの煌めきを貪っている自分たち観客が求めるもの・・・その行き着く先。ああ、きっと、自分はとんでもないことに巻き込まれるんだろう。

 そんな予感を抱きつつ、キリンのように首を長くして新作劇場版を待ちましょう。今はただ、この傑作総集編が多くの人に評価されることを願っています!

監督:古川知宏/構成・脚本:樋口達人
キャラクターデザイン:齊田博之
副監督・衣裳武器デザイン:小出卓史
音楽:藤澤慶昌 加藤達也
色彩設計:吉村智恵
アニメーション制作:キネマシトラス

公式サイト:https://cinema.revuestarlight.com

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手の届く範囲で楽しんでいます。アニメ・自作スピーカー(長岡系)・オーディオ工作・Mac関係・・・などなど雑多ですがささやかな発表の場です。まどか☆マギカで目覚めて今は京アニ系ファン。40代既婚 自営 埼玉県在住 Hatena id:kato_19 ブクマ大歓迎 Twitter @id_kato_19です。詳細はブログの自己紹介エントリへ

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