この作品ホントに大好きです。楽曲とセリフと映像の見事な融合。煌めきの高揚感に魅せられて何度でも見たくなりますね。結局5回みたけどまだ見足りない。
そして、これは総集編であって総集編ではない。これは『再演』なんだ!そしてまさしくロンド(輪舞曲)なんだ・・・って気付いた時。すっごい感動してしまった。
サブタイトルの『ロンド・ロンド・ロンド』のとおり、次々と連なるような楽曲中心の構成。そして何度も何度も・・・延々と見続けてしまう『煌めき』の魅力。
再生産総集編『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』予告編より 総集編なのに全編シネスコサイズに驚いた。 ©Project Revue Starlight (当ブログの画像引用について) |
再生産された舞台は素晴らしくて、難解だけど、ホント意味わからないけど・・・でも、もうとにかく快感の一言。あの煌めきを、もっと!ずっと見ていたい・・・再演を求めて何度も映画館に足を運んでしまう。
そしていつしか「わかります」と『劇中のキリン』と『自分の心』がシンクロしてきた時、メタ視点で物語を見ていたつもりの自分が、いつの間にかスタァライトの世界に取り込まれていました。
一瞬の煌めきを抽出するために『舞台』という概念を分解してアニメーションとして再構成したような作品。これぞアニメーションによる究極の舞台!こういうのが見たかったんだ!っと気づかせてくれた。
万人向けじゃないかもしれない・・・でも、この作品は最高に大絶賛したい。胸が熱くなる。出会えてよかった作品です!
【予告編 第2弾】少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド(公式)
難解だったTV版、そして『再生産総集編』とは・・・
この作品は聖翔音楽学園に入学した主人公『愛城華恋』たち舞台少女が不思議なオーディション(レヴュー)の世界で競い合うというストーリー。
TVアニメ版では、一見すると『アイドルアニメの歌劇版かな?』と思わせて・・・1話から度肝を抜くような超絶展開!あれ見たときは感動で涙出ましたね。見事でした。ホント。
良い意味で芝居掛かった演技やセリフ、ダイナミックなアクション、特異すぎる世界観。高いクオリティの映像と音楽を維持しながら、最後はエヴァンゲリオン並みの難解さで終わるという凄まじいTVシリーズでした。
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監督の古川知宏氏は、ウテナなどで有名な幾原邦彦作品の多くに参加。難解になる覚悟はしていましたが、正直いうとTV版最終回は難解すぎて正直自分もポカーンでした(汗)魅力はあるけどうまく飲み込めない・・・。
でもこの総集編はすごい!総集編がすごいって意味わからないかもしれないけど本当にそうとしか言いようがない。
本作は『再生産総集編』と銘打ってTV版12話の総集編+αという位置付けで劇場公開された作品。
2021年に新作劇場版が上映される『前座の作品』ということで『まあTVシリーズ未見の人向け』のまとめ作品だろうなぁ・・・なんて気軽に考えてたわけですが。
まさかここまで虜にされる作品になろうとは・・・想像もしてませんでした。
※次章よりネタバレが含まれます。TVシリーズの驚きを未体験の方はご注意ください。
※この作品はメディアミックス作品としてミュージカル舞台を原作としていますが、自分はアニメ版のみの鑑賞です。完全に自分の勝手な解釈・考察なので誤読があったらご指摘ください。
観客である自分が『再演』に巻き込まれていく・・・
この総集編の魅力であり、本当に驚いたところ。それは『観客である自分たちも劇中に巻き込こんでいく構造』でした。
上演されるレヴューは大枠ではTV版と同じ。でも明らかに磨き上げられているわけです。
あれ・・・自分が見ているのは本当にTV版の時間軸なのかな?もしかして大場ななの作り上げた『再演の99期聖翔祭』なのでは・・・って予感。
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そしてそれを何度も、何度も、繰り返し見に行っているうちに・・・あ、これは単なる総集編じゃない・・・自分は今、99期聖翔祭の『再演のループ』に巻き込まれているんだ!って気分になる。
図らずも観客である自分自身がスタァライトの世界の一部になっている。これまでは俯瞰的なメタ視点で作品を楽しんでいた・・・つもりの自分が、気付けば当事者としてその内側にいるような感覚!
TV版では画面の外側にいた自分。でも今はスクリーンの『キリン』と同調して、舞台少女の煌めきを求める当事者として客席に座っている!
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やられた・・・さすがだわ。まさかこんな壮大な仕掛けになっているとは。TVから映画館へ。スクリーンから溢れる作品世界。すごい経験でした!
『キラメキ』を抽出するレヴューの輝き!
でもこの作品の魅力は構造の凄さや考察の楽しみだけじゃない!
もう一つの大きな魅力。それは『煌めき』を抽出する舞台。この作品の土台を支える理屈を超えた魅力。特異な設定で繰り広げられる素晴らしいレヴューの数々。
この作品独特の命がけのレヴューの世界観。 SF的文脈ではなく文字通りの舞台装置として捉える。 ©Project Revue Starlight |
単にミュージカルでもない、劇伴としてでもない、ライブシーンでもない。キャラクターが歌う歌詞とセリフが重なって融合する。これが本当に素晴らしい!
時にはキャラクターが自ら歌い、時にはセリフと歌詞が重なる。どこまでが演技なのか曖昧な演出。でもセリフと歌詞の二つの言葉が入れ替わり、絡み合い、融合することで起こる高揚感!
これこそがこの作品の魅力の原動力。TVシリーズの内容をレヴューに凝縮することで煌めきを一層輝かせている。総集編であることを逆手にとったような構成。
ああ、自分はむしろこれがみたかっんだ・・・レヴューを中心にした再生産総集編の構成、舞台少女の『煌めき』に感動する自分、これこそが自分の望むスタァライト !
怒涛の連続レヴューにまさかの感動!
特に中盤の怒涛の3連続レヴュー。これには圧倒されました。それぞれ1話をかけた物語を一つのレヴューに凝縮。この高揚感が忘れられない・・・。
まひるちゃんの『恋の魔球(7回裏)』や、双葉と香子の『宵・花咲か唄』のシーン。正直いうとTV版ではコメディー的に感じてピンとこなかったんですよ。でも総集編では本当に涙出るほど感動してしまいました。『恋の魔球(7回裏)』という曲自体はコミカルなのに、後半になると印象が大きく変わるのが本当に驚きです。
コミカルな曲調とまひるちゃんの想いの対比が素晴らしい。 ©Project Revue Starlight |
そして間髪入れず始まる、双葉と香子の『約束のレヴュー』は大幅にブラッシュアップされた素晴らしい舞台!正直いうとTV版ではネタ回かな?くらいの印象だったシーン。
でもTV版より重々しく編曲され、朗々と歌い上げる楽曲『宵・花咲か唄』と、それに重ねる二人の演技・・・信じられないことに本当に涙が出てしまった。
二人の歌う楽曲と演技、そして映像の重なり方が見事。 ここまで感動するとは思ってもみなかった。 ©Project Revue Starlight |
香子の京言葉のセリフ回しと双葉の叫びに胸が一杯になってくる。そして鮮やかな舞台の切り替わり・・・ここからがまさに真骨頂!サビの歌詞と香子の口上の重ね方。そこへ差し込まれる幼少の映像!
数分のレヴューの中に1話を丸ごと凝縮したような濃密な舞台・・・見事でした。本当に涙出ました。
圧倒の『孤独のレヴュー』そして、大場ななの魅力とは
そしてTV版でも素晴らしかった神楽まひると大場ななによる『孤独のレヴュー〜 第二章 華、ひらくとき』は、もはや『圧倒』と言う言葉以外ない。
楽曲『RE:CREATE』の歌詞とセリフの融合はここに極まり、第二章のクレジットからの場面転換の演出は見事。
観客は物語を見ているのか舞台を見ているのかわからないまま、このダイナミックな演出に飲み込まれる。
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これこそがアニメーションでしか実現できない舞台。他のメディアでは再現できない光景。ただ、ただ、圧倒されて涙が止まらない。本当に素晴らしいレヴューでした。
これは、ひかるちゃん役の三森すずこさんの圧倒的な歌唱力と演技に支えられてるのはもちろんなんですが、大場なな役の小泉萌香さんによる非声優的演技との対比も魅力に感じるんですよね。
ばななこと大場ななについてはTVシリーズの時に、声の演技にかなりの違和感を感じたんですよね。声優っぽくなくて明らかに他のキャラより浮いている・・・って気がしました。
大場とかいて『だいば』と読ませるのもなんか良い。 この作品のキーキャラクター。 ©Project Revue Starlight |
こんな重要キャラなのになんで?て思いもあったのですが、この違和感こそがこの大場ななというキャラクターの重要なポイントなんだろうなぁ。
あえてこのキャスティングだろうし演技なんだろうなと、今なら理解できます。慣れた今となっては、むしろこの声が逆に快感になってしまったし(笑)一番好きなキャラクターもばななちゃんだったりしますね。
最後に:考える前に感じろ・・・そして行き着く先は。
結局5回鑑賞しましたがそれでもまだ見足りない気分です・・・そんな自分も実を言うと1初見ではそこまで評価は高くありませんでした。
『難解な展開』や『いかにも考察してくれと言わんばかりのメタファー』に気を取られてしまったんですよね。正直言って今もわけわからないけど(笑)
でも初見の時のなんとも言えない充実感・・・・あ、これ『考える』前に『感じる』べきなんじゃないか?って。考える前に感じろ。まずはこの『煌めき』をただ楽しもう。
もう一度だけ、もう一度・・・そうして、どっぷりとスタァライトの世界にハマった時に、単なる快感だけじゃない、この物語のすごさを理解できました。
そうして今回、キリンに提示された『舞台少女の死』という言葉。
舞台少女たちの煌めきを貪っている自分たち観客が求めるもの・・・その行き着く先。ああ、きっと、自分はとんでもないことに巻き込まれるんだろう。
そんな予感を抱きつつ、キリンのように首を長くして新作劇場版を待ちましょう。今はただ、この傑作総集編が多くの人に評価されることを願っています!
監督:古川知宏/構成・脚本:樋口達人
キャラクターデザイン:齊田博之
副監督・衣裳武器デザイン:小出卓史
音楽:藤澤慶昌 加藤達也
色彩設計:吉村智恵
アニメーション制作:キネマシトラス
katoさん、こんばんは!
返信削除先程、有料動画で見終わりました。TVシリーズの余韻を再びって感じです(笑)
レビューシーンを中心とした構成で、テンポ良くスッキリとした総集編になってました。
でも、katoさんの仰る通り、見ごたえのある内容でした!
「キリンとなな」or「なな単独」の場面が増えていましたよね?
各人物の心の内を切々と語ったりしますね。
ミュージカルと言うより、歌舞伎における音楽のひとつである「竹本(義太夫)」に近い感じに思えます。
もうひとつ、気になった(確信したこと)のは、「大場なな」の描き方です。
TVシリーズの「再演」に固執した「なな」とは、違った印象を持ちました
TVは「道化・ピエロ(主役食いみたいな)」でしたが、総集編では、「狂言回し」。
つまり物語の中で重要な役割を果たす=キーパソンです。
例えば、本来、戯曲『スタァライト』の結末に存在しないはずの、この先の物語を潤色する「劇作家」or「演出家」のような役柄に思えてくるのです。
華恋の変化で「再演」は打ち止めされたけれど、アンコールから新幕までの筋書きは、きっと、「華恋のあきらめない気持ちと行動」に呼応した「なな」の心の変化であり、願望そのもの。そして、劇場版の続編へうけつがれるのでは、と自分勝手な仮説を立ててしまいました。私の希望、願望ですね(笑)
話が反れそうですが、歌舞伎役者の二代目松本白鸚さんが(九代目幸四郎時代に)インタビューで「一年通して、舞台を演じてもどれ一つとして同じものはない」と答えておられました。私も、舞台は「生き物」であり、毎日変わっていくものだと思います。
『煌めき』も、その時だけの貴重なもの。だからこそ、一瞬一瞬目が離せないです。
『スタァライト』はそのことを思い出させとくれました。
katoさんの仰る通り、『考えるな、感じるのだ!』に一票です。
一旦、すべてを受け止て、考えるのは映画館を離れてからでもいい。
その方が、映画の余韻に長時間酔いしれることができますから(笑)
観ながら、考察するのは、私は脳の処理速度が追い付いがず『無理」です。
せっかくなので、暗闇でどっぷりと映画の中に浸りたいです(笑)
長々とお邪魔しました。ありがとうございました。
それではまた遊びに来るといたします。
Hidebow-Rainbo-Frawbow さんコメントありがとうございます!
削除なるほど、歌舞伎・義太夫と関連させた視点は面白いですね。まさに本作では大場ななが物語を進める狂言回し的立ち位置でした。しかも単なる進行役でなく、能動的に新たな意味を加えていくような役割が見事でしたね。
新作劇場版では大場ななの役割がどうなっていくのかも注目ですよね。このシリーズは舞台版などアニメ外に広がる物語の広がりもあり、考察もなかなか大変そうです。
とはいえ自分はあまり追いかけすぎず、まずは古川監督の世界観を楽しみたいですね。多分一度では理解できないとは思いますが(笑)
お読みいただきありがとうございました!
katoさん、こんばんは!お返事ありがとうございます。
削除劇場版新作はもう何回もご覧になられた様ですね(羨!)katoさんのブログの記事を読みたいのをグッと我慢してます(笑)
おそらく「エヴァ」完結編に継ぐ2021年の注目されているアニメだからでしょうか、観客動員が稼げるとなるとわかると、映画館側の対応が良くなるのも、「わかります!」
前回コメント後、監督のインタビュー(2018年TV放送後)を見つけましたので、ご紹介しますね。
https://tokyo.whatsin.jp/313186
アニメ全話を終えて…古川知宏監督が振り返る『少女☆歌劇 レビュースタアライト』
「このアニメでやるべきは、9人を愛してもらうこと」と小見出に要約されます。「そのうえで、アニメーションを単体で切り出しても、『レヴュースタアライト』というアニメは面白いよ、と言ってもらえたら、僕はうれしいなというかんじです。」と監督は答えられてます。
ここからは私の個人的な感想と戯言ですので、軽く聞き流して下されば幸いです。
私は第5話のまひるちゃんの「うひゃー!」も、三角関係の焼き餅!とてもわかる、わかりますと思いました。ななの「再演」ループへの執着も、華恋の「ひかりちゃんと、ふたりでスタアになる夢を叶える」にも、他の人たちの立場、主張も、わかると思い、ついつい応援した自分がその時いました!記事のとおり。
「スタアライト」を観ている間、目の前の出来事に没頭し、夢中になっておりました。ちょうど幼少の頃、映画館で観たアニメの主人公に「がんばれ!」と心の底から応援してたなぁ!。そんなふうに、懐かしく思い出しましたよ。
目の前の場面に没頭し、夢中になる。私の映画へのアプローチは子どもの頃から、あまり変化、成長してないのですね(笑)少しは進歩できたら良いですが(笑)。
私としては、劇場版新作を何時か、鑑賞できる日が来ることを待ち望みます。少なくとも、『スタアライト』はレヴューや場面場面に没頭し楽しむアニメなので、旬や流行り廃れには無関係だと私は信じ手止みません。舞台演劇がこのアニメの原作だからこそ一期一会の存在、私はそう思いたいです。
それでは、また遊びにきます。ありがとうございます。
Hidebow-Rainbo-Frawbow さんコメントありがとうございます。
削除昨今の状況で我慢されているなか申し訳ないと思いつつ思いっきり没頭しております。残念ながら想像以上の公開ラッシュとなり辛い状況ですね。各作品とも短期決戦の覚悟ですがスタァライトだけは後悔の無いようにしたいと思っています。
とはいえ、無理がきかないとトシを感じますね(泣)コンディションが悪いと作品も楽しめません。生活もありますのでバランスが難しいところですね。
古川監督のインタビュー紹介もありがとうございます!劇場版を見て改めて監督の凄さに震えているところです。Hidebow-Rainbo-Frawbow さんも1日も早く楽しめる日が来ることを願っております。