Fate劇場版3部作のラストにして完結編。『Fate/stay night [Heaven's Feel] III.spring song』を映画館で4回鑑賞しました。
圧巻としか言いようがない戦闘シーン。そして素晴らしいエンディング・・・本当にすごい体験ができました。
どうして1作目から映画館で見なかったのか!と心底後悔しましたが、でもこの3作目だけでも劇場で見られてよかった!
Fate/stay night [Heaven's Feel] III.spring song PV・予告編より画像引用 (当ブログの画像引用について) ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC |
涙を流すほど素晴らしい戦闘シーンがあるなんてビックリですよ!
迫力を通り越して『感動』なんですよね。ゲーム原作ということで正直理解できてないところもあるのですが、それを補って余りある魅力でした。
単なるファンムービーとは一線を画す傑作。原作は古いですが2020年の最新アニメ作品として一つの到達点を見た気がします。
劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song 大ヒット公開中PV
※後半からネタバレありのレビューになります。
Fate初心者の自分はどこから見ればいいのか?
実を言うと『Fate/stay night』はこれまで未見でした。思いっきりニワカです。
もちろん世代的に名前くらいは知ってるのですが・・・初心者には派生作品が多くて訳わからくて。何より『聖杯戦争』とか中二病的な世界観が・・・ちょっと苦手で。
でも今回の劇場版3部作の凄まじい高評価。前作もすごかったですが、今回はまさに騒動のような大評判ですよね。これは見なけりゃ・・・ってようやく腰をあげました。
調べるとFateシリーズというのは2004年のPCゲームである『Fate/stay night』が核になったシリーズ。
ゲームではヒロイン別の3つのルートによる分岐があって、それを元にTVアニメを制作。次のようになっているらしい。
- TVアニメ1期:Fateルート(セイバールート)
- 旧劇場版、およびTV2期:UBWルート(凛ルート)
- 劇場3部作: [Heaven’s Feel](桜ルート)
他のシリーズは派生作品ということで、今回はTV版1期と2期、そしてHF劇場版1・2をDアニメで鑑賞。駆け足でしたがセイバーや凛、そして桜とイリヤへの思い入れを急速充填して映画館に向かいました。
※TV版の感想は最後に書きました。
※次項からネタバレ含みますのでご注意ください。
すごい評判に半信半疑だったけど
噂では『すごい!歴史を書き換えた!』とまで話題になっていたライダーとセイバーオルタの戦闘シーン。これはもう、さすがですね。
最初は『そうは言っても戦闘シーンでしょ?』ってね。これまでだってすごい迫力のシーンはたくさんあったわけで・・・『ちょっと話盛りすぎでは?』と正直なめてました(笑)
凛/桜のシーンを挟み込みながら腰を折らない構成もすごいと思った。 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC |
ホントごめんなさい・・・すごかった。本当にすごかった。単に迫力あるってだけじゃないんですよ。このシーンの本当の魅力はそれでは説明できない。
もちろん緩急をうまく使った素晴らしいスピード感と力強さ。これはすごい。本当にスクリーン映えするんだけど、このシーンの凄さはそれだけじゃないんですよね。
最初はそのダイナミックさに『おお、すごいじゃん!』って思うんだけど、戦闘シーンの最後には涙がボロボロでてるんですよ。これはホントびっくりですよ。
圧倒される『歴史的』戦闘シーンに涙が・・・
この戦闘シーン全体に起承転結があるんですよね。映像と音響を変えてクライマックスへ導く構成。これが本当に見事!
いくら迫力のシーンでも連続してると気持ちが飽和して飽きてくるんだけど、全然飽和状態にならないんだよなぁ。はっきり言ってこの構成は本当にウマイ!
宝具!からの展開。 これまでの爽快なスピード感から荘厳なクライマックスへ。 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC |
そして圧巻はライダーが「宝具」と唱えるシーンからのクライマックス!
響き渡る荘厳なコーラスとド派手な映像の連打、連打、連打!いままでの迫力のスピード感がこのシーンを見せるための前座だったのかと思わせる凄まじさ。
なんだこれは・・・興奮で感情が高ぶり涙が溢れてくる。
そして最後にセイバーの一瞬の正気を見せてからのピリオド・・・興奮の涙がそのまま哀しみの涙にスライドするような静かな終結。
素晴らしい・・・こんなすごいの見たことない。知ってても何度も見たくなる。まさに歴史的な名シーン。これは本当に劇場で鑑賞できて良かったです。
稀に見る超傑作エンディングに感動!
この作品、もう一つ最高にスゴイのはラストシーンですよね。もう『この一瞬』のためにもう一度見に行きたくなるほどの見事なエンディング。
Aimerの歌う楽曲『春はゆく』と『踏み出す一歩』のシンクロ!これが本当に見事!
あの一瞬の緊張感・・・本当にスゴイです。シビれます。タイミングを計るためにセリフも調整したとのことですが完璧ですね。
終盤に楽曲が始まってもあえてクレジットを出さず映像と楽曲に集中させる構成。序盤はシンプルな伴奏でAimerの力強い歌声を際立たせて『あの一歩』に全ての焦点を集中。暗転した瞬間にストリングスが加わってのエンドクレジット。
『終わった・・・』と胸が一杯になる瞬間。真っ黒なエンディングロールに不思議な開放感を感じてAimerの歌い上げる歌詞が心に入ってきます。
単体でも素晴らしいこの曲。作詞・作曲・編曲すべて梶浦由記って・・・本当に意味がわからないレベルの才能。すごいよなぁ。
当然ながら劇伴との親和性も非常に高くて、その真骨頂がこの高度なシンクロに結実している感じ。
OP/ED好きの自分にとっても稀に見るレベルの超傑作エンディングでした!
最大の謎と不満点。でもそれを補って余りある魅力。
もちろん不満点が皆無という訳じゃないです。やっぱり説明的なシーンが長い(しかも難解)とは思いました。
でも複雑な作品世界の解説だから仕方ないかな。無いとないで困るし。初見では何言ってるのかさっぱりわからないんだけど、何度か見てようやくある程度理解できました。
それでもわからない謎が残りますね。特に一番はラストの復活シーン。
人形に魂を入れて復活させたのかな?というのは分かるのですが、その詳細については一切言及がないのでモヤモヤしたまま。
最初はバーサーカーの魂とかと関係あるのかな?と思ったのですが、何度見てもわからずお手上げでした。
4度見ても謎が解けない部分が結構あった。 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC |
原作ファンの方の助言やサイトを見てようやく理解できました。別作品とのクロスオーバーがあるんですね。
参考サイト 【ネタバレだらけ】HF三章感情爆発おじさんの独り言 - 読者0太郎のブログ( ᷇࿀ ᷆ ) さん:原作ファン視点による詳細な感想。原作との違いも参考になりました。
これはファンにとっては嬉しい仕掛けですがニワカには厳しい(笑)流れはわかるようになっているとはいえ、もう一言二言の補足説明があれば・・・と思いましたね。近くで見てたカップルも『最後あれなんで?』って言ってたし。
他にも士郎の体からどうして剣がたくさん出てくるのか?とか、臓硯はどうして悪者になったのか?とか実はまだよくわかってません(汗)
でもこれは1・2作目の読み込み不足かな・・・期間限定配信だったので1回しか鑑賞できなくて。改めて通して見てみたいや。
そういえば桜の小さい使い魔も謎だったけど、子供時代の桜のものだって特典パンフに書いてありましたね。特典パンフのインタビューも結構参考になりました。
こういう難点はありましたが、でもこの作品の魅力はこれを補って余りあるものですね。結局のところ何度も見たくなる作品だし、そういう考察に応えてくれる強度のある作品なのは間違いないです。
TV版の感想も:1期は意外なくらい馴染みやすい!
実はHF1作目が公開された頃『Fate/Zero』というシリーズが再放送されて見たのですが挫折したんですよね。前日譚だからわかるかなぁ・・・と思ったのですが1話でダメでした。
自分の苦手な西洋の魔法系?とか、登場人物も意味不明で・・・って、今思えば仕方ないのですが。そこで Fate自体に苦手意識が出てしまったんですよね。
それに比べるとTV版1期は圧倒的に見やすいですね!予想以上に学園ラブコメ的ノリで進行するので個人的にはすごく馴染みやすかったです。
やっぱり初めからこちらをチャレンジすればよかったなぁ。スタジオディーン制作ということで絵柄も少し違って古さも感じますが原作にはむしろ近いみたいですね。
物語的には士郎の出しゃばりが若干ウザいですが、これもある意味、後のシリーズの布石ですよね。キャラの魅力で言えば2期のufotable版より好きかも。セイバー編だけあってセイバーの魅力は素晴らしいいですね。
2期ufotableのクオリティーの高さにビックリ
続いてディーン版の劇場版UBWがあるのですが時間の関係でスルーして、次に見たのはTV版2期。
ufotable制作に変わってハイクオリティーな戦闘シーンに驚きます。物語的にも1期を伏線とした謎解きが素晴らしいですね。
凛ルートとはいえ意外なくらいセイバーの魅力にも焦点があって充実した作品でした。同時にFateが単純な美少女アニメじゃないことを理解しました。ここまで複雑なシナリオだったんですね。でも桜の存在感がびっくりするくらい薄かった(笑)
狂気に可愛さを残すバランスが素晴らしい黒桜。 1,2作を駆け足で見たのが残念。もっと桜分を充填して臨みたかった。 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC |
そしていよいよ桜ルートとなる[Heaven's Feel]の1・2作を鑑賞。時間の関係で各1回しか見られませんでしたが、これは映画館なら絶対2回以上見た気がするなぁ。特に2作目の『lost butterfly』のエグさはすごい!(映画2作目のみPG12規制)
Fate/stay nightという作品が元々はPC版のいわゆる18禁ゲームの出自だったことを思い出させるエピソード。これは初見を映画館で見たら衝撃的だったろうな・・・クオリティーも高くてここは後悔してるところです。
今回見終わった後に、Fate/Zeroを改めて見はじめましたが『わかるっ!わかるぞ!』って(笑)あれほど意味不明だった1話がすごく面白い!
まあ、聞く話によるとFate/Zeroを最初に見る方が良いという方もいるので一概にはいえませんが。自分のように学園ラブコメ的なものを好む人は無印のFateルートからをお勧めしたいですね。
最後に
まあ正直まだニワカと言われても仕方ない段階ですが、それでもこれだけ感動できました。
ゲームからのファンに比べると思い入れの少ない分だけ十分に堪能できていないのかもしれません。その辺がこの作品の難しい立ち位置ともいえます。
でも最新のアニメ映画してみれば一つの到達点ともいえる作品。そういう意味でも本当に見逃さないでよかった。
広大な裾野の広がるシリーズですので確かに入りにくさはあります。それでも自分レベルのニワカでも圧倒される作品。
苦手なジャンルだからって敬遠するのはもったいない超絶技巧の完結編!これを機に多くのファンを獲得して欲しいですね。
Fate/stay night 公式サイト
原作:奈須きのこ・TYPE-MOON
監督:須藤友徳/脚本:桧山彬(ufotable)
音楽:梶浦由記/制作:ufotable
こんにちは!
返信削除自分はこの [Heaven's Feel]を見るまでFate作品を見たことがなかったのですが、桜の可愛さに魅了されて話が分からなくてもいいから見てみようと [Heaven's Feel]を見始めました(第1章はレンタル、第2章は映画館で鑑賞しました)。なのでFateに関する知識はこの [Heaven's Feel]で見たものとウィキペディアや解説サイトを見て得たものという付け焼き刃もいいところな状態なのですが、それでも楽しめるんだから [Heaven's Feel]ってすごいなあって思います。第2章が公開されたのは2019年の1月でしたので映画館で見終わった時は「第3章2020年春か~長いな~」って思ってたのですが、コロナでさらに公開延期して2020年夏となっても、不思議とそんなに第2章から時間が経ったとは感じませんでした。
>圧倒される『歴史的』戦闘シーンに涙が・・・
ライダーVSセイバーオルタのシーンはほんとkatoさんのおっしゃる通りだなあと思います。凄すぎて涙が出るってこういうことなんだなあ……と。
戦闘シーンの作画の凄さに対して梶浦由記さんの素晴らしい劇伴がさらにその魅力に拍車をかけていて、まさに芸術としか言いようがない一連のシーンだったなあと思います。
>それでもわからない謎が残りますね。特に一番はラストの復活シーン。
確かにラストの展開はニワカの自分も一瞬おいていかれそうになりました。実際のところ今もよく分かっていません(笑) でもこの辺りは劇場で見た時はあまり考えず勢いで乗り切りました。「考えるな!感じろ!」って言われているような気がして。
>狂気に可愛さを残すバランスが素晴らしい黒桜。
私はヒロイン的なキャラが悪堕ちするというシチュエーションが凄い好きなのですが(笑)、その中でも黒桜はキャラクター的にもビジュアル的にも絶品でした。可愛らしさの中にも妖艶さがあるというか、まあとにかく魅力的で黒桜が映る度に終始スクリーンに釘づけでした。そそられるという言い方が正しいのかどうか分からないですけど、黒桜の魅力は他のアニメのどのキャラクターとも違う何かがあるなと自分は思いますね!
もあいさん、コメントありがとうございます。
削除もあいさんはFate未見でHFチャレンジしたんですね。自分もそうすれば良かったですよ。映画館でHF1、2作目の予告見てすごく印象良かったんですよね。予告だけでも桜の魅力を感じたし、何と言っても闇落ちの感じは自分も好きで(笑)
黒桜は『桜の本当の一面』みたいな事を劇中で指摘されてた気がしますが、その辺もすごくよく表現されてましたね。力を持って調子に乗ってる感じや、胸に抑え込んでいる妬みや欲望の表出の仕方がが桜らしくて。その辺もセリフだけでなくキャラの描写も含めて表現してる気がしてすごく魅力的でした。
最後のシーンについては、ニワカでも『全くわからない訳じゃない』ってさじ加減が絶妙ですね。『ん?』と思ってもギリギリ置いてかれないというか。説明し過ぎないのは制作陣のこだわりだったのかなぁと思います。
久しぶりの記事でしたが読んでいただいて嬉しいです。ありがとうございました!