映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』感想:フィクションで夢を見るという事

2019/06/17

アニメ

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青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』を映画館で見てきました。

 原作未読なのでまぁ〜ビックリですよね!TV版で事前にキャラの魅力をたっぷり吸い込んだからこそ味わえる感覚。

 期待を裏切らない展開で、自然と涙が流れる切ない物語でした。映像を楽しむというよりは物語を楽しむ作品。映画館で集中してみたい作品ですね。
『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』
予告編より画像引用
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©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 それだけに、フィクションに何を求めるのか・・・見終わった後に色々考えさせられました。この結末を受け入れてしまっていいのか。

 でも、人生はやり直せないからこそ夢を見せてほしい・・・それがフィクションの一つの役割かなと。そうポジティブに捉えたくなる作品でした。良かったです!

※後半からネタバレありのレビューになります。

TV放映時から心待ちにしていた『青ブタ』劇場版!


 ホント楽しみにしてたんですよね。TVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』が始まった当初からアナウンスされた劇場版

 当時、劇場版ありきのTV放映には賛否両論ありましたね。でも原作小説は未読の自分でも『これは絶対面白くなる!』って確信してしまうほど期待させる魅力がありました。
TV版で麻衣先輩への魅力を理解するのは必須!
いきなり鑑賞してもこの作品は味わえないよね。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 PVの雰囲気とかすごく良かったし、何と言っても一番のクライマックスを劇場版に持ってくる感じがテンション上がります!

 もちろんTV版2クールでやってほしいっていう意見もわかるんですけどね。双葉のエピソードとかもっと厚くして・・・とかね。

 まあいろんな事情があるんでしょうけど、映画派の自分としては一気に集中して見られる劇場版は嬉しかったな。クオリティーもTVより期待できますし。

 ただまあ、期待していた映像については劇場版ならではというよりはTV版の延長でしたね。べつに悪くはないですけどね。TV的というだけで。

 まあ予告編を見てわかってたのでガッカリはしなかったです。(でも終盤に微妙に感じるところもチラホラ・・・笑)

TV版のハーレム展開は影を潜め・・・


 それは置いておいても、製作陣のこのエピソードは特別に作りたいという気持ちはわかりましたね。

 TV版ではハーレム展開が楽しくてある意味ベタな感じが楽しかったですよね。主人公の咲太の態度には最初ちょっと馴染めなかったけど、女性キャラの魅力が強くてどんどん引っ張られました。

 劇場版では牧之原さん(特に大学生Ver)が可愛すぎて、麻衣先輩ですら霞んでしまうのでTV版でしっかりキャラの魅力に浸らないとバランスが取れないかもしれませんね。
 TV版の青ブタらしいハーレム展開は影を潜める。
このシーンが唯一それっぽいシーンですね。
今回は牧之原さんが可愛すぎる!
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 TV版はキャラクターの魅力じっくりと刷り込んでいくような展開。そして劇場版はその総括をするような展開。TV版全体が伏線になるような凄さですよね。役割分担をしたうまい構成でした。

思春期症候群に納得するのが必須!


 今回の劇場版、展開はすごい複雑だけど割とスムーズに理解できました。複雑な割にこんがらがって来ないですね。

 量子力学相対性理論とか・・・それらしい理屈はつけているけど、思春期症候群というむちゃくちゃな土台の上に成り立っている物語。

 これもTV版を見慣れてるから入れるんですよね。いきなりだとかなり抵抗を感じると思う。
双葉の理屈はあくまでモチーフとして受け止めた。
劇場版でもすごく味のある活躍を見せてくれましたね。
TV版PVより
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 TV版のときは真面目にSFとして捉えようとして戸惑ったけど、途中から単にモチーフとして割り切れたので気にならなくなりました。

 この辺はTV版で慣れてもらうというシステムですね。根本的なトンデモ設定を納得しないと楽しめないという点では、同時期に上映した『ガルパン』と同じかも(笑)


次項からネタバレになりますのでご注意ください。



絶望のための伏線



 今回の作品。序盤は割とゆったりとした展開からどんどん加速してからの急展開が鮮やかでした。

 咲太の心臓の秘密がわかった時はなるほど!と伏線のつながりに感心しましたが・・・そのあとの展開は全く読めなかったなぁ。

 まさかね・・・麻衣さんの事故シーン。あれは心底ビックリしました。妙にリアルな効果音と相まってすごい衝撃。ホラー映画みたいに『ビクッ!』って固まってしまった。
この直前まで全く展開が読めなかった。
その後もどう着地させるのか祈るような気持ちに
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 正直あの辺は『おいおい勘弁してくれよ・・・』って感じ。麻衣さんの魅力に完全に染まっているからこそ生じる感情ですよね。

 それまでの『なんだかんだで人を助けていくラノベ主人公』らしい咲太の姿、それも全てこの絶望のための伏線だったか・・・と思ってしまうような展開。

 思わず腕時計を確認して、大丈夫、まだ時間は残ってる・・・なんか展開あるよな?あるよな?って祈るような気持ちでした。

嬉しい光明!


 でもこっからが真骨頂でしたね。これまでのトンデモ設定を複雑に駆使したような解決策の連続!

 相当強引な気もしますが、これもTV版で慣れたからこそ素直に受け入れられる展開ですよね。とくに『現在が未来』みたいな考え方はSFっぽくて好きだったな。

 それにしても牧之原さんが登場した時のホッとした気持ち・・・ほんと嬉しい光明!とはいえ牧之原さんはどうなるのか・・・って複雑な感情で涙腺が緩んできます。

 この物語にハッピーエンドはありえるのか?って。

ご都合主義のハッピーエンド?


 そしたら、ラストシーンの怒涛の展開ですよね。少女姿の牧之原さん・・・助かってる上に記憶もよみがえる・・・・?ってまさかの完璧なハッピーエンドですよ。

 更に言えば、麻衣さんとの再会だってそう。互いに気づかない存在になってる・・・そんな悲しいラストもあったはず。

 新海さんの秒速5センチばりに後味が悪いかもしれないけど、それはそれでアリだと思う。(そういうのもすごく好きなので)

 でもこの完全なハッピーエンドってなんなのか。嬉しい反面・・・いくら何でも都合よすぎないか・・・これでいいのか?ってちょっと考えてしまいました。
着ぐるみの謎が解けると見方が変わるシーンですね
TV版序盤との繋がりが見事な展開
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

ご都合主義のハッピーエンド?


 でも自分はこう思ったんだよなぁ・・・現実なんて事故で死んだら終わりなわけですよ。奇跡なんて起こらない。それでおしまい・・・わかってる。

 でも、だからこそ夢を見せてもらいたい。確かにさっきまで自分もハッピーエンドを求めていたじゃない。現実にはあり得ないのはわかってる・・・それでも・・・という気持ち。

 それがフィクションによる癒しだと思うんですよね。

 べつにフィクションが全て癒しだというつもりはないんだけど・・・『ラノベ』の一つの役割は厳しい現実を生きる人への癒しだと思う。

 だからこそ中途半端な後味の悪さを残さず、完璧なハッピーエンドで着地したのかなと。ご都合主義を通すための思春期症候群であって色んな理屈なんだと。

 甘いかもしれないけど自分はこの夢みたいなハッピーエンドを受け入れたいんだよな。思春期症候群なんて無いよ、そんなもの(笑)わかってる。

 でも、そんな設定が荒唐無稽にならないのがアニメ。実写だと興ざめしちゃうかもしれない。ラノベだから、アニメだからこそ表現できる夢なんじゃないかな思うんですよね。

考察したくなるラストの展開!


 とはいえ、1度見ただけだとちゃんと掴めてないところがあるのも確か。

 特にラスト近くのシーン。牧之原さんの現在に改変があって・・・つまり彼女は病気を避けられた?そして夢で咲太との記憶をつなげることができたってことですよね。

 そして、咲太は麻衣さんとどうやって再会できたのか?

 二人にはかつての(未来の)記憶はあったのだろうか?・・・・バニーガール姿の麻衣さんは消えてしまったのだろうか。だとしたらなんだか寂しくもありますね。
バニーガール先輩も心配だけど
古賀ちゃんはどうなったのかはもっと気になります!
TV版PVより
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 それにラストには出なかった気がするけど、他の人たち・・・古賀ちゃん双葉たちとはどうなったの?

 彼女たちの思い出も消えてしまったとすれば・・・それは完璧なハッピーエンドとは言えないですね。相応の代償を払ったといえるわけで。でも古賀ちゃんは幸せになってて欲しいのですが・・・。

 その辺のエピソードも知りたいところだけど・・・考察したくてもよく覚えてない(笑)とりあえず咲太の制服はどうだったけ?高校は同じになったのかな?

最後に・・・後日談が知りたい!


 もう知りたいことだらけで(笑)とりあえず確認のためにもう一度はみたいですね。

 もし劇場版でわからなくても・・・後日談が知りたいですよね。原作ではどうなんだろう、パンフとかにのってるのかな?興味は尽きません。

 そう言えばエンディングは黒バックでちょっと残念だったかな。曲はTVからの発展で『不可思議のカルテ』良かったですけどね。ラストシーンからの流れで涙が流れました。

 満足度も高いですが、もっと知りたい!って小説も読みたくなる作品でした。

原作:鴨志田 一/原作イラスト:溝口ケージ
監督:増井壮一/脚本:横谷昌宏
総作画監督:田村里美/色彩設計:横田明日香

映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』公式サイト

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