明るくなっても涙が溢れてしまってすぐに立ち上がる事ができませんでした。もちろん子供向けらしさはありますが、親世代の30〜40代も激しく心を動かされる作品。これこそまさに『全年齢向け』と呼ぶにふさわしい作品ですね。
予告編より画像引用(当ブログの画像引用について) ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
人が社会に包摂されていくとはどういう事なのか。悲しみを受け入れるとはどういう事なのか。今の私たちにとって花の湯温泉の物語は大切な寓話のように感じました。
素晴らしい動きと色彩でアニメーションとしてのクオリティーも抜群。長編作品を劇場版にまとめた挑戦的な構成にも脱帽です。原作小説もTV版も未見でしたが、思い切って見に行って良かったです!
映画『若おかみは小学生!』本予告(公式)
この予告編は素晴らしい出来ですね!これを見て見に行く気になりました。
この予告編は素晴らしい出来ですね!これを見て見に行く気になりました。
※TV版・原作小説は未見での考察・解釈です。
※以下ネタバレのあるレビューですのでご注意ください。
どうしてここまで感動するのだろう
どうしてあんなに泣いてしまったんだろう・・・見終わった後に思い返してみると不思議とよくわからなくなるんです。悲劇のおっこがかわいそうだから?いやいや、悲劇は最初からわかっていたじゃないですか。なんであんなに感動したんだろうか。
きっとそれは、見ている自分たちもおっこと同じような不思議な感覚にさせてくれるからだと思うんです。あれ?『お父さん、お母さん、いるじゃん』って。確かに死んだはずって・・・それは情報としては知っているんですよね。
でも、観客である自分たちにも死の実感がない。もしかして・・・何かのまちがいじゃ?奇跡が起こるんじゃ?って・・・この曖昧な感覚。なんだかまだ居るような感覚。これっておっこの感覚と同じじゃないですか?
曖昧な形で現れる両親 おっこと同じように観客も不思議な気分になっていく ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 予告編より画像引用(当ブログの画像引用について) |
でもだんだんと、ああ、やっぱり違うんだな。間違いじゃないんだなって。1時間かけて少しずつ納得していく。おっこと同じように自分たちもだんだん受け入れていく。
観客である私たちに、おっこの精神状態を追体験させているんです!これってすごくないですか?
別れを受け入れる過程をおっこと共有していたから
だから、ラストのあのシーンで、おっこと同じように感情が爆発してしまう。1時間以上の積み重ねの結果、いつの間にか心がおっことシンクロしてしまっているから。
あのシーンだって、見てない人に言葉で説明したって全然ピンとこないはずなんです。あの積み重ねを経ているからこそ涙が溢れる。
感動の理由は言葉では表せない ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
94分という限られた時間の中で、長編の小説や、TVシリーズと同じ事はできない。でも映画ならできる事・・・それは94分間一気にその世界に没入させること。その特徴を最大限利用して観客の精神状態ををおっことシンクロさせていく。
だから単に悲しい出来事で感動したんじゃない。時間をかけて別れを受け入れていく過程をおっこと共有している。これは言葉では表現できないことですよ。
この離れ技を成功させる事で、単なる成長譚を超えて、より深く人の心を動かす作品になっているんだと。そしてそれに気づいた時、この作品の凄さにもう改めて感動してしまいました。
どうして両親は幽霊としておっこを応援しなかったのか
おっこの両親もきっと幽霊として存在していたんだろうなって、あれはただの夢じゃないと思うんですよね。あれは両親がおっこに見せた夢。
両親もまた霊としておっこのそばにいたのかもしれない 声は鈴木杏樹さんと薬丸裕英さんが担当 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
両親はどうしてウリ坊のように幽霊としておっこを応援しなかったのか・・・もしかしたら自分たちが死んだ事すら実感できなかったのかもしれない。だから夢でおっこといつもの生活をしていたのかもしれない。
でも時間が経ち、おっこと同じように両親も運命を受け入れた。おっこが力強く生きている姿をみて別れの言葉をいえた。そこで初めて姿を見せることができたのがあのシーンじゃないか・・・そんな風に感じました。
その言葉が『さよなら』ではなくて『一緒にいられなくてごめんな』っていうのが、またね・・・二人の無念を表している気がするんですよね。
この世への未練から解放されるまで
見る前は、幽霊との別れが感動ポイントになるのかなぁ・・・って想像してたんですよね。あの予告編はホント出来が良いですよね。あれだけで感動しそうになるんだけど、絶妙にポイントずらしてネタバレ回避してるのがすごいね(笑)
でも霊との別れは、つまり霊が成仏できるって事。現世への未練から解放されるすごく前向きな事なんですよね。
幽霊の美陽とウリ坊、小鬼の鈴鬼 霊たちの生き生きとした(笑)動きも見所 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
ウリ坊も美陽ちゃんも『生まれ変わった後も絶対わかる』って言ってたから、生まれ変わりの様子も出るのかとちょっと期待しちゃいました。残念ながら本編では出なかったけどすごく想像が膨らみますよね。
きっと誰かの子供として再会できるのかなって・・・そういう展開は好きです。でもウリ坊はミネちゃんとちゃんとあの世で再会してからにしてほしいですけどね。
でも霊たちもやっぱり『花の湯温泉』に受け入れられて癒される存在だったのかな・・・と思うんですよね。この世への未練が断ち切れるまでいつまでだって受け入れてくれるような。
花の湯温泉のお湯は・・・
『花の湯温泉のお湯は、誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれるんだって』という、このセリフ。予告編の時から印象的だったけど、ラストシーンでは何重にも心に響いてきました。
おっこが頑張って人を助けるのもこの言葉のおかげ、でもおっこ自身も花の湯温泉に受け入れられ、癒されていたんですよね。
地域の一員となった象徴としての神楽 動きや色彩も本当に素晴らしい。 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
両親といた頃は3人だけの家族で、それはそれで幸せだったけど、失ったときはひとりぼっち。社会から切り離されたおっこ。もちろん日本では彼女を保護する仕組みはあります。
でも単に保護されるとか、支援されるだけじゃ人間は幸せに生きていけない。役割があり、社会で存在しているという実感があって人は力強く生きていける。
それって、どんな人も社会の一員として取り込んでいくという『社会的包摂』の考え方なんですよね。これからの日本にはとても大事な考え方だと思ってるんだけど、こんなに分かりやすい形で表現されている事に感動しました。
監督のコメントに痺れた!(本項 追記)
鑑賞後に監督のコメントを読んで痺れました。
この映画の要諦は「自分探し」という、自我が肥大化した挙句の迷妄期の話では無く、その先にある「滅私」或いは仏教の「人の形成は五蘊の関係性に依る」、マルクスの言う「上部構造は(人の意識)は下部構造(その時の社会)が創る」を如何に描くかにある。
主人公おっこの元気の源、生き生きとした輝きは、春の屋旅館に訪れるお客さんに対して不器用ではあるが、我を忘れ注がれる彼女の想いであり、それこそがエネルギーなのである!(後略) - 公式サイト 監督: 高坂希太郎氏コメント より引用
これは悪用すれば、昨今のブラック企業における『やりがい搾取』に繋がる怖い考えです。事実、今の社会では少し避けられている考えかもしれません。直感的に嫌な印象を感じる人も(自分を含めて)少なくないと思うんですよね。
でも本来は人間の生き方として、とても大切な考えなはず。この作品はその描き方が本当にうまいと思うんです。
この作品は決して『滅私奉公』的なものを美化しているのではなく『役割』が人間の支えになるということを描いているんだ・・・そう解釈しました。だから自分にも抵抗なく受け入れられたんだと思います。
見終わった後にこのコメントを読んだときは唸らされましたね。逆に見る前に読んでたら・・・『厳しい修行の成長物語』みたいに誤解して見に行かなかったかも(笑)ちょっと危険なコメントですね。
エンディングの素晴らしさ
それにしてもエンディングは素晴らしかったですね。本編のカットをあえて手書きスケッチで入れていく演出。楽曲と相まって最高でした。カット数もふんだんに入ってるので、涙を流しながらも必死で目を開いてました(笑)
止め絵なんだけどものすごくいい味なんですよね。絵を見てるだけで涙が出てきます。それにあの楽曲。藤原さくらさんの『また明日』。いいですよね。
藤原さくら 「また明日」 (short ver.)(公式)
ほのぼのとした感じの曲で導入部は感動とはちょっと違うんだけど、あのサビが流れると・・・もうやばい(笑)本当にあのエンディングとぴったりでした。
このカット入れるエンディングは他のアニメでもやってほしいですね。
本当にピッタリな小林星蘭さんの演技
声優さんは関織子こと『おっこ』役の小林星蘭さんが良かったですね。まだ12歳だそうですが子役としてのキャリアは長いんですね。ホント魅力的でした。子供っぽさとプロっぽさが同居した独特の雰囲気。
子役って上手すぎてちょっと違和感を感じる事もあるけど、この作品に限ってはもうピッタリ!頑張り屋で良い子過ぎるくらい良い子なおっこには、演技上手な子役の雰囲気とものすごい合ってると思うんですよね。
現実離れするほど良い子のおっこ 子役ならではの演技がうまく噛み合っている ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
子役といえば幽霊の美陽ちゃん役の遠藤璃菜さんも12歳なんですね。この人は『甘々と稲妻』のつむぎ役だったそうで、どうりで上手なわけですね。声優さんかと思いました。TV版では日高里菜さんだったそうですが、自分は未見だったので素直に入る事ができましたね。
他の出演者はタレントさんが多かったですが、全然違和感を感じませんでした。作品に馴染んでるんですよね。確かに、声優さんじゃないだろうな・・・とは感じましたが作品の邪魔をしない声でしたね。
むしろ最後の客である木瀬文太役の山寺宏一さんは『昭和元禄落語心中』の助六が思い浮かんじゃいましたね。まあちょっと雰囲気かぶってるので良いんですけどね。
最後に:今見るべきアニメーション映画の傑作
この作品のタイトルや絵柄もあって、やっぱり見る前はちょっと抵抗ありました。キャラクターも子供向けを超えて幼児向けっぽいし。美陽ちゃんなんか特にね。大人が見ちゃダメなやつかなって。
でも実際に本編を見ると、アニメーションとしてのクオリティーの高さに子供向きなんて事は忘れてしまいました。素晴らしく生き生きとした動き!それに美しい色彩!特に色彩の美しさは見所だらけの作品といっても良いですね。
色彩の素晴らしいシーンが沢山あるのも魅力 高坂監督自身が色彩にこだわりのある方みたいですね。 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
この作品は公開と前後してTVシリーズ24話が完結。そちらもすごい高評価だったみたいですね。自分は全くの未見でしたが、逆にそのおかげで素直に映画の世界を受け入れられたのかもしれません。
もちろん子供向け作品には違いないのですが、間違いなくアニメーション映画として今見るべき作品の一つです。できれば映画館で思いっきり没入して見たい作品。
思いっきり泣きましたが、決して辛く悲しい涙じゃない。とても清々しい前向きな涙。説教くさい話が大嫌いなひねくれ者の自分も素直になれてしまう。素晴らしい作品でした!
原作:令丈ヒロ子
監督:高坂希太郎/脚本:吉田玲子
美術監督:渡邊洋一/色彩設計:中内照美
制作会社:DLE/マッドハウス
映画『若おかみは小学生』公式サイト
https://www.waka-okami.jp/movie
【追記:2018/10/3】
監督のインタビュー記事を読みました。両親の死の曖昧さは監督の実体験が元になっているそうです。最後の客のエピソードもオリジナルなんですね。御神楽の意味についても解説していました。
外部記事 映画「若おかみは小学生!」高坂監督「この子だったら許せるなと思ってもらえるように」 - エキサイトレビュー
katoさん、こんばんは!先日のお返事ありがとうございます。
返信削除先週後半から昨日にかけて、『のんのんびより』『ペンギン・ハイウエイ』『七つの大罪』そして、『若女将は小学生!』を見てきました。どれも子供から大人まで楽しめる映画だったと思います。
『若女将は小学生!』は日本の有名な児童文学のひとつです。私はTVシリーズ版を欠かさず見ていた大ファンの一人です。原作からの各エピソードを1~2話で完結しながら、おっこの成長を描いています。持ち前の明るさと頑張り、でしゃばる性格ではないけど、その時の(お客さんの)最善を考えて、必要とあらば、意地を張らず、素直になり、(他の旅館の跡継ぎである)真月にも頭を下げ教えをこう姿をみて、こころがうたれました。大人が見ても、感動しますよ。またTVシリーズ版の好きなところは声優の能登麻美子さん(最近作『ペンギン・ハイウエイ』アオヤマ君のお母さん役、『はたらく細胞』のNC)のナレーションです。やさしくて、ほんわかしていて、日曜日の朝にはピッタリでした。
さて、劇場版は、TVシリーズ版とは切り口と視点を変えて、また別の物語といってもいい内容だと思います。両親とおっこが、遭遇した交通事故について、詳しく描かれていますし、元気に働くおっこですが、実は...というところも、丁寧に語られてますね。
劇場版は、おつしゃるとおり『花の湯温泉のお湯は誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれる』、このセリフが物語っていますよね。
原作の数あるエピソードから、エッセンスになるものを取り出して、おっこの過去現在を上手く、描いていました。「両親の死とどう向き合うのか」「環境によって人が形成されること」「人が我を忘れて、仕事をする時の力強さ」など原作にある、様々なテーマを盛り込みながら、メリハリのある物語の構成がされてました。脚本は、TVシリーズ版の横手美智子さん他に代わり、吉田玲子さん。私は横手さんの「クスッ」とこみ上げてくる自然な笑いと緩急がある気持ちのよい脚本も好きですが、吉田さんの脚本は、ハートが暖かくなるだけでなく、吉田さん特有の感情表現と喜怒哀楽のテンポ、リズムがあって、私はそれも好きなんです。
なにより、katoさんが、劇場版を見に行かれて、好きなって下さって、本当に良かったとおもいます(笑)
それから、私が見てきた、他のアニメ映画の感想は、随時コメントさせてください。お願いします。それでは、また遊びに来ますね。ありがとうございました。
Hidebow-Rainbo-Frawbowさん、コメントありがとうございます!
削除TVシリーズをご覧になってたんですね。TVシリーズは全然チェックしてなかったのですが、評判の良さはよく目にしました。横手美智子さん脚本なんですよね。なんか『両巨頭』って感じがしてちょっとワクワクしました(笑)
児童向け作品はチェックできてないので、こうやって劇場版にしてもらうことで魅力に触れることが出来て良かったです。それにしてもこの作品、原作の魅力はもちろんなんですが、高坂監督の解釈も興味深くて今日までずっと考えさせられました。
監督のコメントや劇場版へ違和感を感じる人の感想をキッカケにして自分のモヤモヤを理解することができました。。感動もすごいのですが、ちゃんと受け止めるのにはじっくり時間をかける必要がある作品ですね。
自分なりの解釈は中盤に『監督のコメントに痺れた!』を追加しました。もし良かったらごらんください。他の作品もコメントお待ちしてます!ちなみに『のんのんびより』は現在仕上げ中です。若おかみの感動で中断してます(笑)お気軽にどうぞ。
katoさん、お返事ありがとうございます。
返信削除>>自分なりの解釈は中盤に『監督のコメントに痺れた!』を追加しました。もし良かったらごらんください。
読ませてもらいました。監督のコメント文は、よく読み、よく考えないとむつかしいかなと思います。
確かに、時の為政者やブラック企業が「滅私奉公」を逆手にとったら、「戦争」「労働搾取」「過労死」など人命を脅かすものとなりましょう。
でもこの作品(原作も含めて)は、他者への愛が感じられますよね。監督のコメントの結びにこの様にありますよね!
「詰り自分では無い何かになる。他人の為に働く時にこそ力が出るのだと!」
言いたかったことは、これなのでしょう。何かに無心に取り組むと、余計な欲や雑念が、振り払われ、実に、本人も清々しい気持ちになりますよね。
>>原作の魅力はもちろんなんですが、高坂監督の解釈も興味深くて今日までずっと考えさせられました。
ところで、おっこと真月が、神楽を舞う場面は、高坂監督のオリジナルのプロットだそうです。
katoさんが、おっしゃるように、「地域の一員となった象徴としての神楽」ですよね。
そして、劇中のセリフで「温泉旅館の後継ぎとして、認めてもらう」とありましたので、神楽を舞うことは、周囲から、「一人前の大人」として(昔、武士における元服式のような、感じで)あつかわれる、意味も兼ねているのかなと私は感じました。
おっこが、大人になれば、幽霊は見られなくなる。だから、ウリ坊と美陽は成仏して別れをするのかな、と私は解釈しました。
それから、神楽の意味は、もう一つあると思いました。
先ほどの「詰り自分では無い何かになる。他人の為に働く時にこそ力が出るのだと!」に、またもどってくる気がしませんか?
いろいろな人々の意見を目にすることは、私は楽しいです。自分が思い浮かばないものが、あったらなおさらです(笑)ありがとうございました。
P.S. 「美陽役の声の遠藤璃菜さん」の情報ありがとうございました。TVシリーズの日高里奈さんとは、別の声優さんであることは気づきましたが、(どこかで聞いた覚えのある声だけど、おもいださせなかったです)確かに、『甘々と稲妻』のつむぎちゃんの声でしたね(笑)
Hidebow-Rainbo-Frawbow さん、追記も読んでいただきありがとうございます。
削除神楽のシーンオリジナルだったとは知りませんでした!いやぁ震えますね。見た目も意味合いも本当に素晴らしいシーンだと思ったので。あのシーンに込められた思いが伝わった気がします。
そして神楽のもう一つの意味!なるほど・・・やられました。その通りですね。なんで気がつかなかったんだろう(笑)『自分では無い何かになる』ってまさに体現しているんですね。
やっぱり解釈や考察というのは自分一人で考えているだけでは限界がありますね。こうやって対話させてもらうことで視野が広がってくる気がします。声優さんの件もそう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございました!
初めまして!若おかみちゃんの余韻が冷めないうちに、色んなサイトを巡っていたら素敵なブログに行き着き、勝手ながらお邪魔させて頂きました。
返信削除どの記事もコメントも聡明な意見が多く、民度が高くて驚いています。
児童向けでありながら、とても重たいテーマで構成されている物語でもありますので、描いた理由・読み取りの部分がどうしても追いつかないままでいましたが、ここを訪れその内容に納得するばかりです。
原作は未読でTV版を全話視聴した個人的な意見ですと、劇場版で説明がないシーンなどはTV版で補完されていて、katoさんのように劇場版から知った方でも楽しめる仕組みになっています。一話(15分)はニコ動などで視聴できるのでぜひご覧になってください。
劇場版と色々異なり、作品に対する視点の違いが見て取れて面白いですよ。
自己犠牲を司る女神のような存在、おっこ。
そんな彼女から会えなくなった親の代わりとして側で支えていた幽霊までも成仏させ、離れ離れにする設定を最初は受け入れる事ができなかったのですが、彼らが生まれ変わらないと親もずっと報われないんじゃないかと思い、もしかして神楽は彼ら温泉に入れない霊のための存在だったのでは……。神楽=花の湯=癒し=成仏
あんなに好きだった両親の墓参りもでてこないですし、贔屓(墓参り)をしないで全てを受け入れ癒すためなら神楽のようなすべての人へ向け祀る方法を取らないといけませんね。
しかし、鼻くそも飛ばし、食べ物も食べ、日焼けもする幽霊が温泉に入れないのは おかしい。
きっと、おっこ含め早々に花の湯温泉に入ってしまうと、そこで物語が終わってしまうのでしょうね。入れないのでなく、癒されるので入らない。
おっこが湯に浸かる、つまり、禊を最後に取っておいたのもそういった理由なんだろうな。
とある疑問から生まれた 独自の解釈ですがどうでしょうか?
katoさんや他の方の深い考察も作品愛を感じるので とても好きです。
霊とは 子どものうちにしか出会えないトトロのような世界感も素敵!
人それぞれ答えが違うというのは、児童文学であろうが小説なんだと痛感しますね。
Lark さん、コメントいただきありがとうございます!
削除自分もこの作品はすごい感動にもかかわらず、どうしてもうまく言葉に表現できずに考え続けてしまいました。『泣ける』というだけでは、とてもこの作品の魅力を表現できないんですよね。考えに考えて書いたので、伝わったとしたらすごく嬉しいです。
TV版のご紹介もありがとうございます。劇場版はTV版の総集編的な作りではなかったようで、両方を見る楽しみがありますね。補完関係という意味では、劇場版で『子供向け』という色眼鏡が外れているので素直に楽しめる気がします。
神楽の解釈はすごく良いですね。神楽は神への奉納という形ですが、霊たちに捧げるという考えと重なりますね。霊と温泉の関係も自分にない視点でした。なにより、温泉を禊と意味付ける解釈はすごくいいですね。見えてなかった繋がりが見えてくるようです。
ことさら難しい解釈を楽しむというわけではないのですが、打てば響くような作品なんですから仕方ないですよね(笑)いろんな繋がり、解釈ができる作品ってやっぱり良いです。ブログも読んでいただいてありがとうございました!
こんばんは!
返信削除『若おかみは小学生!』、自分は当初見に行くつもりはありませんでした。絵柄を見る限り、かなり子供向けのアニメ映画なのかなと思っていたので。ところが公開されてみたら、katoさんを始め見た人からの絶賛が物凄くて……。katoさんがTwitterで「ほんのちょっとでも興味があったら見逃さない方がいいと思います」を仰っているのを見て、「katoさんがそこまで薦めるのか……。これは見に行かなくては」と感じました。そして今日の午前中(今の段階では昨日ですが)ようやく、『若おかみは小学生!』を鑑賞することができました。今回はちょっと遠征してイオンシネマ板橋で鑑賞してきたんですが、一つ思ったこととして、午前中の2回しか今日の段階でやってなかったんですよね……。他にも自分が観に行きやすいところで『若おかみは小学生!』をやっている映画館を検索してみたんですが、一つの映画館を除いて午前中しかやっておらず、しかも割と朝の早い回ばかり! MOVIXさいたまに至ってはもうLASTのマークが出てますし、いやいやちょっと待てまだ公開から2週間ちょっとしか経ってないぞと。映画館さん判断早すぎやしませんかねと言いたくなります。
>でも、観客である自分たちにも死の実感がない。もしかして・・・何かのまちがいじゃ?奇跡が起こるんじゃ?って・・・この曖昧な感覚。なんだかまだ居るような感覚。これっておっこの感覚と同じじゃないですか?
正直私は序盤、おっこの様子に物凄い違和感を覚えていました。お父さんお母さんを失ったのに、小学生の女の子がこんな平然としていられるのか……?と。でも、中盤にさしかかった辺りでようやく気が付きました。平然としているわけじゃない、受け入れることができないんだと。それに気づいてからはもう……。おっこが言った「なんだ、生きてたんだ」という言葉に、心が痛くてたまりませんでした。
>だから、ラストのあのシーンで、おっこと同じように感情が爆発してしまう。1時間以上の積み重ねの結果、いつの間にか心がおっことシンクロしてしまっているから。
まさにこれですよね。私たちもそれまでのおっこを見ているからこそ、おっこがここで両親の死という事実に直面して大きく感情が乱れることに冷静ではいられないですし、おっこがここで初めて涙を流し(そう、初めてなんですよね)「私を一人にしないで」と言うことに心が大きく締め付けられる。
そしてその大きな悲しみを乗り越えた先の台詞が、「私はここの、春の屋の若おかみです!」。もうね、こんなん泣くに決まってるじゃないですか。
最初はなんとなくな形で始まった若おかみという役割が、時が経っておっこの中でなくてはならないもの、もっと言えば悲しみを乗り越える上でなくてはならないものになっていたんですよね。katoさんが記事で仰った『社会的包摂』の考えは、この映画を語る上で本当にストンと入ってきました。
いやあ、良い映画でした。見逃さなくて良かったです。唯一この映画で個人的に注文をつけるとするならば、Cパートがなかったことくらいですかね。もちろんラストの神楽のシーンはとても感動的で素晴らしかったんですが、絶対にCパートがあるに違いないとエンドロールを見ながらなぜか思っていたので。この前の『君の膵臓をたべたい』みたいなパターンがあるだけに期待してしまいました。あの神楽の後、おっこ達はどうなったのか。とても気になるところですが、きっと素晴らしい未来が待っているに違いないと、勝手に確信してます(笑)
もあいさん、コメントありがとうございます!
削除私のツイートが鑑賞のきっかけの一つになったのでしたら嬉しいです。なにしろ自分自身もスルーしようとしてたくらいでしたから。好みもありますからね、普段はあまり手放しでオススメって言いにくいんですが、この作品ばかりは言わずにはいられませんでした。
上映回数も少なくて残念なのですが、イオンシネマ系列は比較的健闘してますよね。『この世界の片隅に』の時も率先して上映してたイメージなので、担当者さんの気概を感じますね。
>>正直私は序盤、おっこの様子に物凄い違和感を覚えていました
そうなんですよね、事故のシーンがものすごいリアリティーのあるシーンだったのに対して、その後がすごく平板な描写なんですよね。でもその違和感こそが大事で、言葉では表現しがたいおっこの心を表現できているんだと感じました。
>>そしてその大きな悲しみを乗り越えた先の台詞が、「私はここの、春の屋の若おかみです!」
ほんとですね。あのシーン、おっこが耐えきれなくて折れそうになる所を何とか支えてくれるのが『若おかみ』という役割なんだと感じて、ほんとに辛いんだけど感動しました。
子供にそこまで辛い思いをさせて良いのか?って考えもありますが、あの時おっこはちゃんと泣くことができたし弱音を吐くこともできたんですよね。だから『若おかみ』を再起するエネルギーにして踏みとどまれた姿に、辛いんだけど感動できたのかなと思います。
Cパートについてはやっぱりちょっと期待しちゃいますね。自分は幽霊たちの生まれかわりのヒントとかでるのかな?って思ったりしました。その辺エンディングの時にウズウズしちゃうのが、良くも悪くも『初見あるある』ですね。
いつも読んでいただいてありがとうございます!コメントいただけるとホント嬉しいです。