2015年6月28日日曜日

劇場版 ラブライブ! 2度目の感想:やっと理解できた ミュージカルアニメとしての凄さ


「ラブライブ!The School Idol Movie」公開記念PV(90秒)
Lantis Channel/(c) 2015 プロジェクトラブライブ!ムービー

 前半がこんなに面白かったとは・・・2度目の映画版 ラブライブ!The School Idol Movieを見てきました。本当に楽しかったですよ!1回目の何倍も楽しめましたね。

 1度目のレビューでは『前半はゆるめのファンムービー』なんて書いてしまいましたが、そんな事ない!まったく自分の見る目のなさに恥じ入るばかりです・・・

(参考)映画 ラブライブ!The School Idol Movie 感想:うれしい裏切り!ハラハラドキドキ感動の大団円!
※考察を交えたレビューのため未見の方はネタバレにご注意下さい。

ラブライブ!は全編ミュージカル・アニメ作品


 本作はアニメでしかできない手法を用いたミュージカル作品なんだと、ようやく気付きました。ミュージカル作品だと思って見れば、『物語が非現実的』なんて全く意味のない指摘だという事がよくわかりますね。1回目の感想でもミュージカル風のシーンがあるなんて書きましたが、まだまだ認識が甘かった!

 時折出てくるミュージカルパートだけじゃないんですね。大げさな動き激しく省略された展開、一見ご都合主義に見えるストーリー・・・通常の物語部分も含めてすべてミュージカル的な演出がされていると考えれば納得です。

 さらに舞台や映画では難しいアニメならではの表現によって現実非現実の間を軽々と越えていきます。

3年生のミュージカルパート
日常の風景から突然イメージの世界を映し出すアニメ表現
「ラブライブ!The School Idol Movie」公開記念PV(90秒)より
(c) 2015 プロジェクトラブライブ!ムービー 

 これに気付けたのは、幾人ものブロガーさんのレビューのおかげ。ラブライブ!というアニメ作品は『μ'sのメンバーが役者として演じる芝居』であるという主張は、まさに目が覚める思いでした。

 前述したような演出から考えると、アニメ版は「事実を元にしたドキュメンタリー風ドラマ」という創作作品で、台詞が繋がっている事や芝居がかった演技をしているのは「この作品がドキュメンタリー風ドラマである」ということを意識させるための演出(中略)と考えると納得がいく。
『ラブライブ』に存在する「ゆらぎ」について - マンガ☆ライフ より
京極監督と脚本の花田氏の大胆な演出・脚本について
 京極さんはマジでトチ狂ってる。Music S.T.A.R.T!!のPVでもその狂気は見せていたが、それを劇場で、堂々とやり切るとは思わなかった。(中略)
 本来必要と思われるシーンをごっそりカットして、いつもやってるミュージカル的な歌のシーンをもっと過激にしたやつを入れたり(中略)本当にどこからが夢で、どこからが本当にあったことなのか、まったく分からない。
 ラブライブ!The School Idol Movieの狂気~嘘が現実を乗り越える物語~ - WebLab.ota より

 このWebLab.ota(ろくさん)はラブライブ!1期1話の段階でラブライブ!の本質を見抜いていて、その慧眼には驚かされます・・・。

 主人公たちが直面している危機(廃校)も、語られる思い出もすべて最後の歌とダンスを見せるために用意された虚構ではないか?
 実は脚色し(どこからが事実でどこからが脚色かよくわからない)、リアリティよりも物語の美しさ・テンポの良さを重視した暴力的な一話であった。
 ラブライブ!を花田十輝から読む - WebLab.ota より
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ラブライブ!が駄作?失敗?


 物語のつじつまリアリティーを重視する一部のアニメファンには、全く受け入れ難い演出のようで極めて否定的な感想が聞かれます。残念ながら彼らにとって本作は萌えキャラでファンから金をむしり取るだけの作品にしか見えないようです。

 こういう誤解が生じる事は当然想定したでしょうが、誰にとってもわかりやすく無難に作っていては、凡庸な二番煎じ作品になってしまいます。

 これほどまでにメジャーとなった作品の、しかも最後の劇場版にいたるまで、前衛的とも言える演出方針を貫徹(どころか更に発展)させたのは驚嘆しました。

 以前にも、大衆芸能としてのアニメと歌舞伎の共通性を書いた事があるけど、より斬新さを求めて高度に発展させることで、文脈(コンテクスト)を理解しない人には伝わらなくなってしまうジレンマが生じます。

 例えば、アニメキャラの目の大きさは可愛らしさを強調したデフォルメだけれど、その結果なじみのない一般人には異様に映る(自分も以前はそうだったからよくわかる)これは単に慣れの問題でコンテクストを共有できれば気にならないわけですよね。

目の大きさや髪の色はアニメのデフォルメ表現
本作は演出や脚本でも極端なデフォルメ表現をしている
「ラブライブ!The School Idol Movie」公開記念PV(90秒)より
(c) 2015 プロジェクトラブライブ!ムービー

 このデフォルメを、キャラクターのみならず、脚本や演出でもミュージカル手法を用いて行ったのが劇場版ラブライブ!だと思うんですね。物語の筋で楽しませるタイプの作品ではなく、脚本や設定に至るまで徹底的にデフォルメ省略する。すべては歌と踊りのために。それによって友情青春などのテーマを浮き立たせているんだと思います。

 このうそ臭さ。このハッタリ感。これが素晴らしい。これをナチュラルにテレルことなく、堂々と入れてくるところに痺れる。
 ラブライブ!はリアルじゃないところに凄さがある - WebLab.ota

 まさに、この嘘くさいところが素晴らしい!そこに文句を言うのは、歌舞伎をリアリティがないと嘆いたり、ミュージカルで動きが大げさだと文句言うようなものでナンセンス。こういう物だと理解した上で見れば本当に楽しい作品だと思う。

色々とあり得ない事が満載の合同秋葉ライブ
でもリアリティは全く重要ではない
「ラブライブ!The School Idol Movie」公開記念PV(90秒)より
(c) 2015 プロジェクトラブライブ!ムービー

 1期・2期をみていてぼんやり感じていた気持ち、つまりラブライブ!をなぜ面白いと思うのか? それを、この映画版ブロガーさん達の指摘によって明確にする事ができました。


改めて見ると一層感動!


 そのように認識した上で前半をみると、ミュージカルパート冷や汗が出る事もなく素直に楽しむ事ができました。特に3年生のシーン歌謡曲風の楽曲と相まって、初見ではかなり度肝を抜かれましたけど・・・落ち着いてみると凄く良いですね!かなり気に入りました。

 初回では前半と後半が別作品のような感じがしたけど、実際には前半あってこその後半という事が良く理解できました。

女性シンガー穂乃果説は本当か?


 謎の女性シンガーに関しては、未来の穂乃果説が定説になっていますね。信号のシーンやマイクなど伏線と指摘されているシーンを目を皿のようにして見ました。

 でも見れば見るほどわからない・・・わざとあやふやにしているようで完全に見る人に委ねる感じですね。ただ、後半に女性シンガーと再会するシーン。あれは穂乃果の夢の中での出来事かな。ここも夢と現実の境が曖昧になってますね。

 A-RISEとのドライブから帰宅した後、目覚めるまでのシーンは、長いけどすべて穂乃果の夢だったんじゃないかな。未来の穂乃果今の穂乃果対話するために、その夢を見させたのかな・・・ベッド横の女性シンガーのマイク暗示していますね。

 その夢の中のクライマックス。冒頭の幼少時代の水たまりを飛び越えるシーンと重ねた大きな池を飛び越えるシーン。ここは初回よりずっとずっと感動しましたね。あのキャラの色彩が本当に最高でぐっと来ました。

色彩の変化で鮮やかに場面の転換。すばらしい効果。
「ラブライブ!The School Idol Movie」公開記念PV(90秒)より
(c) 2015 プロジェクトラブライブ!ムービー

 ラブライブ!でこれまで、こんな色彩あったけ?本当に効果的で、映画全体の中でも一つのクライマックスと言っても良いんじゃないかと思います。

やっぱり感動の花びらシーン、そしてラストライブへ


 そして合同秋葉ライブ直前・・・花びらを拾って駆け出すシーン。やっぱり良かったなぁ。あのピアノ曲って1期サントラの『絵里のやりたい事』みたいな曲・・・うろ覚えだけどすごく良い曲だったなぁ、1回目以上にジーンときましたね。



 そして本当の最後。ミューズのラストライブ、やっぱり凄く良かったな。これまだ楽曲も映像も出てないけどまた聞きたいなぁ。初見はあのステージに圧倒されてちゃんと見れてなかったけど、2回目はしっかり見る事ができました。

 初見で感動した動きの素晴らしさはもちろん良かったです。CGモデルも使ってたんだね。一見わからないくらい自然だったな。初見では気付かなかったけどセットもすごくキレイに描写していましたね。

 初見の時は自主ライブでこんな豪華なセットって?・・・なんて戸惑ったけど記憶の中のシーンと理解すれば素直に見る事ができました。この演出はホントうまいなぁ。すごい力入ってるので何度も見たくなりますね。

 ライブシーンの直前、伝説となったμ'sについて雪穂亜里沙が新入生に説明をするシーン。初見の時と違って背景がわかっているから印象が違いました。

 穂乃果たち2年生はもちろん、花陽ちゃん達1年生も卒業してしまった後かな・・・そうイメージすると一層感慨深いものがありました。

 1回目以上に感銘をうけた2回目公開2週目56万人の動員は伊達じゃないですね。入場特典で釣るだけじゃなくて中身も伴った実力、すごく良かったです。

(でも入場特典少ないよね・・・田舎とはいえ初日の午前中で無くなるとか・・・ちょっとビビった)

追記:すっごく良い考察してるブログがありました。観客はスクリーン前にたくさんいる・・・ハッとするような指摘ですね。素敵です!
 ラブライブ!に登場するべき「ファン」の半分はモニタの“こちら側”に居る私たちだからです。(中略)ライブの会場はまさに、いま“あなた”が観ているその映画館であり、観客は“私たち”なのです。無限の観客がそこに確かに“居る”。
劇場版「ラブライブ! The School Idol Movie」感想メモ - no title より
追記:3度目の感想を書きました。よかったら読んでください。2度目の訂正もあります。
『劇場版 ラブライブ! 感想 :まさか3度目にして号泣してしまうとは・・・!』  - アニメとスピーカーと‥‥
 追記:μ's Live in Theaterに行ってきました。(2016/01/11)
【関連】ラブライブ!『μ's Live in Theater』を見た感想とレポート:みんなありがとう! - アニメとスピーカーと‥‥
【関連:考察】『ラブライブ!』は私達に何をもたらしたのか? - アニメとスピーカーと‥‥ (ラブライブ!のなにが素晴らしいのか考察しました)
ラブライブ!The School Idol Movie 公式サイト

原作:矢立肇/原案:公野櫻子
監督:京極尚彦/脚本:花田十輝



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2 件のコメント:

  1. katoさん、こんばんは!

    ラブライブへの初コメです。

    この映画は2015年の公開でしたね!「君の名は。」や「この世界の片隅に」の熱狂的な大ヒットの一年前、なつかしいです。

    劇場版について、私の思うところは、ファンサービスの意味があるのでは。TVアニメファンの感謝祭のような位置づけ。だから、夢のような御伽噺であってほしいと個人的に思います。


    でも、当時のニュース記事で、熱狂的なファン(成人男子)が劇場に大勢大挙して押し寄せたため、小学生(女子)ファンとその保護者の方々が恐怖を感じていた、と読みました(笑)

    私自身は、この手の映画を見るときは、平日の早朝orレイトショーに行くと決めています。女性ファンを驚かせないための「棲み分け」です。心遣いです!

    話を戻して、あとひとつ、劇場版「ラブライブ!」はアニメ「ラブライブ!」のエンドを示し、次の「ラブライブ!サンシャイン!!」への橋渡しの役目も果していると思います。Aqoursにとってμ'sはすでに伝説の存在ですからね。

    それから、女性シンガーは、音楽の女神様(Muse)ではないでしょうか?
    2年生三人組の幼少時代の描写シーン(ファーストシーン)に流れるBGMは、後に、秋葉合同ライブでスクールアイドルたちが唄う楽曲でしたので、幼い頃から穂乃果ちゃん達をずーと見守っている女神様かなと思いました。

    おっよこチョイなところは、日本の神話(古事記、日本書紀)に出て来られる神様みたいに、人間臭くて、ほほえましいです。

    最後に、アニメ批判派の件ですが、これは私の個人的な戯言と聞き流してくださいね。
    メディアミックスは、各媒体がほかの媒体を補完をし合い支え合っている関係だと思います。また他の考えとして、ファンがそれぞれ好きな媒体を「棲み分け」する関係もあるんじゃないかであろうと思います。

    公野櫻子氏の書かれた小説「ラブライブ! Scool idol diary(SID)」他も、目を通して見ないと、アニメ批判派の仰ること(文面の行間や裏側にある真意)もわかりませんし、こちらがアニメ(矢立肇氏:原作=サンライズ)のみのファンだからといって、SIDを調べないのも、片手落ち(片方聞いて沙汰するな!)のような気がするのです。

    私は、他のアニメで、アニメ本体だけでなく、関連するゲームまで楽しんでいます。ゲームの設定は「アニメ世界のパラレルワールドになっております。アニメとは異なりますが、それなりに面白く、どちらも私は好きです。

    原作があれば、如何なる媒体であっても、触れてみるのもいいのではないかと思います。
    アニメは原作を脚色するわけです。どのように構成され、取捨選択して、アニメのフォーマットに当てはめられたか、わかります。アニメの脚本の読み方の勉強になり、アニメを観ながらストーリーの展開も予想できます。悪いことではないと私は思います。

    私が「ラブライブ!」をTVシリーズから観ていて、一番気になったのはキャラ設定です。例えば海未ちゃんは、常に穂乃果ちゃんに振り回される怒りっぽい性格に、にこちゃんは極端にアイドル指向を貫く性格、希ちゃんは大阪言葉を話す策士的イメージが強くなっている(TV2期の第8話で見せた言葉づかいや表情が本来の彼女かも知れない)、それぞれ性格デフォルメされ過ぎかなとも感じました。

    アニメのフォーマットとしては正解なのかもしれないが、私は観ていて、少し違和感がありました。ミューズ全員が極端すぎて少し残念な性格かな。この点は、プロジェクトが進むにつれ、Aqours、虹学と良くなって来ていると私は思います。

    長々と失礼しました。またお邪魔します。よろしくお願いいたします。

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    1. Hidebow-Rainbo-Frawbow さんコメントありがとうございます!
      ラブライブは幅広い年齢層や女性にも人気の広がりがあって、当時は自分も驚いた記憶がありますね。自分はそういう人たちと一緒に楽しむことが楽しいので、つい見ると嬉しくなります。もちろん恐怖を感じさせないように気をつけたいですが(笑)
      サンシャイン!!との橋渡しとのご意見も尤もですね。結果として見事に橋渡しになっていますよね。劇場版サンシャイン!!の感想記事もすごく書きたかったんだけど、うまく書けなくて挫折したんですよ。いまだに残念に思っています。
      アニメ批判派との対話も今となってはいい思い出です。自分は原作どころか、TVシリーズですら疎くて『劇場版派』みたいなところもあります。他のアニメ作品にも言えるのですが、劇場版というのはある意味そこで完結した作品なので、好きな作品ほどそれで完結させたい気持ちになったりします。とても好きな聲の形なんかもいまだに原作読んでなかったりしますし。
      Aqours、虹学と変化は感じますね。虹学は監督だけじゃなく脚本も代わっているので自分にはかなり『別作品感』はあります。特に花田さんの脚本は自分の好みに会うことが多いので。ただ、自分の本番は劇場版からだったりするので(笑)もし劇場版が公開されれば大絶賛してたりするかもしれませんね。今から楽しみです。
      記事を読んでいただきありがとうございました!

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