今期の話題作の一つ『ユリ熊嵐』もうすぐ最終回ですけど、今更のオープニングレビューです。
いいですよね!ユリ熊。内容が百合物と言う事で、夕食時に家族と見る訳にもいかず、けっこう遅れて見始めました。でもオープニングを視聴した瞬間・・・!
「・・・・こ・・これは・・・すごい・・・!!」
またもや大変な傑作OP作品が出たものです・・・一気に心奪われました。
【関連投稿】2015年 アニメ オープニング ベスト10選:今年感動した神OPはコレ!
一気に心をつかむ導入部
しかしあの唐突に出てくる『ユリ熊ァァァァァァァァァァァァ・・・ユリ熊嵐!』のタイトル。すごいよ!本当に。『何これ・・・』って唖然としているうちに、一転、美しい賛美歌調コーラスのイントロがはじまりサブタイトルへ。雰囲気を一変させます。
突然流れる『ユリ熊ァァァァァァァァァァァァ』の文字 ユリ熊嵐 オープニング映像より画像引用/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル |
そこから更に一転! ハスキーボイスとヒップホップ調の太い低音の刻みでOPがスタート。この劇的なコンビネーション・・・ああ、なんてカッコいいんだろう!考える間もなく一気に気持ちを持っていかれる・・・もうこれだけで感動してしまいましたよ。
とにかくこの楽曲の素晴らしさ!
歌は声優さんではなくて、ボンジュール鈴木という女性シンガーソングライターさん。初めて聞いたと思ったら’14年から『宅録系アーティスト』としてネットで作品を発表していた方だそうで今回が初CDシングルだとか。なんか時代を感じさせますね。
【CM】ユリ熊嵐OPテーマ「あの森で待ってる」ボンジュール鈴木
mediafactory (公式)/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル
しかし、なんという魅力的な楽曲と歌声・・・。『ウィスパー系』と呼ばれる、ささやくような歌声。40代的にはカヒミ・カリィを連想させる歌声だなぁと思ったら、フランス在住だったそうで、なるほどなぁと思いました。
エレクトロやヒップホップの影響を受けているという通り、この曲の前半は韻を踏んだまさにヒップホップ調。しかし、甘いささやき声で歌うヒップホップがここまで魅力的とは・・・。
さらに賛美歌的なコーラスが刻みに入り、セクシーな歌声、清廉なコーラス、そして力強いヒップホップのリズムという、一見相容れない要素が入り交じり何とも言えない気持ち良さ・・・。
一瞬に詰め込まれた素晴らしいコラボレーション
これだけ力のある楽曲だと映像が負けてしまうかと思いきや・・・これがすごい!楽曲に頼るどころか、楽曲をさらに素晴らしいものにする、これぞまさにコラボ!
リズム・タイミングがバッチリシンクロしているのは言うに及ばず、更に踏み込んで映像自らリズムを表現しています。
特に感動したのはA’メロ前半の下記のシーン。イントロからキャラクターが歩くシーンの後、わずか2小節分のシーンです。でも、この映像が本当にすばらしい。
人物以外のライトは裏拍のリズムで動く ユリ熊嵐 オープニング映像より画像引用/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル |
暗闇のなかサーチライトが当たるように丸い光が左右にすばやく流れます。驚くのはそのタイミング!コーラスの刻みに絶妙に合わせて動くのですが、キャラ以外のライトは微妙にずらした裏拍のタイミングで流れます。
ライトの大きさが変化しつつ、それぞれの軌道も交差していて、一見複雑な動きをしていながら、それが全体ではすごくリズムに合っている。本当に見ていて気持ちがいい!
ライトが大きさを変えながら複雑に交差する。 ユリ熊嵐 オープニング映像より画像引用/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル |
そしてもう一つの見所がライトに照らされる背景のテクスチャーパターンと色彩。動きが一瞬すぎてほとんどわからないくらいですが、キャラクターの背後には可愛らしい壁紙調のパターン。その後ろには百合と鳥のパターンが映ります。
色の付いた大小のライトによって一瞬見える様子が本当に美しい。時折ハレーションを起こすような効果も入っていて、きらびやかで本当に幻想的です。
ライトに照らされる背景パターンが美しい。 ユリ熊嵐 オープニング映像より画像引用/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル |
百合はわかりますが、鳥は何を意味しているのでしょうか?あえて顔を映さないのも何かを暗示しているようでいいですね。時間にしてほんの数秒ですが、一瞬の映像にここまで作り込むとは驚きです。
サビを盛り上げるタイミング
そしてもう一つ感動したのはサビの映像。サビに入ると同時に、被告席の2頭のクマの上で大きな翼がひらき羽根が飛び散ります。サビにこの映像を持ってくるだけでも自分には到底思いつかないのですが、感動したのは次の点。
サビのタイミングでパッと翼がひらいて・・・ ユリ熊嵐 オープニング映像より画像引用/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル |
ワンテンポおいての星のきらめき! ユリ熊嵐 オープニング映像より画像引用/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル |
翼が開いた一拍あとに、クマのバンザイで星のきらめきが弾けるんです。これがサビの盛り上げにすごい効果的。羽が開いた瞬間に一気に弾けさせず、あえて2段階にすることで余韻が強まり一層感動するんですよね、これはシビれました・・・。
リズムに映像を合わせるのみならず、映像で積極的にリズムを表現している所が素晴らしいですよね。
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トランス状態で号泣
夜中に何度も繰り返し見ていたら、10回を過ぎたあたりで突然涙が止まらなくなりました・・・トランス状態ですね(笑)
思わずiTunesで『あの森で待ってる』を買って聞きまくりました。曲も素晴らしいけどやっぱり映像と合わせると更にすごいですね。
久しぶりに号泣すると翌日の頭痛がひどい(笑)数日は『あの森で待ってる』を聞いただけで涙が出るようになってしまい困りました。
【PV】ユリ熊嵐 プロモーション映像③
mediafactory (公式)/©2015 イクニゴマモナカ/ユリクマニクル
オープニングスタッフ
これだけ素晴らしいOP作品ですが、コンテ・演出には監督の幾原邦彦氏は参加していないんですね。
幾原邦彦監督は『少女革命ウテナ』、『輪るピングドラム』など前衛的で難解なところもあるようですが、非常に興味深い作品で有名です。
独特の止め絵、バンクのトリッキーな使い方・ギャグ演出・演劇の手法を模した映像表現に定評がある。 構成作家としてはハッタリ・ケレン・メタファー・メタフィクションを多用し、現実世界における物理法則や外的必然性ではなく、作品世界における内的必然性に従って描こうとする傾向がある。(Wikipedia 幾原邦彦より引用)
実は深夜アニメ見始める前の作品なのでまだ未見なんですけどね。いずれ見たいと思っています。サブカルへの憧れがあるので、上記の説明を読むと素直にカッコイイなって思っちゃうんですよね。だから本作は注目していました。
やくしまるえつこの曲が好きだったので、楽曲が使われた『輪るピングドラム』のOPは見た事があります。派手さはないですがすごく印象に残るOP作品でしたね。
(参考)やくしまるえつこ お気に入り楽曲 ベスト5はこれ!
今回監督が、あえてOPコンテ・演出に参加しない理由はわかりませんが、幾原邦彦の世界観を表現しつつきらびやかな派手さと細かな作り込みが両立していてすごいクオリティ。
任せただけの事はあるすごい才能のOPスタッフなんでしょうね。
とにかく本当に素晴らしいオープニング。大好きなOP作品の一つになりました!(でもまだ本編は追いついてないので早くみたい・・・)
※念のため、本作はあまり子供向きではありませんのでご注意下さいませ。
オープニング アニメ スタッフ
コンテ 相澤伽月
演 出 古川知宏
作画監督 住本悦子
色彩設計 木村聡子
美 術 スタジオ心
原 画 相澤伽月 川崎愛香 菊田幸一 北山修一 進藤優 鈴木大 高野やよい 高橋賢 寺尾洋之 戸田麻衣 横山なつき
3DCG 神谷久泰
TVアニメ ユリ熊嵐 公式サイト
http://www.yurikuma.jp
『スピーカー』『オーディオ・ビデオ』『備忘録・Mac・その他』『生活』
katoさん、こんにちは!ご無沙汰しております。
返信削除『ユリ熊嵐』は2016年だったんですね。もう5年前なんて信じられないくらい、時の流れが早いものだと感じました。
毎週深夜に本編を観ていたのがとても懐かしいです。
『ユリ熊嵐』のOPはよく憶えています。ウイスパーボイスで、ゆるいテンポのヒップホップ(ラップの歌唱法)って、新鮮な感じで、深夜に聞くにはぴったりでした。
先程、『ユリ熊嵐』のOPを見直しましたが、katoさんがおっしゃる通り、映像が楽曲にシンクロナイズドしてましたね!あらためて驚きました。
この演出は古川知宏氏、後年製作された『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の監督さんだったですね。
私にとって、アニメのOPとEDは、「現実世界とフィクション世界との行来き」を瞬時に切り替えるスイッチの役割のようなものです。
それから、OPは言わば、そのアニメの「名刺代わり」。1分間余りの内容に目を凝らして、耳を傾け、そのアニメのエッセンスに触れることです。観たくなる雰囲気づくりの意味もありますね。
EDは本編でエキサイトした緊張感を緩やかに鎮めてくれます。クールダウンですね。
katoさん、これからも、OPの記事も、時々書いてくださいね。
それから、最近、なんとなく『輪るピングドラム』を観たくなり全24話観賞しました。このアニメは『ユリ熊嵐』本編の幾原邦彦監督作品だとは知りませんでした。ビックリ!
最初から最後まで訳が分かりませんが、わからないままでも見続けていました。
このアニメ(の物語)の重要ポイントになる時点は1995年。製作放送された年が2011年。そして、今現在2020~2021年。私の中ではこの三つの時期が上手く、リンクして、面白いアニメでした。私は今この時に出会ったのには意味があると思います。良かったと思います。
『輪るピングドラム』は今年10周年。12月にはBlu-rayBOXが新規仕様で再販売。
来る2022年には、再構築され、劇場版(前後編)でよみがえります。
この時期だからこそ、ファンの中で語り継がれて、忘れられず見直されるアニメだと思います。
それでは失礼いたします。寒くなってきましたので、ご自愛ください。
Hidebow-Rainbo-Frawbowさんコメントありがとうございます。遅くなりまして失礼いたしました。
返信削除古川さんはこのOPで注目していましたが、後年にスタァライトであれほどまで見事な作品を見せられるとは流石に想像を超えていましたね。
あの当時はアニメのOP/EDにかなり注目していましたが本編以上に心躍る作品も多かったです。最近の作品だと当時ほどの熱量を感じないのですが、単に自分の目が肥えてしまったのか、最近の作品の方向性なのかはわかりません。ただやっぱり光る作品っていうのはありますね。
EDについては仰る通りクールダウンというのもありますね。自分の場合はそのほかに本編に食い込んで一部をなすような演出も好きです。この場合はむしろEDに感動のピークを感じたりします。最近の作品だとラブライブ!スーパースター!!のEDが見事でしたね。特殊EDではないのにあの一体感は素晴らしかったです。
『輪るピングドラム』は私も数年前に鑑賞したのですが素晴らしかったですね〜最終回のあとはしばらく喪失感に打ちのめされました。劇場版はどうなりますかね。単なる総集編ではないでしょうが・・・あの作品の見事さは短時間で表現できるのかと心配になるところもあります。どうしても期待値が上がりますね。
今年は色々忙しくブログに時間が取れませんでしたが、来年もぼちぼちやっていきたいと思います。良いお年を!