「心が叫びたがってるんだ。」ここさけ 2度目の感想 :どうしても絶賛してしまうラブストーリー

2015/11/01

アニメ

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 どうも、映画「心が叫びたがってるんだ。」(ここさけ)2回目の鑑賞に行ってきました。1度目であんなに感動したのに、2度目はもっと感動してしまうなんて!好きな人はとことん好きになってしまう作品なんですね・・・。

心が叫びたがってるんだ。/第3弾CM 30秒ver.
aniplex 公式配信 © KOKOSAKE PROJECT 

 2度目のレビューですのでネタバレ全開となりますのでご注意ください。1度目のレビューはこちら。(追記:3度目のレビューも書きました。リンクは文末に)
(参考)映画 心が叫びたがってるんだ。 感想 :あの花にイマイチ感動できなかった人に勧めたい恋愛の名作 - アニメとスピーカーと‥

2度目の方がさらに感動!


 都合がつかず初見から結構時間が経ってしまいました。おかげでちょっと熱量下がっちゃったかな?うまく入れるかな?とちょっと心配だったのも事実。

 しかし全くの杞憂でした!初回よりもずっとずっと深く感動してしまって・・・もう後半1時間は涙が乾く暇もなく、涙量は1度目よりずっと多かったと思います。

 2回目なのに、2時間全く退屈せずに没入できたし、この作品がもっと好きになってしまいました。

冒頭の玉子の声でジ〜ン


 初見の時はわからなかったけど、冒頭の玉子の王子の声。拓実の声優さんと同じなんですよね。2度目だと冒頭からあの声が出るだけでジーンときてしまいましたよ。

わずか数分で一気に持って行く冒頭に改めて驚き
特報2より © KOKOSAKE PROJECT (当ブログの画像引用について

 しかし、あの 冒頭5分でのつかみはすごいよね。一気に持って行きますもんね・・・改めて驚きました。あれで泣いちゃう人多いですよね。

 自分としては、初見では痛さが勝ってしまいましたが、2度目では子供時代の成瀬順天真爛漫さを見て、結構ぐっときちゃいました。


1度目よりずっと感動できたわけ


2度目からは順の心の動きがよくわかる
CM5弾より © KOKOSAKE PROJECT

 1度目の感想に書いた通り、初見ではクライマックスのラブボのシーン涙が溢れてしまいました。一気に感情の焦点が合ったような感じになったんですよね。

 そして結末を知った上で見た2度目は、順の気持ちがどんどんが変化していく様子に感動してしまいました。2度目だと本当によくわかるんですよね。

 初見では何でもなかったシーンも、2度目に見ると順が拓実に恋していく様子がハッキリわかります。そんな、細かい所にもいちいち感動してしまって・・・クライマックスよりもはるか前からが出てきてしまいました。

淡いときめきと精一杯の勇気・・・


 2回目で特に印象に残ったところは、順が自宅から飛び出してしまうシーンですね。拓実とたくさんのメールのやり取りをして、何てことない言葉に心ときめかせている順の姿。ココ、すっごく好きです!彼女にとってささやかだけど、今までになかった明るい希望が差し込んでいるのがよくわかります。

もらった言葉を抱きしめて、彼女は変わりはじめる
特報2より © KOKOSAKE PROJECT

 その気持ちを大切にしたいという思いが、自分も変わりたいという気持ちにつながって、勇気を出してご近所さんの訪問に対応したんでしょうね。その日はあらかじめ玄関近くで待っているように見えたけど、相当な決意が描かれています。

 その勇気拓実との関わりの中で芽生えたもの。自分も拓実とちゃんと関われるような人間でありたいという願いだったのかな。ヨロヨロと頼りないけれど一生懸命に勇気を出して立ち上がったのにね・・・。

手を差し伸べてくれた王子様


 まあ、あんな風にお母さんから言われたら心も折れますよね・・・感情のバランスを崩して思わず飛び出してしまう順・・・。

苦しくて夢中で救いを求めたのは彼だった・・・
CM5弾より © KOKOSAKE PROJECT

 ああ、拓実のおかげで少しだけ自分に自信が持てて、がんばって一歩踏み出したのにね・・・。彼女が自分の殻を破ろうと立ち上がっても簡単につまずいてしまう・・・そんな時、成瀬のとなるように支えてくれたのが拓実。それを象徴するのが、あのバス停のシーンでした。もうここでジーンと来てしまって、2回目は1度目よりずっと胸に迫るものがありました。

絞り出すように助けを求めて・・・
CM5弾より © KOKOSAKE PROJECT

 本当に苦しくって駆け出して、ヨロヨロになりながら救いを求めたら、奇跡的に手を差し伸べてくれた初恋の同級生・・・これでは運命の王子様だと思ってしまっても仕方ないよね。『自分の心を見られた・・・』なんて思ってしまうようなピュアな子だもんね。

急速に混ざり合う物語・・・


 ギョッとするような長文メッセージの連投に真摯に応じてくれる拓実。もう順にとっては拓実だけが拠り所。そんな状態でピアノを弾いて歌う姿を見せられちゃったら・・・最初に恋したのもアコーディオン弾いて歌う姿だったもんね。はっきり言葉には出なくても運命の王子様だと思い込んでいくシーンがいくつもあって、見てる方はどんどん切なくなってきます。でもその描き方がすっごく良いんですよね・・・。

ピュアな彼女の心の扉がどんどん開かれていく・・・
公開記念特番より © KOKOSAKE PROJECT

 結果的には拓実は思わせぶりな行動をしてしまうんだけど、幸か不幸か、これだけのお膳立てをされちゃったらね・・・でも誰も悪くないよね。だって、これがなくては順は殻を破れなかったんだから。

 ちょっとしたことでも、順にとってはとても新鮮な出来事ばかりで・・・彼女が新しいドアを開かれるたび恋が深まってしまう。どんどん拓実に惹きつけられている順の表情が、もう切なくってどうしようもありませんでした。

幸福と不幸は紙一重 彼女の恋が深まるほど切なさは増していく
公開記念特番より © KOKOSAKE PROJECT

 順にとって拓実が、淡い初恋を超えてかけがえのない存在になっていく・・・素敵な初恋物語と、彼女の成長物語が一体不可分のものとして急速に混ざり合っていく感じ。これがものすごく好きです。

大樹の言葉に・・・


 もう一つ、印象に残ったのは、野球部の田崎大樹の言葉。
 順が失踪した朝、拓実と、拓実の元カノである仁藤菜月との会話が原因だったと騒然とする教室。そこで拓実が、『まさか成瀬が自分の事を・・・』みたいな事を呟いた時・・・大樹が絞り出すように言った一言。

実は一番よく見えていたのが大樹・・・
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

お前が・・それを・・・


いろんな感情を押し殺して絞り出したセリフ
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 このセリフは2度目だからこそグッときたなぁ・・・もうきっと、この時には大樹は成瀬の事が好きだったんだよね。でも彼女は拓実の事が好きだという事もわかっていて・・・。

 あれだけ順を応援している拓実が肝心の部分だけは無自覚・・・というか直視していなかった。そこに、大樹の怒りというか・・・順に恋心を抱いていた大樹にとってはぶっ飛ばしたくなるくらいの気持ちだよね。でも自分にはそれをする資格はない・・・そんな複雑な気持ちが、あの絞り出すような言葉に込められていると思います。

 荒っぽい印象の大樹が恋愛には一番敏感だった・・・なんか面白いですよね。そういえば拓実の部屋で二人きりになった時も、意味ありげな質問と表情でしたね。かなり敏感に察することのできるタイプなんですよね。後輩の不満は感じなかったみたいだけど・・・大樹への印象は2回目の鑑賞で結構変わりました。

エンディングの最後まで涙・・・消耗してぐったり


 初見では涙が止まらなかったラブホでのクライマックス。2度目でももちろん感動なのですが、早くも拓実が自転車に乗っていく所から涙が出てきてしまって・・・成瀬の言葉にも始めっから心動かされてしまい、ずっとボロボロ涙を流しながら見ていました・・・。

もうこの段階で涙が・・・
本予告より © KOKOSAKE PROJECT

もう2度目は、とにかく深く深く・・ ・長時間にわたって感動してしまって、心身ともにかなり消耗しますね。後半1時間はハンカチが手放せない状態でした。

 初見ではEDの乃木坂46の楽曲『今、話したい誰かがいる』がいいクールダウンになっていたのですが、今回はクールダウンどころか、乃木坂46の楽曲でも泣かされる始末。 最後の最後まで涙が止まらないので困ってしまいました。ラブホのシーン以降は、もうずっと意識がぽーっとしてしまい、明るくなるまでに息を整えるのがやっとでしたね。

本作のテーマと・・・どうしてこんなに感動してしまうのか


 誰が死ぬってわけでもない、言ってしまえば、ウブな女の子の初恋物語に過ぎないお話にここまで心が動かされるのはどうしてでしょう。

ウブな女の子の初恋物語
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 誰が悪いというわけでもない運命の切なさと、訳あって自分の殻から出られない女の子の成長物語が巧みに絡み合っているお話。彼女が友達の力を得て、傷つきながらも成長して自己の殻を破っていく。その様子が本当によく描けている作品だからだと思います。なんというか説教臭くないんですよねぇ。

 個人的な理解ですが、本作のメインテーマは母との和解ではなく、自分自身の成長によって殻を破っていく物語。両親との確執は謝罪されれば終わる類のものではないですよね。結局は自分自身の問題。その力になるのは、ほかでもない恋の力なんだと受け止めました。

恋の力で自分の殻を破っていく
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 そういう意味でも、劇中劇のタイトル『青春の向こう脛』って、この作品自体のテーマですよね。サブタイトルって言ってもいい。本当に機知に富んだ表現だなぁと思いました。

最後に3回目の感想と菜月の関係


 前回は予告編で恋愛が描かれていないと不満を書いてしまいましたが、本予告より前のCMでは結構描かれていましたね。今回はあまり言及していませんが、その後3回目を鑑賞した際は、菜月に注目してみることができました。

初回と3回目では菜月への見方がかなり変わった
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 彼女と拓実の関係は、個人的には一番好きかもしれません。初見では順と拓実の関係の味付けのように思えた菜月ですが、3回目では二人の関係にすごく惹かれてしまって・・・最後に2人の関係が再び動き出す奇跡に感動してしまいました。

順の悲しみは、もう一つの奇跡を生み出していた
特報映像2より © KOKOSAKE PROJECT

 3回目で一番印象に残ったのはラストのミュージカルで菜月と二人でダンスを踊るシーンでした。思いがけず二人が王子とお姫様として邂逅できたことが、本当に幸せそうに見えたし、なんとも言えない切なさが入り混じったすごいシーンだったと思います。


 3回目は音楽も注意して聞くことができましたね。特に挿入歌の『harmonia』すごく良かったですね。この楽曲のおかげで本作全体を一層上質なものにしていました。この曲がかかって以降はなんだか映画の空気が変わった感じがしました。

本予告より © KOKOSAKE PROJECT

 3回見てもまた見たくなるような作品・・・本当にこんな素敵な映画を作ってくれて感謝しかないですね。もちろん世間の評判を見ると、誰でも絶賛というわけではないですが、一部の人の琴線には触れまくっているのは事実。絶賛される作品ってそういうものですよね。今、この作品を楽しめる状態で出会えたことを本当に感謝したくなる作品でした!
(追記)4回目を見て、3度目の感想を書いてしまいました。しつこくてスミマセン!よかったら読んでください。
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映画『心が叫びたがってるんだ。』公式サイト
オリジナルアニメ作品/119分
監督:長井龍雪/脚本:岡田麿里/制作:A-1 Pictures

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