劇場版 亜人3部 最終章 衝戟 感想:すごいボリューム感と3D萌えの可能性を見た!

2016/09/25

アニメ

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 『劇場版 亜人』3部作の最終章となる『衝戟』を映画館で見てきました!衝戟って難しい字だけど、読み方は『しょうげき』で『衝撃に備えろ』の衝撃と同じみたいですね。まさに狂気を露わにした佐藤のやりたい放題な最終章でした。

 今回は少し長めの121分ですが、『あれ・・・1クール一気見しちゃった?』ってくらいのボリューム感(笑)山場が複数あるのでさすがに疲れますが原作未見の自分でも置いていかれることなく楽しめたのはさすがです!(原作は未完なのでアニメオリジナルの結末となっているそうです)

劇場版最終章「亜人 -衝戟-」本予告より画像引用
当ブログの画像引用について
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 この後10月からTVシリーズが始まる、いわば『逆総集編』みたいな構成なんですが、劇場版を見たあともTVシリーズが楽しみになる不思議・・・さらなるサブストーリーや細部の掘り下げを見る期待が高まるからでしょうね。3部作単体で楽しめながらもTV版への期待もできる『うまい構成』にっていたと思います。

※以下ネタバレありのレビューとなります、未見の方はご注意ください。
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下村泉クンが可愛すぎ!


 のっけからコレで申し訳ないのですが(笑)これだけは言いたい!下村泉クンがすっごいカワイイぞ!1部より2部、2部より最終章と、どんどん可愛くなる下村クン。明らかにブラッシュアップしてるじゃないですか!3Dモデルでここまで萌えさせてくれるテクニックは感心するばかりですよ。

作を重ねるごとにブラッシュアップされる下村泉のかわいさに驚愕
人形のようにならず表情で芝居をさせる所まで3D技術は進歩した
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 特に戸崎救出後の車内のシーン。計画より戸崎の救出を優先したことを叱責されるときの表情・・・半端なくかわいかったです!こういうのツンデレでもないし、何て言うんでしょう?アイドル的な可愛さではなくて表情の芝居のさせ方で可愛さを表現するってのは、ある意味3Dの可能性を示しているのかもしれません。

 1作目で登場した時の印象は、つり目気味の3Dっぽさの残った独特のデザインで、正直萌えキャラとは程遠いイメージでした。それがここまで萌えさせるとは・・・いやはや。2部の感想で『のっぺり系の2D風3Dキャラで何気にここまで萌え(とはちょっと違うかな?)させるのはすごいよなぁ。』って書いたけど、今回は文句なく完璧に萌えました(笑)

下村泉の契約の秘密・・・そして解除


 アクションがメインの本作で、今回唯一目頭が熱くなったのは下村泉クンの契約解除シーンでした。戸崎が下村クンに彼女自身の『亜人の証拠』のありかを教えて『逃げて好きに生きろ』というと、下村クンは『契約解消なら戸崎さんを守るのも自由ですよね』っていうシーン。

 冷静に考えると、戸崎と下村クンの関係ってストックホルム症候群みたいなもので一種の洗脳状態ですよね。戸崎は確かにアメリカの亜人使いの役人に比べれば下村クンに対しては親身に見えます。出会った頃のシーンも脅迫っていうよりは救い出したって感じだしね。でも弱みを握って恐怖で支配していたって意味では同じなわけで。

下村泉の出自の秘密と戸崎との契約
彼女にとって戸崎は支配者であり救世主だったのか
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 まあ戸崎の人としての優しさってのは確かにあるし、苦しい状況から新しい人生を与えてくれたのも戸崎ですからね。直前にひどいアメリカの亜人使いを見てるから尚更、戸崎がまともに見えちゃうんだろうけど。
 戸崎は結局自分の婚約者のために下村クンを利用しているわけで・・・決してラブストーリーには発展しないだよね。そんな戸崎のために命以上の物をかけて佐藤と対峙する下村くん・・・なんか不憫だよなぁ

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佐藤の狂気がエスカレート


 下村クンの話ばかりしちゃいましたが、もちろん本作はアクションシーンが一番の見どころ。特に狂気さを増した佐藤の傍若無人さは相変わらず良かったです。

佐藤の狂気はエスカレートし異常性が露見する
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 序盤の暗殺シーン。飛行機のファーストクラスにズカズカ入って行って『あれ?○○さんいないの?』は笑いました。しかもきっちり暗殺してから飛行機爆破って・・・もう最初っから爆破で良いじゃん(笑)って思ったけど、そこが佐藤の美学なんでしょうね。

佐藤はゴジラか・・・


 そして中盤の山場、対亜人特戦群(対亜)との対決シーン。今まで秘密にされてきた日本の切り札にどう対抗するのか?本作はどうしても悪役の佐藤へ感情移入しちゃいますよね。薙ぎ払えー!って。そういう意味で佐藤って『ゴジラ』っぽいですよね(笑)

秘密にされていた対亜がいよいよ登場!
非人道的兵器が次々と紹介され圧倒的力量を見せつける
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 佐藤たちが準備していた兵器はまさかの電磁波爆弾(EMP?)。対亜のすさまじい非人道的兵器を紹介されて一体どうやって対抗するのか?って思ったら根こそぎ無力化ですもんね。

 これって、強力な電磁波で近傍の電子機器を物理的に焼き切る兵器で、いわばオープンな電子レンジみたいなものです。昔は熱線の届かない高高度で核爆発をさせる電磁波爆弾が研究されていて自分も聞いたことがありました。今では通常爆弾を利用した電磁波爆弾(EMP兵器)が研究されているんですね。(爆発力による磁束圧縮ジェネレータ)実際の範囲は100m程度と考えられているようです。

佐藤たちの用意したEMPによって大混乱
ヘリが落ちてくるシーンは痛快の一言
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 それにしても対亜の精鋭がバッタバッタとやられていくシーンは清々しいくらいですね・・・。

佐藤の真意は・・・


 それにしても狂気の度を深めていく佐藤にみんなついていけなくなって離反するところ。最後まで佐藤についていた田中が『わざと離反するようにしたんですか?』って意味の事を言ってたけど、あれって本当かなぁ?

 佐藤が優しいからってことはないよね・・・計画に邪魔だから切り離したってことなのかな?劇場版では佐藤の真意がちょっと汲み取れなかったけど、TV/原作だともう少しわかるようになるんだろうか。

<追記>コメントでmaiさんより回答いただきました。感謝です!
仲間を減らしてゲームをハードモードにするためではないでしょうか?田中とテレビゲームをしながらそんな話をしていたので。
そうですね!確かに言ってました。佐藤の性格から言っても間違いないですね。

事態をエスカレートさせる佐藤の異常性に気付き始める仲間
たしかに田中は甘いけど人情があって良い奴だなぁ
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 まあそうはいっても佐藤が永井圭と正反対に混乱を望んでいるのは本当なんでしょうけどね。絶対戦争を終わらせる気がないよね・・・日本制圧したら絶対対米戦争仕掛けると思うし・・・(笑)


負けるな佐藤!


 それにしても佐藤って悪役なのに応援したくなるのが面白いですよね。ラストの永井圭の佐藤への反撃シーン。大量の幽霊が佐藤をボコボコにするシーンは確かにスカッとするものの、最終的に米軍に収奪される姿はなんか残念でスカッとできない・・・もちろん主人公の永井圭が負けてもらっても困るんだけど、佐藤が負けるのも悔しいんですよね・・・やっぱり単なる悪役じゃないんだよなぁと感じました。

まさか予告編にこんなネタバレが仕込まれていたとはビックリ
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 だから、ラストに米軍機が爆発するシーンは喝采(笑)そうこなくっちゃ!って感じで溜飲が下がりました(笑)
 よく考えるとこの作品って亜人自体の秘密とか全然解明されてないんだけど、別に良いやって気がしますね。最初は人間の一部が進化したら?というSF的な要素を楽しんでいた気もするけど、佐藤を中心にしたアクション作品としての出来が素晴らしいので気にならなくなりました。

永井圭の変化と海斗


 もちろん佐藤のアクションと下村泉の萌えだけじゃなくて、主人公である永井圭の変化とかも見どころでしたね。まさかあの黒服の平沢が重要な役割になるとは思ってませんでしたよ。この辺もTVシリーズ2期だと掘り下げられるのかな?

平沢(右から3番目)が重要な役割になるとは・・・
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 TVシリーズといえば、海斗のシーンは少なかったですね。前作2部では新規シーンとして結構挿入されてたけど少年院の羽の幽霊を出せる琴吹との関係とかは、TV2期では掘り下げて描かれるんでしょうね。この辺は劇場版ではかなり割愛されたのかな?と思いました。

意外だった海斗のシーンの少なさ
TVシリーズで掘り下げるんでしょうね
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

その他良かった点


 エンディングの主題歌はすっごい良かったですね。永井圭役の宮野真守さんが歌う『The Birth』。さすが歌唱力すごいですね・・・なんかバンドの人とかが歌ってるのかと思いましたよ。TVシリーズはOPかEDに使われるのかな?かなり良い感じになりそうですね。


 あと意外だったのはアメリカ役人とのカーチェイスシーン。自動車は3Dアニメの得意分野とはいえすごく良い出来でしたね。カーチェイスって映画ではベタな感じだけど、すごくキレイに作ってあって全然違和感なく楽しめました

 その他の映像も3D的違和感はほとんど感じられずに、むしろ線をボカしたりする効果を積極的に使って新たな境地に達した感じがしますね。冒頭に書いた下村クンの表情みたいに旧来の萌えキャラとは違う手法での萌え表現も成功していると思いました。

 あ、あと冒頭に週替わりのボイスドラマありましたね(笑)面白い趣向だと思いましたけど・・・1週目だったので中野 攻のバカっぷりを聞かせるコントみたいなやつで・・・あれはどうかな(笑)ボイスドラマだから目をつぶって聴いた方が良い感じでしたね。下村クンバージョンだったら良かったのに・・・って思ったけど、そうやって何度も見に行かせる手法ですもんね。

気になった点


 ちょっと残念な点といえば、構成上仕方がないんだけど、映画作品としては詰め込み感があるところですね。ほぼ1クール分を2時間で仕上げたと考えるとすごく成功していると思うんですが、山場が多いので映画作品としては盛り上がるピークが少し散漫になった感じは否めないかも。逆に前半はちょっと説明調な印象でしたし。本来TVシリーズ向けの構成なので苦労のあとが偲ばれました。

 あとは劇場の大スクリーンで観るにはアップのシーンが多くて構図的にTV向けだったかなぁ・・・と思いました。スクリーンに近いとちょっと見にくいので後方気味の席で見た方が楽しめるかもしれません。

 ストーリー的には、シン・ゴジラが話題になっちゃったから運が悪かったのですが『また米軍の介入か・・・』って感じになったのは正直なところ。テロから日米安保上の極東有事への移行とか結構細かく表現できてて悪くないんですけどね。

 あと疑問だったのはラストに佐藤が捕まってからのベトナム戦争?のシーン。1部冒頭にもあった気がするけど、この辺の意味合いがちょっとわかりにくかったかな?佐藤が米軍にいたってことなんだろうけど・・・TVシリーズではもう少しわかりやすくなってるといいけど。

この文書とかも一瞬でよく理解できなかった
佐藤の過去についてはTVシリーズに期待
(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

最後に


  ちょっと体力の必要な作品でしたがおもしろかったです。原作未見の自分には大きな不満はなかったですね。原作コミックとは違うオリジナルのラストだそうですが、ラストっていうか思いっきり続きそうなんですけど・・・(笑)原作ファンはやっぱり怒るのかな?

 作品としては『端折りすぎて意味不明なシーン』ってのも殆どなかったし。劇場版3部作単体で楽しめるように配慮されていましたね。

 そもそもTVシリーズのネタバレになる劇場版を見る意味あるのか?といえば全然OKかな。1部の時も劇場版を楽しんでネタバレしたあともTVシリーズ楽しめましたし。特に今回は、TVシリーズはどういう構成になるのか?どう掘り下げてくるのか?っていうのも楽しみですね。

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追記:原作ファンも好印象みたい・・・


 原作コミックのファンである『くろやん』さんが、自身のブログで劇場版を好評価していました。
 オリジナルの終わりとなった劇場版ですが、これでひとつの『亜人』という物語の集大成なので、原作とはまた違う展開でもいいかなと思います/亜人の劇場版第3部-衝戟-の感想【オリジナルでもあり原作ともリンクするストーリー】- あの漫画のここが気になる!!!より引用
ブログでは原作との意外な絡みなんかも指摘されていて面白いですね。アメリカの二人組はアニメオリジナルキャラだったんですね〜。下村泉の過去については原作はかなり興味深い内容のようで・・・読むのが楽しみです!

上映時間:121分
原作コミック:桜井画門
総監督:瀬下寛之/監督:安藤裕章
シリーズ構成:瀬古浩司/キャラクターデザイン:森山佑樹
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ

亜人 公式サイト http://www.ajin.net

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