2016年に見た『涼宮ハルヒの消失』感想と考察:長門は恋をしていたか?

2016/01/08

アニメ 京アニ

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 あわわわ・・・なんかもう色々ヤバイです。これは・・・俺の脳内2次元容量がすべて長門有希に塗りつぶされていく(笑)なるほど『長門は俺の嫁』って言い出す人が続出したわけだ!ホント納得しちゃいますね。

ここまで長門有希の魅力を引き出されるとは!
でも萌えだけじゃないジェットコースターのような激しい展開
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団
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 年末に見た『涼宮ハルヒの憂鬱』に引き続き、2016年になって初めて見る劇場版『涼宮ハルヒの消失』の感想です。今見てもまさに衝撃的・・・
※後半からネタバレのレビューとなりますのでご注意ください。
【参考】2015年に『涼宮ハルヒの憂鬱』を初めて見た感想:まさかここまで面白いとは!

すぐにもう一度見たくなる、まさに名作!


 しっかし良くできた作品ですよね。163分という長尺にもかかわらず飽きるどころか、見終わった後もすぐにもう一度見たくなります。さらにTVシリーズ本編も最初っから見直したくなるんですよね。

 これはまさに名作。エピソードの中でも一番人気と言われるだけのことはあります。当初はTVシリーズの一部として検討されたらしいですが、やっぱり劇場版にした意味は大きいですね。あくまでTVシリーズの延長ではありますが、シリーズ全体をまとめあげたすばらしい構成になっていると思います。

なにが素晴らしいのか!


 とにかく考察したくなる点が山ほどあって(笑)きっと当時はすごいことになっただろうことは想像に難くありませんね。

 前半のミステリーのような面白さ、そして二転三転するジェットコースターのような後半の展開。朝比奈みくる(大人バージョン)の魅力、そして何と言っても長門有希の、もう何といったらいいのかわからないような切なさ!

現在の京アニ作品に通じる美しいシーン
『中二病でも恋がしたい』や『境界の彼方』を連想させる切なさ
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 とにかく素晴らしい作品でした。すべてが数珠つなぎになったような見事な伏線の回収。TVシリーズから劇場版までひとくくりで壮大な一つの作品ですね。2016年になってもぜひ見るべきオススメの作品群だと思います。
※以下よりネタバレとなりますのでご注意ください。
こちらをクリックすると最終章へ飛べます。

長門の感情はエラーだったのか?


 本作の重要なテーマ、長門有希の『感情』について。どうしても考察したくなっちゃいますよね!感情自体はTVシリーズ序盤から萌芽が感じられました。

 でも、おそらく情報統合思念体は感情の発生については想定済みだったと思うんです。当然ですよね、高度に発達した生命体なのですから。

長門に感情が芽生えることは不可避だった
しかしなぜ長門はエラーを起こしたのか
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 感情自体をエラーと見る考えもありますが、個人的には感情が発生しても問題が起きないように対策されていたのだと思います。でも結果としてエラーになってしまった、それはなぜか?

『エンドレスエイト』説


 その理由には『エンドレスエイト』説を採りたいですね。つまりあの、アニメ史に残る曰く付きのエピソード『エンドレスエイト』がエラーの原因であるという説です。

 情報統合思念体が準備していた『感情が発生しても問題が起きない』システム。しかし、そのシステムは100年程度の運用を想定していたのではないでしょうか?

『それはおもいっきりベタな代物なんだ』
このシーンは目頭が熱くなりました・・・
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 想定をはるかに超える500年以上の運用。しかも感情を揺さぶるような濃ゆ〜い夏休みの2週間!それをあのメンバーで1万5千回も繰り返すという荒業。さすがの情報統合思念体も想定外の状況のはずです。

 100年程度なら何の問題もなかっただろう感情の処理システム。想定をはるかに超えた感情の蓄積を処理しきれなくなり、とうとうバグが顕在化してしまった・・・そんな風に解釈しました。

 そう考えると『エンドレスエイト』の非常識な構成も納得いくんですよね。

そして改変へ・・・


 その結果、感情の行き場を失った長門は、あんな風に世界を改変する暴挙に出てしまった。でもそれは、溢れる感情をどうすればいいのかわからなくなって、キョンに判断を委ねたということだったわけで・・・彼女なりの思春期、一種の中二病だったのかもしれない・・・なんて思うわけです。

記憶の蓄積→人格の形成→感情の発露
長すぎた時間は彼女に思春期をもたらしたのかも知れない
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 子供が成長して自分の人格をもつように、アンドロイドである彼女は想定外の記憶の蓄積により独自の人格を形成したのかもしれない。それが与えられた設定を超える感情の発露につながった・・・そんな風に感じてしまいました。

長門の感情はどうなったのか・・・


 修正プログラムを注入された長門は、また感情のないアンドロイドに戻ってしまったのか?それじゃあ、いくらなんでも残酷すぎるだろ・・・。

 ラストの病院の屋上、そしてエンディング後の図書館のシーンで見せた長門の表情をみるに、リセットされたわけじゃないんだ・・・と安心しました。

長門の感情は消え去ってはいなかった・・・
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 修正プログラムは、例えてみれば上書きアップグレードのようなもので、記憶を維持したまま修正するプログラム。記憶は人格と直結しているから、感情を維持したままで異常動作をしなくてすむようになったんだろう・・・と思います。

 だって、少しだけど、明らかに前よりも感情を強く感じられるようになってましたよね。処分が検討されることには寂しさが滲んでいたし、なにより『ありがとう』の言葉が印象的でしたね。人間としてちょっとだけ成長したのかも。

長門のラブストーリーなのか?


 上映当時の考察を調べると、長門のラブストーリー説にはかなりの批判はあったようですね。『色恋話に堕とすな!』的な・・・。

 まあ、たしかに単なるラブストーリーと単純化するのは違和感ありますね。もっと深い話だ!って言いたくなる気持ちはわかります。でも広い意味での青春の物語、アンドロイドの思春期のお話と考えると、当然ながら恋心を排除はできないわけで・・・。

恋愛モノじゃないと批判もありますが・・・
でもやっぱりホッとしたシーン
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 なにより、長門が世界を改変した理由として『普通の女の子に憧れた』と言うのがあるけど、もう一つ『キョンの希望を叶えてあげたかった』というのも・・・あるんじゃないかな?

 つまりキョンが願っているように見えた『何も事件のない平和な生活』。彼女は『キョンが望んでいたかも知れない世界』を提供してあげた。長門は自覚してなかったとしても、それは恋だよなぁ・・・と思うんですよね。

 そういうピュアないろんな感情が一緒になって彼女を突き動かしたんでしょうね。でも、あえて長門のラブストーリーと思いたいかな・・・やっぱり青春に恋はつきものですからね(笑)

長門はハルヒのいない学校で恋する事を願っていたのか・・・
それは解釈の余地があるけれど、このシーンはあまりに悲しかった
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 ハルヒのいる世界を選んだキョンに、あまりにも悲しげだった長門の姿が本当につらかったんですよね。だから病院の屋上のシーンで救われました・・・よかった。結局ハーレム展開かよ・・・って感じもしなくもないですが、でもやっぱりあれで良かったと思いますね。

朝比奈さん大人バージョン


 本作で大活躍なのは朝比奈みくる(大人バージョン)ですよね。TVシリーズのみくるちゃんは本当に素晴らしかったですが、大人バージョンは本当にいい味でてましたね。声優の後藤邑子さんの演技、すごいなぁと感心しきりです。特に次のシーン。

(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団 (画像・セリフ共に)
色々大変だったけど、全部いい思い出です。
ねえキョンくん、きっと、いつかあなたも
この高校生活を懐かしく思う日がきます。
終わってしまえば、なにもかもあっという間だった、
夢のように過ぎてしまった・・・そんなふうに思う時が。

 オッサンになってからこのセリフ聞くと・・・なんかもう本当に・・・色々沁みますね。ある種、唐突にこのセリフが出てくるのですが、これって本作のテーマに深く関わっている気がしてなりません。

 この後、朝比奈さんがキョンに肩を寄せて謎の囁きがありますよね。これは結局原作でも不明みたいなんですが、おそらく謝罪の言葉だろうという説が主流ですね。2度3度みると違った味わいで見ることができました。

 もう一つ、朝比奈さんが長門を恐れる理由ってなんだろう。朝比奈ミクルの冒険で襲われたからだろうか・・・?
※これ以下は超絶ネタバレなので未見の人は見ないでください。
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美しすぎる朝倉涼子の舞


 本作でもう一つ見逃せないのが朝倉涼子の凶行シーン。このシーンにびっくりしたのは当然なんだけど、実はとっても大好きなシーンです。

 彼女が舞うようにナイフを扱うシーンが本当に美しいですよね。悦楽に浸るような笑顔でナイフを振り回し、美しいまでに残酷なセリフを流れるようにに口ずさむ。どのセリフも本当に印象的で素晴らしい。

美しく舞うように、しかし容赦なく命を奪おうとする
『それがあなたの感じる人生最後の感覚だから』はすごいインパクトだった
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

 可愛らしさと残酷さの対比がすばらしくて、狂ってるんだけど狂った感じが全くしない。まさに確信犯的。これほど美しい凶行シーンを見たことがありません。

最後に


 本当にいろんな解釈・考察ができる作品で面白いですね。とても一言では言い表せない素晴らしさがあります。

 2016年の今鑑賞することで、京アニの歴史を辿るような面白さもありますが、それ以上に新たな発見があるし、単に旧作を見る以上の価値があります。今見ても全然色あせることなく楽しめます。今ならすぐに繰り返し見ることのできる便利さもありますね。

 私のように最近深夜アニメにハマった人には、ちょうどハルヒを見逃している人も多いと思うんですよね。未見の人にはTVシリーズ含めて是非お勧めしたい作品でした。

 これがTVシリーズと合わせて月400円でみられるDアニメストアはありがたいですね。本当に感謝です!
【参考】2015年に『涼宮ハルヒの憂鬱』を初めて見た感想:まさかここまで面白いとは!
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